女性にとっての一大イベントである出産。そのイベントに向けて準備するために産休が存在しますが、その後には赤ちゃんとの大切な時間である育休が続きます。
「産休に入る前には、半年くらいで復帰できるかな?」「余裕をもって1年にしようかな?」などと色々考えますが、実際に赤ちゃんと過ごした育休期間を経た後では、子育てしながらの勤務はかなり大変だと気付くことでしょう。
うまく時間を区切って働ければいいのですが、場合によっては復帰せずに退職を選択しなければいけない事態も想定されます。
しかし、育休からそのまま退職しても良いものなのでしょうか。
そこで今回は、育休から復職せずに退職する時の注意点などをまとめてお伝えします。
あや
きよみ
モンブラン
きよみ
モンブラン
育休明けの退職を考えている薬剤師の相談内容
まずは育休明けから退職を考えている薬剤師の相談から、退職に対する不安・悩みを共有して、どういった点に注意すればいいのかをチェックしていきましょう。
相談内容
いざ子供が生まれて子育てを始めてみると本当に大変なことばかりで、この状態では時短勤務とはいえフルタイムでは働けないというのが本音です。
子供が小学生に上がるまでは、自宅から近い調剤薬局かドラッグストアで週3程度の日数でパート勤務をしたいなと思い始めました。
もちろん保育園に入れるかの問題はありますが、育休明けの退職はイメージが悪いしどうしようか悩んでいます。
子供が生まれる前に想像していたことは、悪い意味で裏切られることが多いものです。
かわいい赤ちゃんとの楽しい生活も確かに存在しますが、そんなものは表面上だけのものです。
赤ちゃんを育てていれば、ミルクやおむつ交換で睡眠時間は削られてしまい、肉体的にも精神的にも大変な労力がかかります。
育休が1年あったとしても、子供の世話に掛かる手間は大きくは変わりません。
そのまま復職することを難しく感じるのは当然のことだと言えるでしょう。
ですがここで問題が生じます。育休は復帰することを前提にした制度であるため、もし退職としてしまえば約束を破ることになってしまうのです。
当然イメージは良くありませんが、実は育休を取得したまま、育休明けに退職するという例はある程度存在しています。
育休を取得した7.2%の女性が復職せずに退職
育休は復帰を前提とした制度であるため、取得した人が全員必ず復帰しているのかといえば、決してそうではありません。
厚生労働省の統計によれば、育休を取得した人の中で7.2%は、そのまま退職となっています。
昨今は男性の育休取得も推進されていますが、男性が育休後に退職する例と言うのはほぼ存在せず、母親として女性が退職する例が多いようです。
- 復職した女性:92.8%
- 退職した女性:7.2%
育休明けの退職は法的になんら問題はない!
育休明けの退職は法的になんら問題ありませんが、産休・育休の取得要件は「職場復帰が前提」であることは覚えておきましょう。
法律的には罰則などがなくとも、約束を反故にしていることは変わりありませんので、簡単に決断して良いものではありません。
会社によっては育休期間を通常よりも長く設定していることもあり、たとえば小学校入学まで育休にすることも可能な例もあります。
まずは会社と相談し、働く日数を減らしたり、働く時間を減らしたり、現在の職場でも対応できないかもしっかりと考え、最後の手段として退職を選択するようにしてください。
きよみ
モンブラン
あや
きよみ
モンブラン
薬剤師が育休明けの退職を検討する5つの理由
育休明けに退職を検討する理由は人それぞれですが、大きく分類すると5つに分けられます。
そのすべてが子育てに起因するものとなっており、育児と仕事の両立の難しさを物語っていると言えるでしょう。
退職を検討する5つの理由
- 育児と両立できるか肉体的・精神的に不安
- 子供が病気をした時に預けられる身内がいない
- 勤務先が遠いため自宅から近い職場に転職したい
- 職場復帰後は今までとは異なる店舗への配属になる
- 保育所に空きがない(子供を預けられない)
育休を取得する前に想定していたよりも、実際の子育てが大変なものだったというのは、多くの人が感じるものです。
特に一人目の出産の時にはその感覚が顕著で、予定通りの復帰が難しくなる例も多く存在します。
また、体力的には問題はなくとも、勤務中に子供を預けることができる所が見つからない場合も、物理的に復帰が困難となります。
復帰後すぐに通常の勤務を命じられてしまったり、今までの職場環境から変えられてしまったりする場合には、育児に重大な影響を及ぼすこともあるために復帰できないと考えることもあるでしょう。
子供のことを最優先するのは親として当然の感覚ですので、こういった理由での退職は仕方のないことなのです。
2017年10月1日から子供が2歳になるまで育児休業給付金の支給対象期間が延長できるようになりました。ただし、申請には、保育所の不承諾通知書が必要になります。
育休明けに退職するなら会社への伝え方が大切!
「子育てが予想以上に大変」「両親の協力が得られない」「保育園に入れない」など、理由は人によって異なっていても、しっかりと理由を伝え、今後の方針はどうするつもりなのかも含めて会社に説明することで、育休明けの退職には理解を示してくれる場合がほとんどです。
理不尽な対応をされることはほぼありません。ただしその場合であっても、退職を第一選択にするのではなく、会社に相談して退職せずに済む方法を一緒に探しましょう。
また、やむを得ず退職を考えたとしても、子育ての経験がない上司だった場合には、どれだけ説明してもまったく理解してもらえないこともあります。
育休は復帰が前提の制度であり、育休が明ければ人員不足も解消される予定であったものが崩されてしまうのですから、育児経験がなければ納得できるものではありません。
どうしようもない事情があるのはわかりますが、マナー的にも退職することはできる限り避けなければいけないものですので、絶対に感情的にならずに根気よくお話しましょう。
どうしても納得してもらえない場合は、さらに上層部に直接交渉するしか方法はありませんが、最終手段と認識しておいてください。
育休明けに退職しても失業給付は条件次第で受給可能
失業給付の条件は、働く意思・能力はあるが就職出来ずにいる場合となります。
育休明けの退職の場合、育児に専念するために転職を考えていない場合では、働く意思がないものとして失業給付の対象とはなりません。
ただし、転職して働き続ける予定での行動であれば給付の対象となります。
育休を取得した会社では通勤距離や勤務時間の関係で働けないが、もっと近い職場で時短勤務ができる会社に転職活動を行っているというのなら、条件として問題ありません。
この時、働いている間の子供をどうするのかも、確認されることがあるので注意しておきましょう。
保育園が決まっていない、預け先の予定がない、という場合では、実質的に働くことは困難と判断され、働く能力がないために給付対象ではないとされてしまいます。
合わせて読みたい
薬剤師の退職金の平均額は?貰えない事もあるの?失業保険の申請方法も紹介
きよみ
モンブラン
あや
モンブラン
きよみ
まとめ:育休明けの退職は法的には問題ないけど、マナー的にNG!ただし、自分の状況次第では仕方ない!
育休は復帰が前提の制度であるため、育休を取得した時点で退職を考えている人はほぼいません。
ただし、実際に子育てを始めてみて、その大変さ・難しさに気付き、やむなく退職という選択をする例は少数ながら存在します。
法的には育休明けで退職することは違法ではありませんが、マナー的にはできれば避けるべき行動であるのは、否定できません。
だからといって、会社のために人生を捻じ曲げることは絶対にやめましょう。
たとえば、育児に専念するためにいったん退職し、子育てが落ち着いた後に再就職と言う方法だってあるんです。
自分自身の人生ですので、優先するべきは何かを考え、最適な行動をしていきましょう。
合わせて読みたい