薬剤師が働く職場の一つであるドラッグストアは、調剤薬局や病院に比べて年収が高いと言われていますが、勤務時間が長かったり、仕事内容が忙しかったりと、いろいろな噂がまことしやかに語られています。
この記事では、ドラッグストアで働くメリットや年収相場、転職する際の注意点などについて解説しています。
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ドラッグストア上位10社で市場の68%を占有
ドラッグストア業界はすでに成熟している業界であり、上位10社で市場シェアの68.3%を占めています。
さらに、上位に名前を連ねる企業の売上高にも大きな差はなく、その年の売上次第でランキングは上下を繰り返す混戦状態となっています。
それぞれの企業においてオリジナルブランドなどを販売し、差別化を図っていますが、飛び抜けた業績をも持つ企業はなく、今後もこの状況が続くと予測されています。
ただし業界自体が頭打ちとなっている状況である為、既存の店舗のM&Aなどが激化する可能性は大きいといえるでしょう。
ドラッグストア売上高トップ10
順位 | 会社名 | 売上高 | 店舗ブランド |
---|---|---|---|
1位 | ウエルシア | 6,952億 | ウェルシア、HAC |
2位 | ツルハ | 6,732億 | ツルハドラッグ、くすりの福太郎、 Wants、Wellness、レディ薬局 |
3位 | コスモス薬品 | 5,579億 | コスモス |
4位 | マツモトキヨシ | 5,384億 | マツモトキヨシ、くすりのラブ、 シメノドラッグ、ダルマ、 ぱぱす、ミドリ薬品 |
5位 | スギ | 4,570億 | スギ薬局、ジャパン |
6位 | サンドラッグ | 4000億 | サンドラッグ、ダイレックス |
7位 | ココカラファイン | 3,884億 | ココカラファイン、セイジョー、 ジップドラッグ、スズラン薬局、 セガミ、コダマ、 クスリ岩崎、ライフォート |
8位 | カワチ薬品 | 2,682億 | カワチ、クラモチ |
9位 | クリエイトSD | 2,662億 | クリエイト |
10位 | クスリのアオキ | 2,212億 | クスリのアオキ |
大手ドラッグストアはどこも慢性的な人材不足
ドラッグストアは医療施設という訳ではなく、小売業として展開しています。
小売業はその性質上、店舗展開でビジネススケールを大きくしていかなければ利益が出ないビジネスモデルです。
そのため、ドラッグストアが利益を出すためには常に会社規模を広げていく必要があるのですが、ただ店舗を用意すれば良いというわけではありません。
店舗が増えればそれに比例して人材確保が必要になり、人的資源として希少な存在となる薬剤師確保が命題になります。
ビジネスモデルから考えても、ドラッグストアは慢性的な人手不足になってしまう状況なのです。
ドラッグストアへの転職は上位10社に絞られる
今後のドラッグストア業界は新規店舗展開できる土地や環境がなくなり、今までのような経営環境から変化していくことが予想されています。
ただし、ビジネスモデルとしては店舗展開を継続していくスタイルであることに違いはないため、現状すでに運営されているドラッグストアを買収・M&Aによって規模を広げる戦略にシフトしていくことになるでしょう。
そのため、経営規模の小さなドラッグストアチェーンは大手に飲み込まれてしまうことになります。
今後ドラッグストアへの転職を考えるのであれば、小規模チェーンに転職しては、経営戦略によるM&Aの波に巻き込まれて、不安定な生活となってしまうことがあります。
大手チェーンである上位10社に絞って転職活動することが、賢明な判断だと言えるでしょう。
調剤併設店舗かOTC店舗かで働き方が大きく変わる
ドラッグストアは、調剤併設型の店舗とOTC専売型の店舗に分けられます。
同じドラッグストアチェーンだとしても、その店舗のスタイルによって働き方は大きく変わるため、自分の考えている働き方により即した方を選択していく必要があるのです。
調剤併設型のドラッグストア
調剤併設型のドラッグストアの場合、OTC専売型に比べて、より多くのタスク処理が必要になります。
薬剤師の仕事は処方箋対応などの調剤業務と、品出しや顧客対応などのOTC業務、双方に役割が存在します。
より効率よく回すため、複数の業務を並行して処理していく器用さも必要になってくるでしょう。
調剤併設型であっても、重点をどちらに置いているかによっても働き方は異なります。
門前病院を持っている場合には薬剤師の仕事は調剤を主な業務となりますし、面で対応している場合には処方せん受付は1日に数枚程度という場合もあります。
OTC医薬品の販売や品出しは登録販売者に任せている傾向
調剤併設型である場合、薬剤師がすべての業務を行うということは稀で、基本的にはOTCに関わる業務は登録販売者やパートの方が対応してくれます。
薬剤師でなければ対応できない要指導医薬品や第1類医薬品の販売などが、調剤併設型の店舗で働く薬剤師のOTC に関わる業務では主なものとなります。
ただし、働き方は店舗によって様々であり、医薬品に関わる業務はすべて薬剤師に任せるという店舗・会社も存在するため、自分の考え方に合った経営をしている会社を選択しましょう。
在宅サービスに力を入れている
メインで処方箋を受ける病院がなく、面で処方箋を受けている調剤併設型の店舗の場合、在宅サービスに力を入れて、既存の調剤薬局と差別化を図っている会社が多くあります。
すでに調剤報酬だけでは収益アップすることは難しい状況となっているため、複数の収益の柱を作る為に在宅サービスに力を入れているのです。
在宅で介護施設を受け持ったり、輸液を個人宅へ配達したり、薬剤師の行う業務としては幅広い対応が求められます。
OTC型のドラッグストア
OTC販売を中心とするOTC型のドラッグストアでは、薬剤師でなければできない業務というものはごく少数です。
そのため、品出し、棚替え、キャンペーン時のPOP貼りなど、様々な内容の業務が求められます。
一人薬剤師として勤務することも
OTC専売型の店舗の場合、それほど多くの薬剤師は必要ありません。
要指導医薬品の販売や第1類医薬品の販売など、薬剤師でなければできない業務はごく一部のみであり、それ以外には登録販売者さえいれば業務に支障は出ないのです。
薬剤師が少ないことで業務は忙しくなりやすいですが、会社としては薬剤師を多く雇えば、それだけ人件費がかさんでしまいます。
必要最低限の人員として、薬剤師は一人のみという店舗も多いのが現実です。
OTC型に勤務する薬剤師の異動は多い
OTC型のドラッグストアは、調剤併設型に比べて薬剤師の異動が多く行われます。
ただし、これは転勤と言うほどの遠距離に移動するわけではなく、同一エリア内の異動にすぎません。
契約内容にもよりますが、指定した地域内での店舗異動がある程度で、全国的な転勤は行われないのが通常です。
全国転勤可とすることで、昇給のペースが上がったり、キャリアアップに有利に働くこともある為、自分のライフワークバランスに合わせて選択していきましょう。
ドラッグストアの年収水準は500〜600万円と平均より高い
ドラッグストアの平均年収は、調剤薬局や病院に比べて高い水準となっています。
通常の薬剤師の平均年収は530万円程度であり、ドラッグストアに就職してすぐの若手薬剤師だとしても、薬剤師の平均年収程度は稼ぐことができます。
昇給制度もしっかりとしているため、長く働けばそれだけ高水準の給与となっていき、さらに役職を得ることで、どんどん給与は高くなっていきます。
ドラッグストアの平均年収
- 年収500万〜600万円
- 20代:年収450万〜500万円
- 30代:年収500万〜550万円
- 管理薬剤師:年収550万〜600万円
- 店長:年収600万〜650万円
- エリアマネージャー:年収650万〜700万円
- ブロック長:年収700万〜800万円
店長、管理薬剤師になることで給料が大幅にアップ
ドラッグストアは薬剤師の離職率が高いため、早い段階で役職がつき給料も上がりやすいのですが、逆に役職がない場合には40〜50代以降の伸びは期待できません。
高い役職になればなるほど、ポジションを争うライバルも増えてキャリアアップは難しくなっていきます。
その分、役職が上がった時には大幅な給料アップが期待できるという魅力があります。
OTC型の方が調剤併設型と比べて給料が3〜5万円高いが伸び率が低い
短期的に見た場合ではOTC型の給料が高くなっていますが、中長期で見た場合の年収では調剤併設型の方が高くなります。
初任給と昇給率の違いによって収入に差が生まれてしまい、調剤併設型の初任給が24〜26万に対してOTC型の初任給は28〜30万から始まることが多いために、短期的にはOTC型の収入が高くなります。
しかし、OTC型の店舗では昇給による伸び幅が少ないため、中長期的な視点で見れば調剤併設型の方が年収が高くなっていくのです。
大手ドラッグストアグループの年収に地域差は少ない
大手ドラッグストアグループでは、給与の基準などを全国規模で設定しているため、地域による変動が少ないのも特徴として挙げられます。
転勤の有無や役職によって給与の基準が決められるため、地方部・都市部に関わらず給与水準が設定されています。
都市部では調剤薬局や病院の収入が低くなりがちであるため、ドラッグストアを選択することで高い収入を得ることが可能になります。
逆に、地方部では調剤薬局の年収が高くなるため、ドラッグストアの全国一律の給与設定よりも高くなる可能性があります。
第一類医薬品や要指導医薬品には売り上げノルマを設定
ドラッグストアの薬剤師には、売上ノルマが設定されていることが多くあります。
医薬品に売上ノルマを設定していることに対して賛否両論ありますが、ドラッグストアといえどもあくまでビジネスですから、売り上げの確保のためにノルマ設定をすることは至極当然となります。
このノルマは薬剤師個人ごとに設定されるものではなく、勤務している薬剤師全員で達成することを目標としていますが、結局は個人ごとの売上金額はチェックされているので、実質個人にノルマがあるようなものなのです。
月末や売上の集計を行う時の店舗の雰囲気には要注意
ドラッグストアでは、月末などに売り上げの集計を行っています。
特に売り上げの集計・チェックを行う決算時は、店長がいつも以上に神経質になっていたり、エリアマネージャーが各店舗を回って指示していたりするので、普段の店舗の雰囲気とは異なった状況となることが多くなります。
普段は和気あいあいと仕事ができている店舗でも、その時ばかりはピリピリとした雰囲気となってしまうこともあるのです。
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ドラッグストアが激務やブラックと言われがちな理由
ドラッグストアはブラックな職場だと言われていますが、噂が独り歩きして大きくなっている感じが否めません。
たしかに調剤薬局と比べて対応する仕事の種類が多いこと、そして、OTC型の場合、薬剤師だとしても多くの時間を品出しや棚替えに費やすことになるため、激務であることに違いはありません。
ただし、大手企業であるために福利厚生はしっかりとしていますし、休みの申請も基本的には問題なく許可がおります。
世の中のブラック企業と比べてみれば、その差は歴然だと言えるでしょう。
休みが取りやすいか否かは店舗やエリア次第
ドラッグストアはヘルプ体制があるので休みやすいと言われていますが、慢性的な人材不足の大手ドラッグストアでは、休みが取れるかどうかは店舗やエリア次第。
近隣に系列店舗もなく、一人薬剤師で回しているような地域では、いかにヘルプ制度があるからと言って簡単には休めません。
法的通りの休みは問題なく取得できますが、たとえば有給をぶつけて10日間の長期休暇なんてことは不可能だと考えた方がよいでしょう。
逆に近隣にも複数の店舗があり、薬剤師数も確保できているような地域では、有給の消化を推奨される場合もあります。
すべては店舗やエリア次第という結論に至ります。
日曜と平日1日休みでシフト制が多い
ドラッグストアは年中無休で営業しているため、シフト制で勤務が決まっていきます。
基本的には日曜日と平日1日の休みが設定されていますが、日曜日も当番制で出勤となることも当然あり、営業時間は長めですが、これも当番制で調節されることが大半です。
22時まで営業している店舗では帰宅時間が遅くなることもありますが、その場合には出勤時間がゆったりとした余裕のあるものに設定されます。
夜が遅くなるために、家庭がある薬剤師にとっては大変な部分もありますので、自分のライフスタイルにあった職業を選択する方が良いでしょう。
ドラッグストアはキャリアの幅と早い段階での高年収が魅力
ドラッグストアでの勤務では、店舗における現場仕事だけに収まらず、地域の店舗を管理する業務や経営・営業の管理に関わる業務など、薬剤師という枠に当てはまらないキャリアを構成することも可能です。
通常の勤務薬剤師でも高収入を得られる可能性が非常に高く、さらに役職が付けば格段に収入アップできる可能性を秘めています。
ドラッグストアで挑戦できる様々な選択肢
エリアの店舗運営を管理するブロック長、エリアマネージャー
店舗の改善指示や売り上げの管理、スタッフの教育や在庫管理など、店舗全体がより良くなるように日々眼を光らせている仕事です。
本部の意向を現場に反映し、現場で起きていることを本部と共有する作業を中心に、担当しているエリアを活性化させる働きをします。
ヒット商品になりうる商品を目利きするバイヤー
全国の店舗で扱う商品の商談・買い付けを中心に行う業務です。
多数の取引先との商談の上、価格の設定や商品の選択を行います。
会社の利益に直結する業務であるため、トレンドに乗った商品や画期的な新商品など、目利きが重要な業務となります。
新入社員や登録販売者への社員教育
社員教育のプログラムを作成し、実際に運用する業務を行います。
全国規模で展開しているグループ店舗、すべてで安定したクオリティーを発揮できるようになるかは、社員教育の業務に掛かっています。
一部の悪い噂がグループ全体の悪評につながってしまうため、会社を支える業務と言っても過言ではありません。
オンラインストアでのネット販売
現在のドラッグストアは、ほぼすべての会社で独自のホームページを用意し、医薬品のネット販売に動き出しています。
日常の管理・運営に加え、第一類医薬品の販売における質疑応答や、医薬品売買の法令順守など、ネットに関係する業務を中心にした新たな薬剤師の働き方に対応しなければいけません。
プライベートブランドの商品開発
ドラッグストアは、それぞれの会社でプライベートブランドを用意しています。
安価に高品質のものが用意されているため、顧客にとっても目玉商品となり得る商品です。
それらの商品に関して、企画・開発・研究を行う業務であり、研究職に近い業務を任せられています。
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まとめ:高年収だけではない!魅力がたくさんあるドラッグストア!
ドラッグストアといえば、高年収だけど激務でブラック。そんなイメージばかりで、実態が伝わっていない部分が多くあります。
実は福利厚生もしっかりしているし、休暇もとれているし、確かに激務ではあるけれどもブラックな会社ではないんです。
当然普通の薬剤師よりも高年収となりますし、薬剤師として以外にも、多くのキャリア構成を考えることができます。
ただ、忙しいのは事実ですので、自分の時間を大切にしたい薬剤師や、家庭が最重要な薬剤師には向かない職場であることも事実です。
自分にあった職場であるのか、今回の記事を通して考えるきっかけになれば幸いです。
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