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医薬品卸会社の業界ランキング10社!シェア率や売上高を徹底比較

医薬品卸会社のランキング

医療業界において、医薬品の流通を担う医薬品卸は、重要なポジションを占めています。

全国規模で展開している企業もあれば、地域に根差して展開している地域密着型の企業もあり、それぞれが売り上げを伸ばそうと努力しています。

この記事では、品質管理業務に興味があり、医薬品会社の情報を調べている薬剤師に対して、医薬品卸のなかでも大手10社を比較分析してみた結果をお伝えします。

医薬品卸会社の業界ランキングトップ10!

業界を知るためには、その業界のトップを知ることが、もっとも近道です。

群雄割拠の医薬品卸業界のなかで、大きなシェアを持つトップ10の企業を確認していきましょう。

会社名 売上高
1位_メディパルホールディングス 3兆1463億
2位_アルフレッサホールディングス 2兆6029億
3位_スズケン 2兆1239億
4位_東邦ホールディングス 1兆2133億
5位_PALTAC 9666億
6位_バイタルケーエスケー・ホールディングス 5655億
7位_フォレストホールディングス 4568億
8位_大木ヘルスケアホールディングス 2395億
9位_ほくやく・竹山ホールディングス 2277億
10位_イワキ 580億

医療機器販売会社のシップヘルスケアホールディングスとメディアスホールディングスも医薬品卸事業を扱っているため、この2社をランキングに加えると多少変動はありますが、上位7社には変動はありません。

ランキング内でも売上高の差は大きく、企業規模の大きさが売り上げに反映された形となっています。

上位4社で8割以上のシェア率

1990年頃は351社あった医薬品卸会社も、業界の再編やM&Aが進み、今では74社になっています。

ただし、74社のなかでシェアを分け合っているというわけではなく、その8割以上が上位4社で占められています。

もっとも、薬局の経営方針によって活用する卸は異なり、また、地域によって企業力の違いも現れるため、実際に体感するシェア率とは差異が生じることがほとんどです。

モンブラン

医薬品卸事業で差別化することは難しいですからね。付加価値の提供といっても顧客に理解してもらうのは難しく、結局ただの配送屋さんのようになりがちなんですよ。

きよみ

そうかしら?どこの薬局でも担当のMSさんっていると思うけど、うちの担当のMSさんは医薬品情報や地域の薬局の裏話とか教えてくれるし、卸によって得意なメーカーってあるから、大手の中では差別化できてると思うんだけど。

あや

MSさんはたしかに個性がありますけど、あくまでも個人の資質って感じしますよね。卸の違いとか付加価値とかっていわれると、明確にコレっ!ってのはない気がします。

医薬品卸会社ごとの特徴とは?

医薬品卸事業では差別化は難しいものですが、それぞれの企業にはきちんと特徴があります。

大きな違いとは言えないかもしれませんが、その特徴を確認していきましょう。

1位 メディパルホールディングス

医薬品卸会社のメディパル

メディパルホールディングスは、医薬品卸事業の他にも、日用品や化粧品の販売、海外との輸出・輸入なども取り扱う総合商社です。

グループ内では東日本ではメディセオ、西日本ではエパルスが主な医薬品卸会社として活躍しています。

所属MSにはMR試験を受験させており、知識レベルを高い水準で維持しているのも特徴の一つ。

また、物流システムでは、支店を通さずに物流センターから直接配送するシステムを構築し、配送遅延や欠品を防ぐ取り組みが行われています。

さらに、バーコードによる一括検品によって従来よりも大幅に時間コストの削減に成功しています。調剤薬局の業務サポート、医薬品メーカーの業務サポートも事業として行っています。

2位 アルフレッサホールディングス

医薬品卸会社のアルフレッサ

医療用医薬品のほか、一般用医薬品、医療機器、検査試薬、介護用品、健康食品等の卸売販売を行っている企業です。

医療機関向けの情報サービスを実施しており、また、医療機関経営コンサルティングも行っていますが、卸事業の付随サービスの一環としたもので、他社のように多角経営をしていない、卸に特化した企業です。

物流センターを多く設立しており、緊急性の高い注文にも即座に対応できる強みがあります。

全国的に展開していますが、中心になるのは関東から西日本となっており、北海道・九州には支社がありません。

3位 スズケン

医薬品卸会社のスズケン

卸事業の他、医薬品の製造、医療機器・医療材料の製造、保険薬局事業や介護事業、海外との輸入・輸出、海外での事業展開まで手掛ける医療系総合商社となっています。

メーカーとの独占契約を結んでいる商品もあるため、スズケンを経由しなければ購入できない医薬品が存在する点は、企業として大きなアドバンテージと言えるでしょう。

安定した物流管理が魅力的な卸会社で、流通量の少ない希少疾患用医薬品の取り扱いも得意としています。

4位 東邦ホールディングス

医薬品卸会社の東邦

卸売事業のほか、ジェネリック医薬品を中心にした製造販売業、調剤薬局事業、SMO事業も展開しています。

物流管理ではロボットを活用したオートメーション技術を導入し、ミスの発生を極力減らした管理方法を実現しています。

調剤薬局事業でも多くの店舗を抱え、また、共創未来のグループサイトによって、全国18000件の調剤薬局と提携を結んでおり、卸事業にとどまらない活躍を見せている企業です。

5位 PALTAC

医薬品卸会社のパルタック

全国展開している卸事業会社で、一般用医薬品・日用品・化粧品を中心に販売しています。

その性質上、調剤薬局との関係性は深くはありません。独自のマーチャンダイジングとロジスティクスによって、流通コスト削減と販売戦略最適化を実現しています。

卸事業だけではなく、海外商品・国内商品の輸入・輸出も手掛けており、それによって業界で5位の売上高を確保しています。

6位 バイタルケーエスケー・ホールディングス

医薬品卸会社のバイタルケーエスケー

全国的に展開していますが、中心になるのは東北地方です。

卸事業のほか、医療経営サポートやコンサルティング、医療用システムの設計・販売など、医療に関わる総合商社として運営されています。

医療用医薬品の卸業をコア事業としていますが、顧客との深い関係を築くため、コンサルティングや業務機器販売なども積極的に行っています。

地域密着型と全国展開型の中間に位置する形態であるため、大手には及ばないものの売上高は第6位に位置しています。

7位 フォレストホールディングス

医薬品卸会社のフォレスト

九州地方に拠点を置く医薬品商社で、九州・沖縄に物流システムを配備した地域密着型の卸事業を行っています。

九州地方ではトップシェアを誇る企業であり、毛細血管型の物流システムを用いて営業を行っています。

卸事業のほか、医療人材派遣業や一般用医薬品などの製造販売業も行っています。

地域密着型であるため、売上高では全国展開している大手企業には及びません。

8位 大木ヘルスケアホールディングス

医薬品卸会社の大木ヘルスケア

医薬品・医療の総合商社として、卸事業の他、医薬品・化粧品・健康食品などの製造販売業やドラッグストア事業も行っています。

卸事業としては医療用医薬品の取り扱いは多くはなく、そのため、調剤薬局とのかかわりは深くはありません。

物流や営業支援、受発注の管理や本社管理などを一括で行うシステム(TOP’S21)を活用した営業で収益を上げていますが、医療用医薬品の収益が無い分、大手の売上には及びません。

9位 ほくやく・竹山ホールディングス

医薬品卸会社のほくやく

ほくやく・竹山ホールディングスは、北海道を中心に営業している医薬品卸会社です。

毛細血管型の物流ネットワークを用いて、札幌から全道に向けて医薬品を流通させています。

地域密着型の卸会社であり、北海道に限定すれば最大級の規模となっています。

卸事業のほか、薬局事業や介護事業にも進出していますが、地域密着型であるために売上高では大手には及びません。

10位 イワキ

医薬品卸会社のイワキ

医薬品の製造から流通までを取り扱う、総合的な医薬品卸会社です。

一般用医薬品の他、化粧品原料や食品原料の製造・販売、また、医療機器の販売も取り扱っています。

ただし、医療用医薬品の卸業は自社製品を中心とするラインナップであり、調剤薬局との関係は医薬品メーカーとしてのものが主な関係となっています。

現状は支店数も少なく、卸事業での収入は大手には及びません。

医薬品卸会社で薬剤師が活躍できる業務とは?

医薬品卸会社には、医薬品医療機器等法によって事業所ごとに管理薬剤師を配置することが義務付けられています。

医薬品を取り扱う業種であるため、適正な管理を行うために薬剤師の力が必要になるのです。

必要とされる人数は多くはありませんが、薬剤師が活躍できる業務について、それぞれの内容を確認していきましょう。

  • 品質管理業務
  • 学術:DI業務
  • 薬事申請業務

品質管理業務

医薬品には、それぞれに適正な管理方法があります。

医薬品のプロとしての薬剤師が、適正な管理方法で品質を確保し、安全に医薬品を保管できるように環境の整備を行います。

毒薬や向精神薬、麻薬、覚せい剤原料などの特に厳格な管理が必要なものに関しては、情報も併せての法律を準拠した管理が必要となるため、品質管理業務のなかでも重要なものとなっています。

ただし、品質管理業務は常に何らかの作業を必要とするものではないため、学術:DI業務や教育指導業務を兼務することもあります。

詳しくは、薬剤師が品質管理職として製薬企業に転職するには?仕事内容や年収を解説で紹介しています。

学術:DI業務

医薬品卸は、取り扱う医薬品の最新情報を管理する必要があり、最新情報をメーカーから収集し、適正に取引先に情報提供する役割も担っています。

その中心になるのは、専門知識をもった薬剤師です。取引先に情報提供するための資料作成や、自社MSに対して医薬品情報の教育も薬剤師が担当します。

また、取引先からの問い合わせに対応することも、医薬品卸に勤務する薬剤師の大切な業務です。

詳しくは、薬剤師が学術・DI(医薬品情報管理職)に転職するには?仕事や年収を解説で紹介しています。

薬事申請業務

医薬品卸会社は法律に準拠して営業活動を行う必要があり、医薬品を取り扱うためには、多くの許可を受ける必要があります。

もちろん、そのためには医薬品に関わる法律を網羅した専門家の力が必要です。

薬剤師は、その医薬品に関わる法律知識をもとに薬事申請業務を担当します。

詳しくは、医薬品開発の要!薬剤師が薬事申請職に転職するには?仕事や年収を解説で紹介しています。

大手医薬品卸会社の年収と求人情報とは?

大手医薬品卸に薬剤師が就職した場合、その年収はどの程度になるのでしょうか。

卸会社は事業所ごとに薬剤師を必要としますが、その求人数は決して多くはありません。

卸会社の薬剤師求人はどこも似たような年収・待遇を提示していますが、それぞれの求人内容を見ていきましょう。

メディパルの年収と求人情報

医薬品管理業務
給料:207,200円〜226,300円

メディパル関連会社が募集している求人では、その会社によって待遇に多少の差が生まれます。

すべてに言えることは、完全週休二日制で残業はほぼ発生せず、働きやすい環境が整えられていることです。

ただし、月収は20万円代前半となっています。

アルフレッサの年収と求人情報

医薬品管理業務
給料:222,000円〜

土日休みの完全週休2日制で、年間休日123日となっています。

残業はほぼ発生せず、定時での退社が可能です。ライフワークバランスに優れていますが、月収は20万円代前半となってしまいます。

ズズケンの年収と求人情報

医薬品管理業務
給料:23万7,500円〜25万2,500円

待遇や給与は、本人の希望と経験をもとにして検討されるため、詳細な情報はスズケンサイトでは公表されていません。

新卒での採用であれば、23万円~25万円となっています。

なお、スズケンの場合には管理薬剤師業務とDI業務が別で募集されています。

きよみ

医薬品卸だと薬剤師手当の相場が15,000円ってちょっと低すぎない?調剤薬局なら3〜4万円、ドラッグストアなら8万円くらいが普通なのよ?

モンブラン

卸で働く薬剤師の年収は、はっきり言って安いですからね。調剤薬局で働いたことがある方からしたら驚かれると思いますよ。

あや

たしかに年収は安いですけど、残業なしで定時退社、土日も休みとくれば、ライフワークバランスは最高ですよ。ある程度稼げて、自由時間がほしいって人には最高じゃないですか。

まとめ:医薬品卸の薬剤師求人は、どこでも業務はほぼ同じ!ライフワークバランスを求めるのなら、選択肢に!

医薬品卸は大手がシェアを独占している状態で、地域密着型の会社が地域によっては頑張っていますが、全国的にみれば4社が独占しています。

それぞれの企業が倉庫管理システムや物流管理、付随サービスで差別化を図っていますが、外部からみれば大きな違いはありません。

薬剤師が関わる業務も同様で、どこの卸会社だとしても同じ業務に従事することになります。

一貫して言えることは、年収が低めでライフワークバランスに優れた働き方ができるということ。

もし業務内容や勤務形態に興味があるようであれば、身近な卸会社の事業所から求人が出ていないか探してみてはいかがでしょうか。