転職してみたらイメージと違った。待遇ばかりで決めたら、やりがいが無さ過ぎて耐えられない。
事前に準備して転職したとしても、こういった事態になることは珍しいものではありません。
そんな時にふと過去の職場を思い起こせば、実は自分がイキイキ働いていたことに気づくこともあるでしょう。
転職して後悔し、過去の職場に出戻りしたいけど、そんなにうまい話はないと思っていませんか?
実は、出戻り薬剤師は意外と多くいるんです。
今回は、出戻りしたい薬剤師に向けて、企業側の思惑と出戻りする際に考えておくべきリスク、注意点を紹介していきます。
あや
きよみ
モンブラン
あや
やっぱり元の職場に出戻りしたい薬剤師の相談内容
出戻りしたい薬剤師の相談内容
毎月の残業も余裕で50時間を超えるので、体が疲れきっています。
複数科目を学びたかったので医療モールを展開している薬局グループに転職したのですが、このまま働き続けたら倒れてしまいそうです。
あと、調剤のやり方や考え方に疑問があるし、人間関係も決して良好とはいえない環境で、以前の職場の方が私に合っていたんだなって気づきました。
前職場のありがたさというか、働きやすかったなと身にしみています。
戻りたい気持ちはあるのですが、前にいた職場が快く迎えてくれるか、同じ条件で雇用してくれるか不安です。
転職してみたら聞いていた話と違う。よく耳にする失敗談の一つです。
離れてから初めて気づくこともあるように、転職してから以前の職場が自分に合っていたと気付くのは、仕方のないことなのです。
そこで問題になるのは、また前の職場に戻ることはできるのかどうかですね。
はっきり言って、以前の会社と険悪な雰囲気で退職したのでなければ、比較的簡単に戻ることはできます。
ただし、その待遇に関しては、非常に難しいところです。
退職時点の待遇のままにしてもらえる会社も多いですが、感情は抜きに中途採用として厳正に判断する会社も存在しています。
待遇に関しては、その会社の方針に従うしかないため、どうにもできない部分です。
以前よりも待遇が良くなるということは、出戻り転職では難しいでしょう。
出戻り薬剤師は採用側にメリットが多いので歓迎されやすい
採用側にとって出戻りしたい薬剤師は、職場の勝手が分かっているのですぐにでも通常業務ができる上、採用のコストがかからないので大きなメリットがあります。
しかも、隣の芝生が青くはない事がわかったことで、より一層業務に励んでくれる可能性が高い点でも、会社側のメリットは大きいと言えるでしょう。
一般的な中途採用の場合には、年収や待遇を交渉され、必要以上にコストがかかってしまうことも会社側としてはデメリットとなるため、出戻り薬剤師のように主導権が会社側にあるのも助かる点です。
以上の事から、円満退職しているのであれば、余程のことがない限りは、出戻り薬剤師でも快く雇ってくれるケースが多くなるのです。
一部の企業では「出戻り」を制度化
一部の企業では、出戻りが制度化され、実際に利用されている実態があります。
例えば、地方銀行最大の横浜銀行やハッピータンでお馴染みの亀田製菓、日本を代表するIT企業のサイバーエージェントなども出戻りを制度化しています。
まだまだ医薬品業界では少数ですが、北海道を中心に店舗展開しているサツドラでも、「Welcome Back制度」を整備しています。
社外に出て働いた経験のある従業員は、それだけ広い視野と新たなスキルを所持する結果につながっており、会社としてもその経験を取り入れることができる点でメリットとなるからです。
出戻りを雇用することは会社側にとってメリットが大きく、決して後ろめたかったり、マイナスなことではないのです。
モンブラン
あや
きよみ
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出戻り後の給料は以前より低くなる可能性を念頭におく
出戻りで再度働く場合、給与の決定方法は、下記の2パターンに分かれます。
通常の薬剤師の転職であれば、交渉によってより高い年収が提示されることが多いものですが、出戻りの場合にはそういった交渉の余地がなく、言い値で働かなくてはいけないのです。
出戻り後の給料の決まり方
- 中途採用者の経験・年齢給に合わせて決定
- 退職時と同様
まず、「戻らせてもらう」という事は、通常の転職のように給料の交渉ができる状態ではないということです。
つまり、給与が低くなる可能性もある事は、承知しておかなければなりません。
調剤業務の給料においては、製薬会社で働くMRの売上数字のように成果基準を明確に定めることができないため、給料の査定方法は何年継続して働いているかも重要な指標になります。
調剤技術はもちろん大切な指標の一つですが、明確な物差しがない部分でもあるため、どの程度評価にプラスされるのかは、会社次第となります。
同じ年齢の薬剤師と同様の知識・経験を持っていたとしても、継続して働き続けている薬剤師と出戻りの薬剤師では、前者の方が年収が高くなる傾向にあるのは、仕方のないことなのです。
薬剤師が出戻りする前に考えておくべき5つのリスク
出戻りは意外と簡単にできるということはご理解いただけたと思いますが、ここまでの話は経営者や採用側としての話です。
出戻り薬剤師を経営陣は喜んで受け入れることになるでしょうが、一緒に働く同僚が納得するかどうかは、また別な話になります。
出戻りするとなれば、待遇の他にも同僚との関係性に対するリスクも発生してしまうのです。
出戻り5つのリスク
- 今まで仲が良かった同僚の態度が冷たい
- 元々いた店舗とは異なる店舗に配属される
- 組織体制やルールが変わり働きづらくなっている
- 後輩が上司になっていてやり取りがぎこちない
- また辞める可能性があるレッテルを貼られる
自分の感覚では辞めた当初のままをイメージして戻りますが、実際にはある程度の期間が経過しており、その時間経過によって社内の関係性が変化している可能性が高いことが、リスクの根本的な原因です。
後輩としてかわいがっていたスタッフが、出戻りしてからは上司になってしまったり、社内規則の変更によって勤務形態が変わっていたり、可能性を挙げればキリがありません。
また、出戻りに対して悪いイメージを持っている職員がいる可能性もあり、過去に仲が良くても態度を変えられてしまったりする可能性も否定できません。
過去のイメージに引きずられずに、しっかりと現在の状況を把握してから判断を行いましょう。
出戻りした後のリスクと新たに転職するリスクを天秤にかける
転職してまだ数ヶ月しか経っていない状況であれば、まだまだ不慣れな環境でストレスを感じるのは当たり前の事です。
慣れない環境からストレスを感じたことを理由に出戻りを考えているのなら、思いとどまった方が良いでしょう。
出戻りしたとしても以前と同じ店舗に配属されるとは限らず、もし業務手順が改訂されていたとすれば、結局状況は何一つ好転しないからです。
出戻りすることも一つの選択肢、また別な転職先を見つけることも一つの選択肢、今の職場でもうひと踏ん張りすることも一つの選択肢です。
どれか一つの選択肢に固執することなく、しっかりと検討してそれぞれのリスクとベネフィットを比較していきましょう。
あや
モンブラン
まとめ:出戻りすることは意外と簡単だけど、その後のリスクまでしっかり考えることが大切
薬剤師の出戻りは、会社からすればメリットばかりの申し出です。
円満退職した問題のない薬剤師であったのなら、出戻りしたいと言えば経営陣は喜んで受け入れることでしょう。
ただし、同僚たちも同じように快く受け入れるかどうかは、戻ってみないことにはわかりません。
以前と全く同じ環境に戻れる可能性は極めて低く、何らかの違和感を持つことは覚悟しなければいけませんし、年収などの待遇にも期待はできません。
現在の状況と出戻りした後の状況をしっかりと比較し、場合によっては新たな職場を求めて転職することも有効な選択肢の一つとしてあることを認識しておくべきでしょう。
出戻りだけが選択支ではありません。
今一度、自分にとって何が最優先されるべきなのかを確認してから、次の一歩を踏み出してください。
悩んでいるなら転職エージェントに相談
不満があるまま今の職場で働き続けるか、出戻りするか、新し職場を探すか、3つを天秤にかけて、どうすべきか決めきれないようなら転職エージェントに相談することをおすすめします。
第三者の意見があることで、自身の優先順位を明確にでき物事を冷静に判断することができます。
転職エージェントを利用しても転職をしなければいけないわけでは決してありません。医薬品業界の情報収集やご自身の状況を相談することだけでも良いのです。
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