賃金構造基本統計調査によると薬剤師の平均年収は、全79職種のうち19番目に位置しています。
他職種と比べても上位に入る高い年収の薬剤師ですが、勤務先や就業年数によってその収入は異なります。
今回は薬剤師の平均年収と給料事情を徹底解説し、年収アップを測るために必要な方法などを紹介していきます。
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薬剤師の平均年収は533万4900円と維持傾向
ここで記載している数字は、厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査から2017年2月に発表されたばかりの最新データをもとに計算したものです。
薬剤師の年収は年々下がっているという噂がありますが、実はそんなこともありません。
確かに業界としては度重なる調剤報酬の実質的マイナス改定によって収益が下がる傾向にあり、薬剤師の募集でも極端に高い年収を提示する企業は少なくなってきましたが、それでも現状働いている人が減給されているということはありません。
現在の平均した賃金と、現在までの推移を見ていきましょう。
薬剤師の平均年収と給料
- 平均年収:533万4900円(2017年2月発表)
- 平均給料:38万1600円
- 平均賞与:75万5700円
平均年収:533万4900円を分析
平均年収には新卒からベテランまで、様々な役職、職業の勤務薬剤師がすべて含まれています。
過去からの平均年収を見ていくと、1年で1~2万円の年収アップがあり、平成13年度では501万円程度だった平均年収が平成21年では517万円余りに上昇し、現在まで右肩上がりで上昇しています。
平均給与:38万1600円を分析
平均給与にはその年ごとにばらついてますが、こちらも下がることはあまりなく、順調に上昇しています。
平成13年度では33万円あまりだった平均給与ですが、平成21年度では35万円余りまで上昇しています。その流れのまま、現在の平均給与につながるわけです。
平均賞与:75万5700円を分析
賞与に関しては、その年の時代背景もあるために一律上昇と言うわけにはいきません。
むしろ過去の方が高い傾向にあります。好景気の頃には100万円にわずかに足りない程度の高い賞与もデータから確認できますが、そこから景気低迷時代にかけてどんどん下がり、70万円に不足する年度も存在します。
景気回復の兆しによって、現在は再度上昇傾向に戻りました。
薬剤師の年齢別平均年収とは?ピークは40〜50代
年齢 | 平均給与 | 平均賞与 | 平均年収 |
20代(25〜29歳) | 28万円 | 67万円 | 403万円 |
30代(30〜39歳) | 39万円 | 84万円 | 552万円 |
40代(40〜49歳) | 48万円 | 75万円 | 651万円 |
50代(50〜59歳) | 44万円 | 105万円 | 633万円 |
60代(60〜69歳) | 41万円 | 52万円 | 544万円 |
20代のうちには経験も浅く、役職に就くこと方も少数であるため、給与や賞与は平均よりも低めに出る傾向にありますが、30代になると昇給や転職によって給与が上昇し、様々な役職に就くことで基本給も上昇する傾向にあります。
40代・50代が薬剤師にとっての平均年収のピークになり、この年代では体力的には低下してきますが、それを補ってあまりある知識・経験で、企業を支えていくことになります。
調剤薬局・ドラッグストア・病院・製薬会社の平均年収とは?
調剤薬局の平均年収は450万~700万円
薬剤師が最も多く働いている調剤薬局では、大手チェーンと中小企業・個人経営によって年収に幅が生じてしまいます。
大手では将来的な成長に期待し、昇給を手厚くしていくため、長期間務めていない場合には年収が低くなる傾向にあります。
逆に中小企業では、初めから高い年収を確保できますが、昇給などの待遇が薄くなる傾向にあり、最終的に生涯賃金に差は出にくくなります。
調剤薬局の規模別の平均年収
薬局規模 | 役職 | 給料 | 賞与 | 年収 |
1店舗 | 管理薬剤師 | 737,697円 | 291,471円 | 9,143,837円 |
薬剤師 | 318,662円 | 332,734円 | 4,156,679円 | |
2~5店舗 | 管理薬剤師 | 666,186円 | 518,820円 | 8,513,062円 |
薬剤師 | 352,409円 | 442,926円 | 4,671,843円 | |
6~19店舗 | 管理薬剤師 | 525,358円 | 905,250円 | 7,209,549円 |
薬剤師 | 323,297円 | 576,438円 | 4,456,012円 | |
20店舗以上 | 管理薬剤師 | 428,360円 | 1,108,422円 | 6,248,752円 |
薬剤師 | 315,795円 | 771,521円 | 4,561,071円 |
どの規模別でも管理薬剤師と薬剤師の年収の差は、160万以上の差があります。年収を上げるためには管理薬剤師や薬局長になることが必須事項だとデータからもわかりますね。
1店舗の管理薬剤師の年収が約900万円にもなりますが、これは管理薬剤師および経営者だからです。
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管理薬剤師・薬局長になるには?仕事内容や年収相場も合わせて解説
ドラッグストアの平均年収は500万~750万円
ドラッグストアでは薬剤師が不足することもあり、入社時点から年収が高く設定されています。
昇給などもしっかりとしているので長く勤めればかなり高い年収が期待できるのですが、薬剤師でなければできないような専門性のある業務が少なく、成長を求める薬剤師にとっては魅力が薄い職場でもあります。
ドラッグストア企業別の平均年収
企業 | 平均年収 |
(株)ウェルシアホールディングス | 785万円 |
(株)スギ | 645万円 |
(株)カワチ薬品 | 524万円 |
(株)マツモトキヨシ | 501万円 |
(株)サンドラッグ | 488万円 |
(株)キリン堂 | 457万円 |
(株)クスリのアオキ | 445万円 |
(株)サッポロドラッグストアー | 439万円 |
(株)コスモス薬品 | 421万円 |
(株)ザグザグ | 298万円 |
(株)クリエイトエス・ディー | 非公開 |
(株)ココカラファイン | 非公開 |
2番目に年収の高いスギ薬局より100万円以上引き離してウェルシアがダントツの高年収になります。
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最新版!薬剤師の年収給料が高い調剤薬局・ドラッグストアランキング
病院の平均年収は400万~600万円
病院では急性期病院で年収が低く、慢性期病院では年収が高くなる傾向にあります。
急性期病院では最新の医療を学ぶことができるため薬剤師に人気があり、人材不足になることはありません。
年収を低く設定していても人が集まる為、長期間務めなければ収入は低いままです。
逆に慢性期病院では人が集まりにくいため、年収を高く設定しています。決まった薬を調剤し、緊急性の低い治療を行うため、業務に忙しさもなく穏やかな職場ですが、成長を求める薬剤師にとっては魅力が少ないのでしょう。
運営企業別の平均年収
運営元 | 給料 | 賞与 | 年収 |
国立病院 | 363,623円 | 1,231,631円 | 5,595,114円 |
公立病院 | 395,402円 | 1,285,012円 | 6,029,839円 |
民間病院 | 343,437円 | 817,522円 | 4,938,766円 |
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臨床現場で学ぶ!病院薬剤師のメリットとは?年収や仕事の違いも解説
製薬会社の平均年収は600万~1000万円
製薬会社の薬剤師といっても、その職種や業務は様々です。
MRとして入社し、順調に成果を出していったのなら1000万円を超える収入も期待できますが、昼も夜も関係のない仕事ともいわれ、非常に厳しい職場環境で就労しなければいけません。
大学院を出ているのなら、研究職としての就職も考えることできます。
年収も十分に確保でき、高待遇ではあるのですが、募集人数も少なく、求められる条件も厳しいものとなるため、就職することが困難な職業でもあります。
職種別の年収相場
職種 | 年収相場 |
品質管理職 | 400万〜500万円 |
学術・DI職 | 450万〜600万円 |
CRA | 450〜650万 |
CRC | 420〜500万 |
講師 | 400〜500万 |
統計解析職 | 500万円~800万円 |
データマネジメント職 | 400万円~600万円 |
薬事職 | 500万円〜700万円 |
研究職 | 800万円~900万円(大手の場合) |
メディカルライター | 350万円~480万円 |
動物病院 | 380〜400万円 |
ネット通販会社 | 500〜550万円 |
専門性が高い職種であるほど年収は高い傾向にあります。ただし、統計解析職や研究職の大半は大学院で関連のある研究をしていた方なので、転職するのはかなり難易度が高いです。
逆にメディカルライターは専門性が他の職種と比べて低いため転職もしやすいのですが、薬剤師として働くより50〜100万円は下がってしまうので注意が必要です。
詳しくは、「薬局以外の就職先」で紹介していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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薬剤師の年収・給料をアップさせる4つの方法
それでは、みなさんが一番気になっている部分の解説に入っていきましょう。
薬剤師として働いていく上で、どのようにすれば収入を上げていくことができるのかを解説していきます。
管理薬剤師やエリアマネージャになりマネジメントスキルを持つ
管理薬剤師やエリアマネージャーは、ただ現場の仕事をしているわけではありません。
現場の動向を観測し、最適な人員配置や在庫管理を行う必要があります。
それに加えて、管理者として職場内の空気を良くすることができるのは重要なスキルです。
一般的な薬剤師が苦手としている部分でもあるので、ここは利点として活用できます。
職場、勤務地を変える
一つの薬局に長年勤めるのは、昇給もあるので確実に年収をアップさせていく手段です。
ですが、いっそのこと勤務地を変えてみることが年収アップの近道という場合も多くあります。
例えば、都市部から少し離れた薬局に変えてみるだけで、地方手当などのプラスアルファの収入が得られることもあります。
認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取得し実績を積む
認定薬剤師であることが算定要件になった現行の調剤報酬を考えれば、それらの資格を有しているというのも年収アップに貢献してくれます。
一部の薬局では認定薬剤師手当も実施されていますが、単純にこれらの資格保有をアピールしたとしても基本給が増えることにはつながらないことが大半です。
薬剤師の転職サイトを活用して給料の交渉をする
転職サイトには、日々新たな求人が出回っています。
薬局の数は今やコンビニよりも多く、すぐ近くの薬局であっても年収に差が出ていることも。
転職は一番効率よく年収アップできる手段の一つですので、常に情報収集のアンテナを立てておきましょう。
薬剤師はコミュニケーション上手なだけで年収が上がりやすい
薬剤師が年収をあげるために必要なことを4つお伝えしてきましたが、結局のところ最も重要なのは、コミュニケーションスキルにつきます。
薬剤師では勉強が得意な人は多いのですが、コミュニケーションを苦手としている人が多い傾向にあります。
きちんとした言葉使いやビジネスマナーを習得しているだけでも優秀な人材と考えてもらえますし、患者さんや医師、コメディカルなど、関わりを持たなければいけない人種が意外と多いのが薬剤師業界です。
きちんとした言葉使いで会話がうまいなど、コミュニケーションを円滑に行うことができる人が、今後の薬剤師業界では稼げる薬剤師になっていくでしょう。
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薬剤師に人気の高年収・高待遇求人例
最後に、実際に転職サイトで掲載されている条件の良い求人を紹介します。
東京都内で年収550万円以上〜700万、1分単位の残業手当
参照:マイナビ薬剤師
東京都江戸川にある調剤薬局求人です。都内勤務の募集年収は420万程度〜が多いのですが、こちらの求人は年収550万円以上から。さらに、残業は1分単位で全額支給のされるので働いたぶんしっかりと評価してもらえます。
中心部から離れれば年収630万円〜780万円、管理職ポジション
参照:リクナビ薬剤師
神奈川県の中郡二宮町にある調剤薬局求人です。中心部から離れれば一都三県だとしても年収800万円近く目指せる求人があります。
薬局設備(電子薬歴、自動分包機、自動監査システム)にこだわっている上、数少ない漢方も取り扱っている薬局です。
まとめ:高い専門性とコミュニケーション能力で給料アップ
今後の薬剤師に求められるのは、高い専門性はもちろんのこと、高いコミュニケーション能力が必要になります。
調剤報酬はかかりつけ薬剤師に重点を置き、今までは医師に集まる患者を相手にすることで収益を得られた薬局も、自分自身で集客をしなければいけなくなりました。
薬剤師の持つ魅力で患者などの関係性を持つ人たちをトリコにできれば、おのずとその薬剤師の年収は上昇していくことでしょう。
年収を上げるために登録すべき転職サイトとは?
薬剤師の転職サイトですと、マイナビ薬剤師・リクナビ薬剤師・薬キャリエージェントが有名どころです。
この中でも特にマイナビ薬剤師は、非公開求人を豊富に保有している上、年収アップの交渉力に定評があるので、前職と比べて50〜80万アップも期待できます。
転職サイトに登録したからといって、必ず転職しなければいけないわけではありません。まずは「相談する」ことからはじめてみましょう。
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