医薬品のネット販売が解禁になったのは、まだ記憶に新しいことですよね。
インターネットが普及し、IT社会となって久しい昨今ですが、それによって物流の形も変化しました。
手元にあるスマートフォンで簡単に注文ができ、自宅に居るまま欲しい商品が手に入る状況が当たり前となったのです。
ネット販売主流の流れは、薬剤師としての働き方にも深く影響を与えています。
今回は、ネット販売における薬剤師の仕事の広がりについてお話ししていきます。
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2017年のEC市場規模は16兆円、5.79%の成長率
ECとは、ネットショップでの販売のことを指しています。様々な業界で市場の成長が伸び悩む中、堅実に成長を続けているのがネットショップです。
2017年のEC市場規模は16兆円を超えており、その成長率も5.79%と高い状態で推移しています。
化粧品やOTC医薬品におけるネット販売もこの中に含まれ、今後もどんどん成長していくことが予測されています。
- 2014年:4415億円
- 2015年:4699億円
- 2016年:5268億円
- 2017年:5670億円
前年比:5.27%の伸び率
ネットならコンプレックス要因のOTC医薬品を購入しやすい
ネット販売の最大の利点が、顔を合わせることなく売買が成立するという点です。
これは特に、育毛剤や婦人薬、強壮薬など店頭で購入しづらい商品の販売に適しています。
コンプレックスは他人に知られたくない個人情報の最たるものですし、性に関係する製品の購入も同様に知られたくないものです。
そういった部分をケアする目的を持つOTC医薬品は、匿名だとしても対面での購入は避けられる傾向にあり、ネットでの購入が主流となっている現状があります。
人間にとってコンプレックスは、いつの時代になっても消えることはありません。
対面では恥ずかしくて購入できなかった層が、ネットでの購入が可能になったことで新たな顧客となっていることも、OTC医薬品のネット販売が順調に成長している要因となっているのです。
IT化に対応できる会社とできない会社に別れる
OTC医薬品を販売している会社のなかでも、ネット販売などのIT化に対応できる会社とできない会社に分かれます。
大手のドラッグストアなどでは自社サイトを作ってネット販売へ注力していますし、調剤薬局や薬店でもネット販売を新たな収入源と見込んでECモールへ出店している会社も存在します。
ただし、IT化の流れに乗れない会社や、あえて乗らない会社も多く存在しているのです。
ネット販売を導入することによる業務の増加や煩雑さなどから、あえてIT化の対応を取らない会社も存在し、特に調剤薬局では処方箋を主な収入源としているため、ネットからの集客をする必要もなく、OTC医薬品の販売に積極的ではない店舗も多く存在します。
経営者が高齢で個人経営の薬店・薬局で、特にその傾向が強くなります。
薬局やドラッグストアでは、OTC医薬品に関しては値引きせずとも商品名を指定して購入する方が多かったため、利益が大きく旨みのある商品でした。
ですが、ネット販売が普及した事によって、対面での顧客は減少傾向にあります。
多少パソコンが使えれば、銘柄を指定して購入したとしても通常よりも安価で購入ができ、何かしらのポイントや特典まで貰えるのですから、ネットに顧客が流れることは仕方のないことだと言えるでしょう。
医薬品を店頭で購入するメリットとネットで購入するメリット
- 今すぐ欲しい
- 薬剤師の意見を直接聞くことができる
- 安く購入することができる
- 購入方法が選べる(クレジットカードならポイントもつく)
- 外出する必要がない
- 朝注文すれば夕方には届く(アマゾンプライム)
- 薬剤師に意見を聞くことができる
頻繁に使用している医薬品なら、顧客の流れは確実にネットに移行していきます。
定期購入で契約すれば、通常よりもさらに低価格で手に入れることが可能になりますし、昔のように配達に時間がかかるということもありません。
高齢者でもネットを使いこなせる時代は、今後確実にやってきます。
そうなれば、OTC医薬品に関してはネット販売の独占になってしまう可能性さえあるのです。
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ネット通販を行う企業が薬剤師の仕事の幅を広げる
ネット通販だとしても、第1類医薬品を販売するためには薬剤師免許が必要となります。
第2類・第3類に絞った営業をしていくのであれば登録販売者でも可能ではありますが、あまり現実的ではありませんよね。
医薬品は広告の内容なども厳しく規制され、ネットでの販売においても薬機法をしっかりと理解していなければ困難となります。
薬剤師の知識は、ネット通販においても監査役として有用なものとなるのです。
ネット通販を行う企業が増えることは、薬剤師の新たな仕事の幅を広げることだといえるでしょう。
ネット通販会社で働く薬剤師の仕事内容
それでは、ネット通販会社で働く薬剤師の仕事内容を見ていきましょう。
ネット通販会社だとしても、薬剤師が勤務する場所はオフィスとなることは少なく、主に物流センターと実店舗、どちらかでの勤務となります。
医薬品のネット販売をするためには実店舗を構えている必要がありますし、在庫を多く抱えることになるため物流センターでの管理薬剤師となることもあるでしょう。
ネット通販会社での薬剤師は、実際に来店した顧客への対面販売や店舗管理も必要になり、それに加えてネット販売の管理を行う必要があるのです。
ネット通販会での仕事内容
- お客様からの問い合わせ対応
- 医薬品販売サイトの管理・更新
- 実店舗の管理
- 第1類医薬品の適正使用の判断
- 購入記録の管理
1、お客様からの問い合わせ対応
医薬品に関する疑問点や不安なこと、病状の相談などへの対応が求められます。
多くはメールでの対応となりますが、なかには電話での相談をされることもあります。
この対応は対面でもネットでも変わりはなく、必要があれば受診勧告を行い、顧客の健康管理のサポートを行っていきます。
2、医薬品販売サイトの管理・更新
医薬品の販売サイトは、法律によって様々な規制をされています。
法律に準拠したサイト構成とするための管理は重要であり、薬機法や厚生労働省通知などを理解していなければ困難であるために、主に薬剤師が管理者として従事します。
通常の店舗と同じく薬事監査への対応も求められるため、サイトの管理・更新は薬剤師が担っている場合が多いのです。
3、実店舗の管理
ネット通販会社だとしても、医薬品を販売するためには実店舗を用意することが法律で定められています。
しかも、週に30時間以上の営業が必須であり、ネット販売を行っている時間の半分以上の時間を、実店舗も開店している必要があります。
調剤をしている必要はありませんが、実店舗に来店された顧客の対応も業務の一つとなるのです。
物流センターの管理者を兼任して雇われる場合には、ネットでの対応に加えて、倉庫の管理者として製品の品質管理なども主な業務となります。
勤務する企業によってどのような仕事を任せられるのかは変わってきますが、完全にネットのみで仕事が完結する企業はないと考えてください。
4、第1類医薬品の適正使用の判断
第1類医薬品の情報提供は、薬剤師が行わなければいけない業務です。
購入希望者から説明不要の申し出があったとしても、薬剤師がそれぞれについて判断を下し、本当に適正使用できると判断できる場合でなければ、情報提供は免除されません。
この判断は、登録販売者や一般職員には権限がなく、必ず薬剤師が行わなければいけないものとなります。
5、購入記録の管理
購入記録の管理が法律で義務付けられています。
ネット販売したものに関しては、購入者の情報をそのままデータベース化し、購入記録管理ツールとして使用することができますが、実店舗で購入されたものに関しては、自身でデータベースに打ち込んでいかなければいけません。
要指導医薬品・第1類医薬品は記録管理することが義務であり、第2類・第3類医薬品は努力義務となっています。
医薬品のネット大手通販会社
医薬品のネット販売を行っている企業について見ていきましょう。
ネット通販で医薬品のみを扱っている企業は少なく、既にネットを活用した様々な業務を行っている企業が多く名を連ねます。
既にネット通販では最大手の一つであるAmazonや、処方箋の予約システム「ヨヤクスリ」を提供しているケンコーコムなどが、医薬品のネット販売においても大手となっているのです。
Amazon
第1類・第2類・第3類医薬品をAmazonサイトで販売。在庫を持つ物流センターで薬剤師の直接雇用を行っています。
ケンコーコム
宇都宮と福岡にある物流センターにて薬剤師の雇用を行う、完全週休2日シフト制、年収500万〜と薬剤師にとって好条件の環境です。
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ネット通販会社なら立ち仕事、体力仕事がなく無理なく働ける
ネット通販会社での勤務は、通常の調剤薬局やドラッグストアに比べれば体力的に楽な業務となるでしょう。
ネット通販会社の物流センターは実店舗を兼ねている場合もあり、その場合には外からの来客は受け入れていても実際にはごく少数で、ネットでの管理と物流センター内の管理を行うことが主な業務となります。
そうなれば、立ち仕事や体力仕事は限りなく少なくなり、対面での仕事もないことから精神的な負担も軽減されます。
調剤業務をするわけではないので、苦手意識や調剤過誤を起こしてトラウマがある薬剤師でもオススメできるものです。
ただし、ネット通販会社だとしても実店舗をドラッグストアや調剤薬局として運営している場合もあるので、すべての会社が楽な業務というわけではありませんので注意して下さい。
ネット通販会社の求人
ネット通販会社が必要としている薬剤師の数は限られており、絶対数が少ないことから求人の数も少なくなっています。
ネット通販会社の求人は、平均値がおおよそ年収500万円程度となっており、仕事内容に比べて処遇が良いことが特徴として挙げられます。
実際の求人内容を見ていきましょう。
東京都五反田駅、年収500万〜+土日祝日休み
参照:薬キャリエージェント
千葉県南船橋駅、時給2800円+1日8時間WワークOK
大手家電量販店が運営する物流センターでの勤務
参照:薬キャリエージェント
福岡県鯰田駅、年収550万可能+シフト制で残業なし
医薬品・健康食品を販売するネット通販会社
参照:ファルマスタッフ
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まとめ:21世紀の薬剤師の仕事は、IT化を活用してさらに発展!
薬剤師の仕事は時代の移り変わりによって変化し、その都度職能を広げながら発展してきました。
インターネットが普及し、OTC医薬品のネット販売が解禁されたことも、薬剤師の更なる発展に寄与することは間違いありません。
医療安全などの観点から反対する意見も存在しますが、ただ否定するのは思考停止を招くのみです。
時代の流れを読み、薬剤師としての仕事の幅を広げるために活用することこそが大切だといえるでしょう。
ネット販売会社の求人を多く扱う転職サイトとは?
有名どころの転職サイトですと、薬キャリエージェント、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師がありますが、特に薬キャリエージェントは、職場の内部情報を熟知している上、交渉力にも定評があるので年収を下げずにネット販売会社への転職が期待できます。
初めて転職する業界では、その転職先企業の状況や福利厚生・待遇などの情報が不足しがちになりますが、転職コンサルタントのサポートを受けることによって、不足しがちな情報を適切に補完してもらうことが可能になります。
ネット販売会社が募集する求人数は少ない上に人気職なので、募集があると応募者が殺到することがほとんどです。
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薬キャリエージェントでネット販売会社の求人を探す【登録1分】
名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話連絡がきますのでネット販売会社の求人動向を聞いてみましょう。心強いサポートをしてくれますよ。