薬剤師が薬局以外で働く17種類の転職先とは?仕事内容や年収を紹介

薬剤師の勤務先は、その多くが調剤薬局です。

薬剤師全体の半数以上が薬局で就業していますが、薬局以外にもたくさんの就業先が存在し、人気を集めています。

たとえば製薬会社や治験会社など、直接患者に合わなくても、薬剤師スキルを活かせる職種が多くあるのです。

モンブラン

薬剤師が働く職場といえばなんですか?

あや

それはもちろん、調剤薬局とか病院とかドラッグストアとか、医療と薬に関わる施設ですよ。

きよみ

あとはMRとかもじゃない。介護施設でも薬剤師が必要だって聞いたことがあるわ。

モンブラン

お二人が言った通り、薬剤師の働く職場は、薬局や病院などの医療提供施設が75%を占めています。では、残りの25%はどこで働いていると思いますか?

あや

そういえば、医療提供施設の他にも薬剤師が働く場所はあるんですね。

モンブラン

働いている薬剤師の数は少ないですが、専門性が高く人気の求人も実は多いんですよ。調剤薬局の経営上の伸びしろは頭打ちになってきていますので、今後は新たな職場に目を向けてく必要があるでしょう。

薬剤師の半数以上が調剤薬局とドラッグストアに勤務

人数 割合
薬剤師全体 288,151人 100%
薬局・ドラッグストア 161,198人 55.9%
医療施設 54,879人 19%
医薬品関連企業 43,608人 15.1%
行政機関 6576人 2.3%
大学 5103人 1.8%
その他 16766人 5.8%

分業率が70%を到達し、分業上限が80%と仮定すると処方箋枚数、調剤金額の伸び率の面から今後の新規店舗出店は鈍化していくと思われますが、薬剤師が活躍できる職場は、実は数多く存在します。

薬剤師免許が必須ではなくとも、薬剤師スキルや知識、経験が活かすことができる職場があるにも関わらず、薬剤師の就職先は半数以上が調剤薬局となっています。

今後は分業率の頭打ちで処方箋数は伸び悩み、調剤薬局の発展は難しくなっていくことが予想されるため、薬剤師スキルを活かすことができる別な職種にも目を向けていくことが必要になります。

製薬会社や治験会社などの医薬品関連企業が人気の理由

製薬会社や治験会社などの企業求人に人気が集まるのには様々な理由があります。

その理由を一つ一つ紐解いていきましょう。

企業求人が人気理由

  • 高い専門性を持ったやりがいのある仕事
  • 充実した福利厚生や待遇、会社制度
  • 確実な昇給と高い年収

高い専門性を持ったやりがいのある仕事

医薬品関連企業では、配属される部門ごとに高い専門性をもった業務に従事します。

一つの業務を極めるような働き方ができ、薬剤師として培ってきた経験や知識を、最大限発揮できるのです。

薬剤師資格の必要がない業務だとしても、必要となる知識は非常に高いものを要求されるため、日々最新の知識を得るための勉強は欠かせません。

ですがそれによって、毎日の仕事にやりがいを持って対応していくことができるのです。

充実した福利厚生や待遇、会社制度

企業ごとに特色のある福利厚生が用意されており、余暇施設の利用や財形貯蓄など、通常の会社ではないようなサポートが用意されています。

基本的に土日は休みで、年末年始や夏季休暇も用意され、慶弔休暇も確実に取ることができることも働きやすさをアップさせている要因です。

教育研修制度も充実し、キャリアに応じて様々な研修が実施されることで、キャリアップにつながる学習をしていくことができます。

確実な昇給と高い年収

薬剤師が働いていく中で、最も高いレベルの年収を得られる可能性があるのが、企業での就職です。

毎年確実に昇給が実施され、賞与も安定して支給、基本給以外にも様々な手当が支給されます。

その分業務は忙しく、専門性の高い作業を求められますが、キャリアパスも明示されているため、目標を持って働くことができるのです。

あや

医薬品関連企業ですか。そういわれてみれば、私たちがいつも取り扱っている医薬品を作る仕事や、メーカーから各地に販売する卸の仕事も、薬に関わることですもんね。

モンブラン

たとえば治験を実施していくためにも、さまざまな専門職が関わっています。そこを薬剤師が担っていくと言う働き方もあるんですよ。

きよみ

医薬品関連企業ってまとめていったって、薬剤師が働けるのは結局研究かMRくらいじゃないの?

モンブラン

いいえ、薬剤師のスキルが活かせる仕事は、結構多いんですよ。ざっと列挙していきましょう。

薬局以外で働く13種類の様々な選択肢とは?

薬剤師スキルを活かして働くことのできる職業は数多くあります。

薬剤師国家資格が必要とされない職種も多いですが、薬剤師としての知識は至る所で発揮され、薬剤師であるということが優遇される点も多いものです。

薬局以外の選択肢を下記に紹介したします。

臨床開発系

CRA

CRAは臨床開発モニターとも呼ばれている、治験を管理監督する仕事です。

CRO(医薬品開発受託機関)や製薬会社に勤務することとなり、治験の進行をトータルサポートして様々な手続きなどを行うことを主な業務としています。

臨床開発モニターcra 薬剤師から臨床開発モニターCRAへ転職するには?仕事や年収も合わせて解説

CRC

CRCは治験コーディネーターとも呼ばれている、治験のスムーズな実施をサポートする仕事です。

SMO(治験施設支援機関)や医療機関で勤務することとなり、治験実施機関で医師やコメディカル、CRAや被験者の仲介役として業務を行っていきます。

治験コーディネーターcrc 薬剤師から治験コーディネーターCRCへ転職するには?仕事や年収も合わせて解説

データマネジメント

治験実施によって集められた膨大なデータを、統計解析できる状態まで調整する作業を行います。

医師独自のあいまいな表現やデータの不備などを是正させ、データを管理することを求められます。

データマネジメント 統計解析のためのDBを作成するデータマネジメント職(安全情報管理)とは?

統計解析

データマネジメントによって作られた治験情報を、生物統計学を用いて安全性や副作用発生の情報を科学的に裏付けのある数字に落としていきます。

統計解析が可能になる症例数などについて、治験計画から参加していく場合もある職種です。

統計解析職 薬剤師でも統計解析職(SA)に転職できる?仕事内容や年収も解説

薬事・メディカルライティング

治験や医薬品開発、医療機器開発などに用いられる届出書や実施計画書など、専門的な知識を必要とする書類を作成する仕事です。

メディカルライティングでは、広告業界のメディカルコピーライティングも存在していますが、完全に別な仕事ですので、混同しないようにしましょう。

薬事 医薬品開発の要!薬剤師が薬事申請職に転職するには?仕事や年収を解説

製造販売後調査(PMS)

既に発売されている医薬品や医療機器などの、有効性や安全性を再確認するための市販後調査を行い、必要に応じて情報提供を行う業務です。

海外との連携が必要となることも多く、英語力や迅速な事務作業能力を必要とされる職種です。

研究・品質系

基礎研究

人間に対して有益な作用を持つ化学物質を見つける為の研究を行っています。

自然界から抽出することもありますし、人工的に合成していく場合もあります。

求められるスキルはすべて高いレベルのものであり、就業するには旧帝大レベルの学歴がなければ困難でしょう。

研究職(創薬・CMC) 薬剤師が研究職として製薬会社に転職するには?難易度や業務内容を紹介

非臨床研究

合成された新薬の候補である化学物質に関して、薬効試験や毒性試験など、さまざまな試験を実施していきます。

人間に投与することはありませんが、動物実験を積みかさねてデータを集積・分析を行い、人間に投与する臨床試験に向けて様々な作業を行っていく仕事です。

品質管理

製品の品質を維持するための業務を行います。

企業によって受け持っている業務は大きく異なりますが、一般的には原材料の品質が基準以上のものであるか検査を行ったり、製造された商品の製品が表示通りのものであるのか検査を行ったりしています。

品質管理 薬剤師が品質管理職として製薬企業に転職するには?仕事内容や年収を解説

品質保証

製造する商品が法律に準拠して製造されるように管理していく業務を行います。

企業によってどの程度の業務を求められるかは大きく異なりますが、一般的には製造工程のスケジュール管理を行い、必要となる備品を用意し、申請書の作成なども任されることになります。

情報系

学術・DI

病院や製薬会社、卸会社などにおいて医薬品情報を管理する業務を行います。

職場によってどの程度の業務を求められるかは大きく変わり、外部からの問い合わせに対応するオペレーターのような業務が中心の場合や、自社製品の情報管理と職員への教育などのより専門性が高い業務を行っている場合などがあります。

学術・DI(ドラッグインフォメーション) 薬剤師が学術・DI(医薬品情報管理職)に転職するには?仕事や年収を解説

メディカルコピーライティング

広告業界において医療・健康に関わる記事を作成し、薬剤師としての専門知識を活かして薬機法に違反しないように広告・記事の監督を行う業務を行います。

メディカルコピーライター 薬剤師資格を活かすメディカルコピーライターとは?仕事や年収を解説

営業系

医薬品情報担当者(MR)

製薬会社などに所属し、医薬品の適正な情報を提供し、場合によっては収集する業務を行います。

営業職として医師や薬剤師との関係性を円滑に維持することが必要になるため、コミュニケーション能力が高い人材が重宝されます。

勤務時間中も自分の裁量で行動できるため自由になる部分が多いですが、逆に営業時間外でも対応が求められることがあるため、体力的にも大変な仕事です。

薬剤師からMR 薬剤師からMRに転職するには?年収や営業ノルマも合わせて徹底解説

あや

すごい!ざっと話すだけでもこんなにあるんですね!

モンブラン

薬剤師の中には、調剤薬局の仕事に飽き飽きしている人もいます。まったく働き方は変わってしまいますが、これらの職種を考えてみるのも、新たな人生の幕開けとなるかもしれませんよ。

薬剤師にとっては医療施設が就職先として最もポピュラーなものですが、就職先をそこにだけに絞ってしまうのは、非常に勿体無いことなのです。

薬剤師の専門知識は、様々な場所で発揮できます。

こちらにある記事を通して、「こんな仕事があるんだ〜」「私に向いているかも」「こんな仕事がしたかったんだ」と、新しい気づきで仕事の選択肢を広げるお手伝いができれば幸いです。