薬剤師が退職する理由は様々ですが、誰しも退職する時は波風立てずに退職したいもの。
退職にもマナーがあり、それが守られていない時には「常識のない社会人」というレッテルを張られ、円満に退職することが難しくなります。
薬剤師は社会人マナーに疎いというマイナスイメージがあるのが現状ですが、しっかりと確認しておけば恐れることはありません。
社会人として退職の知識を備え、マナーを守り、円満退職を目指していきましょう。
あや
きよみ
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モンブラン
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退職届を提出する前に確認しておくべき基礎知識
退職することを決めたとして、どのような手続きを踏んで、どのように次の職場に就職すれば良いのか、順序立てて理解しているでしょうか?
薬剤師の転職が一般的になったとはいえ、転職の手続きやマナーをしっかりと理解している人は少ないものです。
この基礎知識・マナーを知らないだけで、険悪なムードになってしまうこともありますので、事前に確認しておきましょう。
たとえば退職届の取り扱いにしても、退職する希望を伝える「退職願」は必要なのかどうかに違いがあります。
職場によっては退職願だけで退職手続きが進行していく場合もあれば、その後に改めて退職届を提出する場合もあります。退職願が必要のない職場も多くあるでしょう。
自分の職場の規定に応じて、適切な手続きを行わなければいけません。
また、退職届の書き方も、テンプレートに則って記載しなければマナー違反となり、円満退職の障害となります。
職場でテンプレートを用意していることもあるため、独自に書き始めるのではなく、社則などを確認することを忘れないようにしましょう。
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円満退職するのなら2〜3ヶ月余裕を持ち、繁忙期は避ける
円満退職を目指すのなら、自分の都合ばかりではなく、相手の都合も考慮する必要があります。
どうせ辞める会社だからと自分本位の考え方をしていては、円満退社は難しいのです。
では、具体的にお互いに気持ちよく退職を進めるためには、どんなタイミングが良いのでしょうか。
答えは、繁忙期に重ならないように配慮して、退職を予定している日から2~3ヶ月前に申し出るのがベスト。
民法第627条によると2週間前に退職届けを出せば問題ないとされていますが、現実はそう簡単ではありません。
入社する際に雇用契約書を取り交わしたと思いますが、そこには勤務に当たって社則を順守するというルールが定められています。
法律上は問題なくとも、不当な待遇だと声を上げれば常識がないのは退職者側となってしまうのです。
今後一切薬剤師業界と関わらないのであれば問題はありませんが、今後も同じ業界で働くのであれば、法律だけを考えるのではなく、マナーをしっかりと守ることが大切です。
経営規模が小さい個人の調剤薬局の場合では、条件が曖昧なままで勤務が開始されてしまうこともしばしばあります。
そういった会社では雇用契約書をお互いに保管するという最低限の雇用契約すら守られていないこともありますので、もし雇用契約書が手元にないのなら、きちんと交付してもらうようにしましょう。
会社の就業規則によって退職の予告期間は異なる
基本的に社則には退職に関わる項目が用意されており、そこには「退職する場合にはその予定日よりも○ヶ月前に会社に申請する」と記載されているはずです。
この数字は一般的には2ヶ月で設定されている企業が多いですが、すべてがそうであるとは限りません。
社則の記載に関しては、企業側が任意で定めることができる部分ですので、どうとでもできるのです。
退職を準備するときには、きちんと確認しておいてください。
退職時には、有給休暇の処理や業務の引き継ぎなど、通常業務とは異なる働き方が必要になります。
それらの案件を滞りなく行うとすれば、おおよそ3か月前には退職願を提出するほうがいいでしょう。
ただし、自分の都合だけではなく、繁忙期はできるだけ避けることを心がけてください。
円満退社するためには、繁忙期を避けて期間に余裕を持つことが最大の秘訣なのですから。
引継書の作成とかかりつけ患者の対応は特に重要視する
職場を退職する際には、自分が手掛けていた仕事を残される人にしっかり伝えることが大切です。
自分が担当していたプロジェクトがとん挫してしまったり、重要な書類が見つからなかったり、顧客からのクレームが出たりした場合には、辞めてしまった人に責任が擦り付けられて、不要な恨みを買ってしまうことになります。
そういったことを避けるため、業務の概要・作業フロー・書類の保管場所など、大切な事項はしっかりと引継書を作成して公明正大にしておきましょう。
また、昨今はかかりつけ薬剤師の業務を受け持っている薬剤師も多く存在していますので、患者対応は特に念入りに行う必要があります。
かかりつけ薬剤師の変更手続きは特に難しいものではありませんが、今までかかりつけ薬剤師としていた人が変わると言うのは、患者にとって裏切られたような感覚をもってしまう可能性があります。
いつでも対応できるように在職中にかかりつけ薬剤師の変更を行い、サポートしながらスムーズなかかりつけ薬剤師の変更を目指しましょう。
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退職時のトラブルを事前にシミュレーション
どれだけしっかりと準備していたとしても、かならず不測の事態・トラブルは発生します。発生しなかったらラッキーというくらいの気持ちでいるべきでしょう。
薬剤師の退職で発生しやすいトラブルを事前にシミュレーションし、何が起きてもあわてず対応できるようにしておくのがベター。
たとえば薬剤師の転職で良く発生するトラブルは、退職の意思を伝えたのに手続きが進行せずに引き留めに合い、いつまでも退職できないことです。
こういった場合には、証拠が残る退職の意思表示を行うことで対策を行います。
明らかに常軌を逸した引き留めを受けた場合には、労働基準監督署や裁判所への訴えも視野に入れておかなければいけません。
突然のことではパニックになりやすい状況でも、調べておくことで冷静に適切に対応できます。事前のシミュレーションは退職の必須事項とも言えることなのです。
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各種保険や受け取る書類を確認しておき不備がないようにする
会社に勤めている間には、会社から預かって勤務に使用しているものと、会社に預けているものがあります。
長く勤めていると忘れてしまいがちになりますが、会社から預かっているものは返却する必要がありますし、自分の預けているものはきちんと返してもらわなければいけません。
その他にも、退職に当たっては様々な書類が発行されます。
転職先で必要になった時に慌てないように、ここでそれらの項目を確認しておきましょう。
退職時に受け取るもの
退職時に受け取るもの
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 薬剤師免許証
- 保険薬剤師登録票
- 年金手帳
- 源泉徴収票
まず、会社に預けている私物を回収する必要があります。
入社時の確認が終わったら返却されている場合もあるため会社の方針で異なりますが、年金手帳や薬剤師免許、保健薬剤師登録票を会社が保管している場合には、忘れずに回収しておきましょう。
また、退職することによって会社が発行する書類を受け取る必要もあります。
勤務していた月までの源泉徴収票を受け取らなければ、転職先で年末調整を受けることができず、確定申告もできません。
もし紛失してしまった場合でも再発行は可能ですが、迷惑を掛けないためにもしっかりと管理しておきましょう。
雇用保険被保険者証・離職票は雇用保険を活用し、失業給付を受ける際に必要になります。
もし国民健康保険へと切り替えるのなら、離職票はそれにも使用しますし、期間を開けずに転職するとしても、職歴を証明するために提出を求められることも考えられます。
退職時に受け取るものは、すべて重要な役割を持っていますので、きちんとチェックしておいて下さい。
退職時に返却するもの
退職時に返却するもの
- 健康保険証
- 社員証や社章
- 就業規則手帳
- その他(制服や仕事上の資料など)
退職時に返却するものは、就業時に会社から与えられたものと考えてください。
健康保険証の返却は一般的なものなので忘れることは少ないですが、業務のために購入した備品もすべて返却対象となることを忘れてはいけません。
制服や社員証はもちろん、シャチハタ印などの自分の名前でしか使用できないものだとしても返却の対象になります。
会社のために作成したデータや資料などの知的財産も、その権利は会社に帰属していますので返却することが求められます。
横領の疑いを掛けられないように、物品もデータもしっかりと返却しましょう。
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きよみ
まとめ:円満退社のために余裕をもって申告し、マナーを守って大人の対応!
退職の意思を固めたのなら、できるだけ会社に迷惑を掛けない時期を見定めて、余裕をもって申告しましょう。
退職を申請したときには、会社側の都合を話されることになりますが、自分の譲歩できるラインを見定めて、譲れない部分はどこにあるのかをきちんと把握しておくのも、冷静に対処するためのポイントです。
感情的に対応するのではなく、理性的に大人の対応が円満退職の基本中の基本。退職の意思を伝えても、そのまますぐに退職できるわけではありません。
マナーを守って大人な対応ができれば、残りの在職期間もストレスなく過ごすことができるでしょう。また、円満退社ができれば、退職後も良い関係を維持することが可能です。
あなたの退職が素晴らしいものとして成功することをお祈りしています。