薬剤師にとって転職は一般的なものとなりましたが、転職さえすれば自身の理想とするイメージに近づけると思うのは危険です。
「転職すること」と「転職に成功すること(転職に失敗しないこと)」は、似ているようでまったく違うのです。
そこでこの記事では、転職に失敗しないための基礎知識とノウハウを6つのステップに分けて紹介します。
モンブラン
あや
きよみ
モンブラン
あや
モンブラン
STEP1
あなたが転職を決意した理由と目的を明確にする
転職理由は、仕事上の理由もあれば、プライベートな理由もあるでしょう。
どんな理由でもいいので、自分がなぜ転職したいのか、転職する目的をはっきりと認識しておく必要があります。
転職によってその目的を達成することができるのは、目的を明確にしている時だけなのです。
たとえば、もっと通勤時間が短い職場が良いという理由で転職するとしましょう。
そうであれば、第1条件が職場との距離ですので、収入や待遇などの確認は第2条件となります。
家から近い職場とすることで、どんなメリットが生まれてどんなことをしたいのかまで考えれば、妥協点も自ずと見つかります。
「なんとなく」といった理由でも必ず何かしろ不満に思っていることがあるので、心の声に耳を傾けるのを忘れてはいけません。
合わせて読みたい
薬剤師100人に聞いた転職理由ランキングとは?理由別の注意点も解説 薬剤師に向いていないと思った理由と原因とは?問題の解決方法を解説
悩みや問題だけにとらわれない
転職する理由がポジティブなものばかりという人は、存在しないといっても過言ではありません。
すべての人が、必ず何かしらの不満があって転職を考えるものなのです。
それは人間関係かもしれませんし、金銭的な問題かもしれません。
人によって悩みは千差万別ですが、転職の時にはその悩みや問題に縛られてばかりではいけません。
面接でネガティブな理由を話すと悪い印象を与えるということも理由ではありますが、それ以上に自分自身が卑屈になってしまい、転職失敗の可能性が高くなってしまうからです。
転職を決める時には、新たな職場で自分が何をしたいのか、どんな仕事をしていきたいのかを中心に考えていくことが、成功のカギとなります。
現状の問題を改善したうえで、どんな自分を実現したいのかを考えていきましょう。
同僚や友人、家族に惑わされない
転職を考えている時には、必ず周囲からのアドバイスがあります。
後押ししてくれる人もいれば、引き留める人もいるでしょう。
基本的に人間の本能は、停滞や現状維持を選ぶようにできています。
今まで生存できているのだから、そのままでいることが一番安全だと無意識に考えてしまうのです。
転職を考えたと言うことは、現状から脱却して新たな道を進む決意をしたことになりますが、周囲の人間の多くは、引き留める方向で話をしてきます。
周囲の人は脱却の決意をしていないため、本能に忠実に現状維持を選択しているのです。
周りの意見を聞くことも大切ですが、最終決定は自分の意思で行うことが重要なポイント。
自分の意思がない決定は、成功しても失敗しても、必ず後悔が生まれてしまいます。後悔しないため、周囲の声に惑わされず、自分自身の意思を大切にしていきましょう。
STEP2
自己分析で優先順位を明確にする
転職するためには自己分析を行い優先順位を明確にしておくことが必要です。
仕事に対して求めているもの、自分の中で大切にしたい思いなどを再確認していき、自分の適性を知って長所と短所を見極め、将来のなりたい自分を意識するために行います。
それによって職場に求めるものがはっきりと形になり、自分が重要視する部分を順位づけすることができるようになるのです。
自己分析の例として、下記のような設問を用います。一つ一つ真剣に考え、自分の意思を明確化していきましょう。
- 何がやりたくて薬剤師になったのか
- 薬剤師の仕事をしていて最もココロオドル瞬間は?
- 仕事に求めるものは何か?やりがい?働きやすさ?お金?
- 自分の得意なこと、苦手なことはなにか
- 理想とする生活には、年収いくらあれば叶えられるのか
- プライベートな時間とお金ならどちらを重要視するか
- 将来のキャリアは薬局長止まりでいいのか、本部業務などキャリアチェンジは考えているのか
- 妥協しても問題にならない部分はなにか
優先順位として考えておくべき項目は、主に下記8つになるので合わせて確認しておきましょう。
- 具体的な仕事内容
- 希望年収と妥協できない最低ライン
- 学べるスキル
- キャリアの豊富さ
- 勤務する時間帯
- 年間休日数や連続休暇の有無
- 勤務地や異動の有無
- 企業規模や経営ビジョン
薬剤師や職業に縛られず、自分がどんな人生を歩んでいきたいのかまで考えることは、転職成功の秘訣だと言えます。
優先順位が明確であれば自己PRと志望動機がスムーズに作成できる
自己分析と優先順位が明確にできていれば、自己PRと志望動機の作成がスムーズにできます。
自己PRや志望動機は、自分がどんな利益を会社に与えることができるかを含めて作成する必要があり、自分よがりの内容では、企業に必要な人材だと判断してもらうことはできないのです。
自分の長所はしっかりとアピールし、それがどんな利益をもたらすのかPRできれば、転職成功に近づくことができるでしょう。
志望動機も、自分が求める働き方など、詳しく考えた優先順位があることで、すみやかに作成することができます。
モンブラン
きよみ
モンブラン
STEP3
「いつ」退職して「いつ」転職するのかスケジュールを決める
転職するからには、必ず今働いている職場から退職しなければいけません。
退職してからゆっくり職探しをしても良いですし、空白期間を作らないために在職中から転職活動をおこなっても良いですが、転職活動の時期は転職市場の動向に合わせていくのが、成功のポイントのひとつ。
転職市場では、求人数が増加する時期がある程度決まっており、そのタイミングに合わせて転職活動をすることが大切です。
求人数が少ない時期では、希望に合った求人が存在していない可能性もあり、空白期間を作らないために妥協した転職先を選んでしまえば、必ずどこかで不満がまた生まれることになるでしょう。
転職市場が活性化するタイミングに合わせて、退職・転職のスケジュールを組んでいくことは、非常に大切なポイントなのです。
合わせて読みたい
薬剤師の最適な転職時期とは?有利なタイミングと損しないための注意点 薬剤師が転職活動するなら在職中?退職後?それぞれの注意点を解説
STEP4
転職サイトを活用して徹底的に情報収集する
転職を決断したからといって、すぐに転職先を決める必要はありません。
今はインターネットで手軽に情報収集できる環境が整えられています。
しっかりと情報収集することも、転職で失敗しないためのカギの一つです。
だからといって自分一人の力で情報を集めるのには限界がありますし、時間がいくらあっても足りません。
薬剤師の転職では、転職サイトを活用して情報収集していくことが最良の選択肢だといえるでしょう。
転職サイトでは、一般には公表されていない非公開求人を数多く取り扱っており、希望にあった転職先が見つかる可能性が高まります。
転職サイトに登録したからといって、必ず転職しなければいけないわけではありません。
まずは転職のための情報収集目的だけででも、登録して活用するようにしていきましょう。
合わせて読みたい
薬剤師が転職で失敗しないための求人の探し方と選び方とは?情報収集の方法 薬剤師の非公開求人とは?非公開にする理由と応募のメリットを解説 薬剤師196人がおすすめする転職サイトランキング!17社口コミ比較
モンブラン
あや
きよみ
モンブラン
STEP5
応募書類の作成、面接対策を万全にする
求人の情報収集が完了すれば、希望の転職先に応募する段階に入ります。
応募する書類作りと面接の対策を行い、希望通りの転職を実現していきましょう。
募集先の求める人材に沿った応募書類を作成
応募書類の作成は、自分よがりになってはいけません。
募集先が求める人材と自分が、いかに条件として最適であるのかをアピールしていく必要があります。
自己分析やキャリアを棚卸ししたことによって、自分の強みと弱点を把握していることがここで生きてくるでしょう。
作成する書類は募集先の求める人材に合わせてとは言いましたが、虚偽の書類を作成することは絶対にしてはいけません。
自分の職歴や学歴など、公にする必要がある情報は間違いなく記載し、自分の裁量で記載できる部分に関しては募集先ごとに合わせて作成していきましょう。
詳しくは、「薬剤師の履歴書・職務経歴書!転職に成功するための全知識と書き方」で紹介しています。
第一印象が大切な面接対策!
書類選考をクリアすれば、次は面接に臨むことになります。
面接では質問に対する答えは確かに重要ですが、それ以上に大切なのが第一印象です。
人は第一印象でその後の関係性が決まるともいわれており、第一印象で与えたイメージを覆すのは、長い時間と労力がかかるものです。
第一印象とは、はっきり言って見た目と話し方に集約されます。
どれだけ知識と経験があっても、話がぼそぼそとして暗い印象を与えてしまうようでは、採用されるのは難しいのです。
明るくはきはきした話し方を心掛け、コミュニケーションが円滑にできるように対応できていれば、採用される確率は確実にアップします。
それに加えてしっかりと練られた質問への回答を用意しておけば、面接対策は完璧です。
詳しくは、薬剤師の面接は準備が9割!採用担当者の心を掴む全知識と豊富な具体例で紹介しています。
ミスマッチを防ぐために職場見学を必ずしよう
求人票だけで転職先を決定するのは、よくやりがちなミスの一つ。
書かれている内容が素晴らしくても、実際の現場を見た時には状況が違うというのは良くある話です。
慌てて転職先を決める必要はないのですから、必ず職場見学を実施してもらいましょう。
考えていたのと違う職場だったとしても、就職してからすぐに転職するのは、自分にとっても企業にとっても時間とコストの無駄です。
見学したからといって就職しなければいけないわけではありません。
企業もそれは把握していることで、見学もなしに就職後数か月で退職される方が迷惑になります。職場見学は必ずしましょう。
STEP6
円満退職が理想だが求めすぎない
転職活動の仕上げは、円満退職とスムーズな入社です。
そこがうまくできなければ、スタートダッシュができないばかりか、今後の薬剤師人生に陰りをもたらす原因となってしまうかもしれません。
どんなに確執があった職場とも、退職では円満に退職できるように、社則に従って不備がないように手続きを行っていきましょう。
退職に関する詳細は、「薬剤師がトラブルなく円満退職する方法とは?基礎知識とマナーを解説」で紹介しています。
退職届を出し退職日が決定している場合
転職先は決まっていなくても、既に退職の準備を進めて退職届を提出している場合、退職まではおおよそ2か月~3か月の猶予が設定されているはずです。
気持ちは辞めた後に向いてしまうことが多く、仕事に身が入らないというのもわかりますが、在籍している間はしっかりと働かなければいけません。
退職後のことなどを問われた場合に伝えることは良いですが、周囲の職員のモチベーションを下げるような内容を話すことは好ましくありません。
いつも通りに勤務を継続していくことが大切なのです。
内定後に退職届を渡す場合
内定が出た後に退職届を提出する場合、次の就業先の都合によって退職時期を決定しなければいけないことも多くあります。
次の就職先に良く思われたいがために、言われるがままに就業日を決めてしまえば、現在働いている勤務先に迷惑を掛けてしまうかもしれません。
労働基準法としては退職まで2週間の猶予があれば良いことになっていますが、多くの企業が「退職の2か月以上前に申し出ること」と就業規則に記載しています。
よっぽどの事情があれば違いますが、自己都合退職の場合には会社の規則に従って退職していくことが求められます。
内定をもらっていると、気持ちが新たな職場に向いてしまうのはわかりますが、雇用契約が終了するまでは今まで通りに勤務に励むようにしていきましょう。
円満退職することを求めすぎない!
さんざん円満退職について話しておきながら、円満退職を求めすぎるなとは矛盾するじゃないかと思われますよね。
円満退職も場合によると言う話です。薬剤師は数が増えてきたと言っても、経験のある薬剤師は貴重なものですし、薬剤師を確保できない企業も多くあります。
そういった企業の場合、退職を申し出たとしてものらりくらりと先延ばしにされてしまうこともザラにあります。
そういった企業からの退職は、円満に済むことが滅多にないのです。
強引なやり方になりますが、退職届を内容証明郵便で送り付けて事実を客観的にわかるようにしておき、社則に沿った期間を猶予として記載して、文句が言われない状況を作り上げなければ退職できないこともあるのです。
そこまでやってもゴネる会社はゴネるので、最悪の場合には期日になったら出勤するのをやめて、会社に預けたものは裁判で取り戻すようにする必要もあります。円満退職を目指すのも、場合によりけりなのです。
合わせて読みたい
薬剤師が退職を引き止められたら?辞めさせてくれない場合の対処法
モンブラン
あや
モンブラン
きよみ
モンブラン
まとめ:転職はポイントを押さえて確実に!
薬剤師の転職が一般的になったからといって、転職に慣れている人というのはほとんどいません。
手探り状態で進んでいく暗闇のようなもの、今回の記事が少しでも道しるべのような役割を果たせれば幸いです。
転職する際に重要なのは、何をおいても情報収集に尽きます。きちんとした情報収集を行い、希望通りの転職を実現するようにしてください。
薬剤師の転職で情報収集をするのなら、転職サイトを活用するのがオススメです。
モンブラン