薬剤師国家試験は高難度の試験ですので、独力で勉強することはとても大変です。
大学まかせにしていたら試験対策がおろそかになりやすく、自分だけの力で勉強していても実力が伸び悩んでしまうこともあるでしょう。
国家試験に対するそんな悩みを解決するための場所が、国家試験予備校です。
今回は、複数存在している予備校の中から自分に合ったものを選んでいくため、それぞれの実績と評判を分析した結果を、ランキング形式で解説します。
薬剤師の国家試験予備校おすすめランキング!
さっそく国家試験予備校のランキングについて見ていきましょう。
国家試験予備校の業界も統廃合が進み、大手といえるのは4校のみとなりました。それぞれを確認していきます。
圧倒的1位 薬学ゼミナール(薬ゼミ)
知名度から見ても、実力から見ても、薬学ゼミナールがダントツの第1位。
薬剤師国家試験予備校の中では最大手であり、青本の発行元としても有名です。薬学ゼミナールの生徒ではなくても、薬学生であれば、多くの人が青本のお世話になっていることでしょう。
毎年多くの薬学生が入校しており、状況によっては定員が一杯で入校できないこともあります。
薬学ゼミナールの特徴は、講師数の多さと全国にある分校・教室の多さで、企業規模の大きさがうかがい知れます。
薬学ゼミナールが運営する調剤薬局も存在しており、そこでは講師の研修が実施されています。
そのため、実務関係の出題に関しても、知識だけではない生きた講義を受けることができます。
また、青本作成の過程で得た薬剤師国家試験の対策研究は、独自の問題集作成や講義内容に反映され、高い合格率を維持しています。
合格実績はどのくらい?
薬学ゼミナールでの合格実績は、現状発表されていません。
以前にバナー広告されていたものでは、第102回国家試験における既卒受験者の合格者のうち、薬学ゼミナールの学生は72%を占めているとされていました。
薬剤師国家試験は既卒での合格が難しいことで知られており、既卒受験者のおおよそ40%~50%しか合格しないと言われています。
第102回の既卒受験者数は4515名であり、そのうちの何名が薬学ゼミナールに通っていたのかはわかりませんが、薬学ゼミナールから受験して、1651人が合格したということは事実です。
あや
モンブラン
2位 メディセレ
合格率No,1を公表しているメディセレがランキング第2位。2007年に設立された、業界のなかでは新しい予備校です。
メディセレの講師は心理アドバイザーの資格を取得しており、学生ひとりひとりにきめ細かいケアを行うことで定評があります。
また、遠方からの入校者のために学生寮やマンションの斡旋を行う制度が用意されていて、国家試験に向けて勉強するための万全の態勢が整えられています。
2012年にはメディセレ薬局が設立され、現場の空気を講義に反映させる取り組みも行われています。
特に優れている点は、メディセレが実施している模擬試験です。国家試験よりも難易度が高く設定されており、国家試験の問題を多く的中させているため、実践を想定した練習ができることでしょう。
合格実績はどのくらい?
第103回国家試験において、メディセレの合格率は80.3%と発表されています。
他校が正式に合格率を発表していないこともあるため、どこまで信頼できるかはわかりませんが、予備校業界での合格率No,1を自称しています。
ただし、このNo,1はあくまでも第103回における過去の実績を現すものであって、現在がどうかは不明です。
在校生の口コミを確認すると、たしかにほぼ全員が合格との声をあげています。たしかな実績がある予備校だといえるでしょう。
きよみ
モンブラン
3位 REC
こちらも既卒生合格率No.1を自称する予備校となっています。
生徒一人一人に担任がつくチューター制度を採用しており、個別面談室を利用してしっかりと質疑応答を行うことができます。
講師が学生の顔と名前を完全に一致させているという触れ込みがある為、おそらくは大手予備校よりも少ない定員で運営されていると考えられます。
個別にしっかりと応対してもらえる点は、大きなメリットです。
難点は校舎が新大阪にしかない点ですが、eラーニングにも注力しているため、自宅で自分のペースを守りながら勉強していきたい人にも向いているでしょう。
合格実績はどのくらい?
合格率業界No.1を自称しているRECですが、具体的な合格率を公表していません。
事実がないままにNo,1を語っていることはないとは思いますが、数字の発表がないと言う点で信頼感は低くなります。
2015年における合格率は90%以上となっているため、この一点でのみ、合格率業界No.1としている可能性も否定できません。
もっとも、学生数が少なく、個別のケアも行き届いている予備校である為、現在も決して低いということはないでしょう。
モンブラン
4位 ファーマプロダクト
個性的な講師が揃っているファーマプロダクトが第4位。
設立が2008年と、こちらも業界では新しい予備校です。オリジナル参考書の虹本の発行元でもあります。
教室は東京・大阪に2校だけですが、通信予備校として徳島と札幌にも教室が用意されており、リアルタイムに講義の受講ができます。また、eラーニングの配信も行っています。
予備校に通うためのアパートの斡旋や就職支援サポートなど、学業に留まらないサポート体制が用意されています。
スカイプや電話を利用して、通信予備校に通っている生徒でも直接講師に質問できる点は、他の予備校にはない特徴です。
合格実績はどのくらい?
直近の国家試験の合格率は発表されていませんが、101回薬剤師国家試験における合格率は91.4%となっています。
この年の合格率だけで考えれば、他校よりも優れた結果を残していると言えるでしょう。
あや
モンブラン
国家試験予備校の授業料を比較
講義の内容はもちろん重要ですが、それと同様に重要なのが授業料です。
予備校ごとに金額は異なっており、同じ予備校であってもどんなコースを選択するかによって、必要となる授業料はそれぞれ異なります。
自分が勉強していく上で最適なコースと、その金額をリサーチしておきましょう。
薬学ゼミナールの授業料
コース | 全日制5月コース |
期間 | 5月〜試験直前 |
日数 | 週5〜6日 |
授業料 | 1,242,000円(税込) |
薬学ゼミナールの授業料は、5月から試験直前までの講義を行う5月コースで、1,242,000円(税込)となっています。
このほかにも、6月コース、8月コース、9月コースが用意されており、それぞれの価格は5月コースに比べて、6月コースで約10万円、8月コースでは約15万円、9月コースでは約20万円安くなっています。
また、オンライン受講を選択した場合には、すべておおよそ半額となります。
メディセレの授業料
コース | ベーシックコース |
期間 | 4月下旬〜試験直前 |
日数 | 週5〜6日 |
授業料 | 1,382,400円(税込) |
メディセレの受講料は、その利用方法によって細かく分類されています。
すべて生講義で構成されるベーシックコースでは1,382,400円(税込)となっていますが、動画講義を主としながら定期的な生講義も受講できるハイブリッドコースは約100万円となっています。
また、週末だけ受講するウィークエンドコースは、約53万円で受講できます。
なお、メディセレの場合、ネット受講だけの料金だとしても、すべての動画講義を受講するためには約100万円が必要となります。
また、注意点として、すべての教室ですべてのコースが用意されているわけではないことが挙げられます。自分が通学する予定の教室では、どんなコースが受講できるのかを調べておきましょう。
RECの授業料
コース | 担任制通学コース |
期間 | 5月〜試験直前 |
日数 | 7月まで週4日、8月から週6日 |
授業料 | 1,397,520円(税込) |
RECの授業料の構成は、他校とは異なる為に注意が必要です。
まず、5月~7月に行われる授業は「本科準備コース」として実施され、その料金は264,000円(税別)となっています。
8月~試験直前の授業は「本科コース」として実施され、その料金は880,000円(税別)です。
さらに、講義動画視聴のための料金を「本科プラスα」として50,000円(税別)が必要となる為、表記されている金額よりもトータルで高額に感じてしまうかもしれません。
オンラインコースで動画視聴を行う場合、ライセンス料と受講料を合わせて370,000円(税別)となっており、割安です。
ファーマプロダクトの授業料
コース | 全日制コース |
期間 | 3月〜試験直前 |
日数 | 週5〜6日 |
授業料 | 1,034,640円(税込) |
ファーマプロダクトは3月から講義をスタートする唯一の予備校です。
スタートアップ講座として8万円が必要ですが、1年コースに申し込んでいれば無料で受講できます。
授業料は最安の1,034,640円(税込)です。
9月スタートの半年コースでも料金がほとんど変わらず、926,640円となっています。
通学通信制の場合には、約20万円安くなり、eラーニングでは約半額となっています。
また、短期講座として春期、夏季、秋季、夜間の講義を選択して、必要な金額のみ支払う制度も用意されています。
国家試験予備校のメリットとデメリットとは?
国家試験予備校を活用するのは、大きなメリットを生みます。
ただし、反面デメリットもあることを認識しておきましょう。それぞれについて確認していきます。
国家試験予備校5つのメリット
国家試験予備校の持つメリットは数多くありますが、そのなかでも特に重要なものをピックアップしました。
国家試験に特化した組織であるため、長年の研究でノウハウを蓄積しており、合格に必要なプロセスを理解していることが最大のメリット。
どんな勉強法で、どんなところを勉強すれば良いのかが、効率的に把握できます。
また、受験勉強で苦しい時にも、精神的な支えとなってくれる点は、隠れた大きなメリットと言えるでしょう。
国家試験予備校3つのデメリット
- 授業料が高額
- 傷の舐め合いになる可能性がある
- 通学の場合、通学の時間が無駄
国家試験予備校のデメリットは、その高額な料金にあります。
公立大学1年間の授業料よりも高くなってしまい、近隣にアパートを借りるとなれば、生活費も加わって大きな金額となってしまいます。
周囲に同じように国家試験浪人した学生や、卒業延期となった学生がいることもデメリットになりかねません。
同じ傷を持つ者同士で集まれば、自分たちを正当化してしまう危険性もわずかながら存在します。
通学とオンラインはどちらがいいの?
通学とオンライン、どちらが良いのかは人それぞれ。
私の個人的な見解としては、直接学ぶことができる通学をオススメします。
私の性格上、一人で勉強するとどうしてもサボってしまうため、強制的に勉強時間を確保できる方が良いからです。
また、不明な点はすぐに質問することができ、自分の力だけで理解するよりも時間効率が優れているとも考えるからです。
逆に、周囲に人がいると集中できないタイプの人や、自分で教科書を読む方が理解できる人の場合には、オンラインで学ぶことも良いでしょう。
オンラインの方がコストパフォーマンスに優れている点は間違いありません。
遠方に出向く必要がないので、住宅費や光熱費を節約することができ、一般的に授業料も安く設定されています。
ただし、絶対に金額だけで選ぶことはせず、必ず勉強効率がより優れていて、自分に合っているものを選択するようにしていきましょう。
まとめ:予備校ごとに特色あり!自分の性格に合っている予備校を選びましょう!
今回の記事では、薬剤師国家試験予備校ランキングを紹介いたしました。
薬剤師国家試験予備校は大小数多く存在しますが、ノウハウや実績を考えれば、上位4校から選択するのが無難なところです。
上位4校のなかでも講師の顔ぶれや講義の方法、金額など、それぞれに違いがあります。
自分が勉強していく上で、どこの予備校が自分に合っているのかを考えながら選んでいきましょう。