かかりつけ薬剤師として多くの患者の担当を持っていると、退職・転職の時の対応について悩んでしまいますよね。
調剤報酬の算定にも関わる案件であるため、会社に迷惑を掛けないように行動しなければ、円満な退職はできません。
今回は、かかりつけ薬剤師の転職・退職に関わる担当患者の引継ぎについて解説いたします。
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かかりつけとして多くの患者を担当している薬剤師の相談
美希さん 38歳 調剤薬局勤務
かかりつけとして精一杯仕事に打ち込んでいるのですが、業務内容が増えたにも関わらず、手当が少なくやりがいという名の搾取だと感じています。
かかりつけ制度自体は、薬剤師の業務の幅を広げたためプラスの事ですが、あまりにも薬剤師の負担が大きいと思っています。
患者によっては、薬と関係のない事で電話をされます。まるで、ただ世間話しをしたいだけ。
患者と距離が近くなりすぎてしまったと後悔することもあります。
かかりつけの患者数ノルマがなく、トラブルやケースごとのマニュアルがあり、給料に業務内容が反映される職場に転職したいと考えています。
現場サイドの負担を理解してくれている経営者だとなお良いです。
そこで転職活動を始めるにあたって、今担当している患者の引き継ぎや対応をどうすべきか悩んでいます。
かかりつけ薬剤師制度の開始によって、先行して患者を囲い込み、より多く利益を確保するため、多くの薬局がかかりつけ薬局として届け出をしました。
ただし、その運営は制度に対応するマニュアルなどがないまま、見切り発車での開始となっています。
当然そのしわ寄せは薬剤師に来ることになり、あまりの多忙さに忙殺されてしまう薬剤師も多く生まれたのです。
体制の整った薬局へと転職を考えたとしても、患者の引継ぎなどの新たな懸案事項が生まれてしまう状況で、多くの薬剤師が希望通りの転職が難しいと感じているのです。
担当患者がいようと転職・退職方法に違いはありません
実は、担当患者がどれだけいようとも、転職・退職の方法に違いはありません。
会社に退職の意思を伝え、猶予期間が経過した後に退職するだけで良いのです。
普通の退職でも、自分が受け持っていた仕事は、きちんと引継ぎを行ってから退職しますが、かかりつけ薬剤師としての担当患者も、同様に引継ぎしてから退職すれば問題ありません。
調剤報酬上の要件を満たし、再度同意を得て別な薬剤師にかかりつけ薬剤師を変更するだけなのです。
引き継ぎを行うとしても患者の同意が再度必要
かかりつけ薬剤師だからと言って、引継ぎに難しいものはありません。
現在の指導内容や患者の状態・特筆事項などを伝え、新たなかかりつけ薬剤師に担当してもらえば良いのです。
ただし、同一薬局内のかかりつけ薬剤師だとしても、かかりつけ薬剤師を変更する際には患者からの再同意が必要になります。
新たに同意を取得すれば次回から算定可能となりますが、ここで注意しなければいけない点がひとつあります。
かかりつけ薬剤師指導料の算定は、同一月内では同じ薬剤師が算定しなければいけないという点です。
変更前の算定状況を確認し、患者の同意を取得する時期も含めて調整していく必要があるのです。
2〜3ヶ月余裕を持った転職期間が理想的
通常の退職でも、社則の規定に則って2~3ヶ月の余裕を持った退職が通常です。
労働基準法では2週間の猶予があれば退職可能となっていますが、円満な退職のためには会社のルールを守った行動をするべきでしょう。
かかりつけ薬剤師の場合、かかりつけ薬剤師指導料の算定が、同一月内では同じ薬剤師がしなければいけないというルールも存在します。
退職の時期は、社則に定められた期間と患者の同意取得の時期も併せ、余裕を持った退職計画のもとに行動することが理想的です。
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ノルマ・マニュアル・給料への反映が働きやすく整備されている薬局は少数
かかりつけ薬剤師制度が始まって、まだわずかな期間しか経過していません。
まだまだ試行錯誤中の薬局が多く、マニュアルによる管理も徹底されておらず、ノルマ設定も現実的な数字ではない場合が多いのです。
かかりつけ薬剤師として頑張ったとしても、その頑張りが給料に反映されるシステムの構築もされておらず、やりがいなどの精神的な報酬ばかりがアピールされる薬局は注意しなければいけないでしょう。
かかりつけ薬剤師指導料月100回を目指す薬局は注意
現在の調剤報酬は、チェーン薬局に対して算定できる報酬が低くなるように作られています。
同一グループの保険調剤薬局で、月の処方せん受付枚数の合計が4万回を超えているグループの保険調剤薬局では、調剤基本料の特例措置として調剤基本料が低くされてしまうのです。
これらの制度は大手調剤薬局チェーンであるほど厳しくなるように設定されていますが、この特例から除外されるための条件も存在します。
それは、勤務している薬剤師の半数以上がかかりつけ薬剤師として届け出を行っており、勤務薬剤師一人当たり換算で月に100件のかかりつけ薬剤師指導料を算定していることが条件となっています。
当然利益を確保するため、月100回の報酬算定を目指すことになりますが、そうなれば担当患者をできるだけ多く確保することを目指すことになり、ひたすらかかりつけ薬剤師の業務に追われることになってしまうのです。
かかりつけ薬剤師指導料の算定月100回を目指す薬局は、かかりつけ薬剤師の業務が恐ろしく過密である場合が多いため、転職する際には要注意の案件なのです。
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1店舗で長期的に働いてくれる人材を求める傾向
かかりつけ薬剤師制度が始まったことによって、薬局の経営者としては長期的に働いてくれる薬剤師を求めるようになりました。
かかりつけ薬剤師として登録できる条件の中には、当該薬局において半年以上の勤務経験があることという項目があります。
算定できるようになってから数カ月で退職されるようでは、採用したとしてもメリットが得られないのです。
一つの薬局で安定して長期間働けるように、求職者としても希望通りの転職先を探していくべき状況となっているのです。
転職サイトを活用して希望条件以外にもかかりつけ対応の状況も要確認!
転職する際には、福利厚生や給与などの待遇に加えて、かかりつけ薬剤師制度に対する状況も調べておくことが必要になります。
ただし、求人票などの転職情報には、かかりつけ薬剤師制度の運営状況に関することが記載されていることはありません。
そこで重要になるのが、情報収集の方法です。
自分の力で転職先の情報を集めるのは非常に困難となりますので、様々な薬局の情報を集めている転職サイトを利用するべきでしょう。
転職サイトでは、転職条件に関わる情報だけではなく、その薬局の内部事情にかかわる情報も集められています。
場合によっては、周辺の交通事情まで網羅していることもあるほどです。
転職サイトを活用し、かかりつけ薬剤師制度に対する状況も確認することが、成功する転職への鍵となります。
まとめ:かかりつけ薬剤師でも転職は簡単!希望通りの働き方を目指して行動することも大切です!
かかりつけ薬剤師として担当患者を持っていると、転職する際には難しい手続きをしなければいけないのではないかと考えてしまい、二の足を踏んでしまうものです。
ですが実は、かかりつけ薬剤師だとしても転職する際の面倒な手続きは存在せず、患者の再同意の取得と同一月内の算定にだけ注意すればよいのです。
現在はかかりつけ薬剤師制度が始まったばかりで、多くの薬局が手探り状態での運営になっています。
働き方に疑問を感じているのなら、運営方法を確立しており、本来のかかりつけ薬剤師の業務を実施できるような薬局への転職を目指すことも、良い選択肢となることでしょう。
特に転職サイトのマイナビ薬剤師は、職場の内部情報に詳しく、かかりつけ薬局として対応がしっかりしている薬局を紹介してくれるでしょう。手厚いフォローに定評があるので自分らしく働ける職場がきっと見つかるはずです。
ただし、かかりつけ制度の整備が整っているような調剤薬局は応募者が殺到するため、募集してから数日以内に締切してしまうケースも少なくありません。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックし情報収集は欠かさず、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるようにしておく事が転職を成功させるコツです。
名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話で連絡がきますのでご自身の希望条件や職場の悩み、情報収集したい事を伝えてみましょう。心強いサポートをしてくれますよ。