薬剤師がその職能を発揮しながら公務員として働くためには、国立病院や公立病院の職員として働く必要があります。
公務員として働けば安定した生活で、将来も安心だといわれていますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
実は注意しなければいけない点もあるのです。
この記事では、薬剤師が公務員として病院に務めるための方法や生涯年収、注意点を紹介します。
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まずは公的医療機関の種類を理解!
転職を考えるとしても、どんな職場があるのかを知らなければ適切な転職はできません。
まずは公的医療機関の種類について確認しておきましょう。
主要な公的医療機関の種類
病院名 | 施設 | 身分 |
---|---|---|
国立ハンセン病療養所 | 全国13施設 | 国家公務員 |
国立病院機構 | 全国143施設 | 準公務員 |
国公立大学附属病院 | 全国42施設 | 準公務員 |
国立高度専門医療研究センター | 全国6施設 | 準公務員 |
国家公務員共済組合連合会病院 | 全国24施設 | 準公務員 |
公立病院(県立・市立病院) | 全国4106施設 | 地方公務員、準公務員 |
国立ハンセン病療養所
国立ハンセン病療養所は、厚生労働省直属の施設です。
厳密には医療施設ではなく、医療施設としての側面と、ハンセン病患者が入所する居住施設としての側面を持っています。
以前まではほぼ入所者向けにのみ医療提供されていましたが、近年は地域開放として近隣住民への医療提供が実施されています。
リハビリテーションやプライマリーケアの充実を図っており、業務は規則的で余裕のある体制が取られています。
国立病院機構
国立病院機構は、厚生労働省に所管されている独立行政法人であり、日本最大の病院ネットワークを持ち、高度な医療提供を行って地域医療の要となる基幹病院群です。
平成27年より非特定独立行政法人とされており、職員は非公務員という扱いとなっています。
ただし、待遇は国家公務員に準じるものとされています。
国公立大学附属病院
国公立大学附属病院は、地域の医療の中心となる役割の他に、臨床研究を実施するための施設としての役割も持っています。
多くが特定機能病院として認可されており、高度な医療を提供している病院となっています。
国立大学付属病院だとしても、運営は民間に委託されていることがほとんどであるため、待遇は公務員扱いとはなりません。
大学独自に、給与や待遇などが設定されているため、施設によって大きく異なります。
公立大学付属病院の場合には、運営している自治体の地方公務員に準じた待遇となります。
国立高度専門医療研究センター
国立高度専門医療研究センターは全国に6施設のみであり、医療の提供の他、国民の健康に重大な影響を与える疾病の研究も行っています。
医療よりも研究に重きを置いている施設だと言えるでしょう。
国立研究開発法人として運営されており、そこの職員は正式には公務員ではありませんが、国家公務員と同等の待遇で取り扱われます。
国家公務員共済組合連合会病院
国家公務員共済組合連合会病院は、国家公務員に対して必要な医療の提供を目的に設置された施設ですが、地域医療への貢献を目的に一般診療も行っています。
国家公務員に対する福利厚生を実施する目的の組織であるため、厳密には公務員ではありませんが、公務員と同等の待遇で取り扱われます。
県立病院・市立病院
県立病院・市立病院は、地域医療を支える役割を持った病院です。
自治体によって運営されている場合は地方公務員として、独立行政法人化してる場合は準公務員になります。
自治体が運営する公的病院は効率的な経営ができず、半数以上が赤字経営をしている状態です。中には経営立て直しのため賞与をカットした病院すらあります。
最近の傾向だと県立病院や市立病院は独立行政法人化する傾向になっているため、転職エージェントでも求人を見るけることができるます。
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臨床現場で学ぶ!病院薬剤師のメリットとは?年収や仕事の違いも解説
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国立病院・公立病院で働く薬剤師の生涯年収とは?
国立病院・公立病院で勤務することによって公務員と同等の扱いを受けることができるため、民間企業よりも生涯賃金が優遇されることになります。
働き続けることができれば、昇給や賞与が定年退職まで保証され、勤務期間が長いほどに退職金も多くなります。
勤務当初こそ民間薬局や民間病院には年収では負けてしまいますが、生涯賃金で見れば約4000万円ほどの有意差を持っているのです。
公務員薬剤師の平均年収
- 公務員薬剤師:約2億3500万+退職金
- 国家公務員の平均年収:5,562,728円
- 地方公務員の平均年収:6,836,972円(大阪府の例)
※準公務員は、国家公務員と同様の待遇になります。
- 民間薬局薬剤師:約2億500万+退職金
- 民間で働く薬剤師の平均年収:533万円
さらに、公務員として働く魅力は、働いている期間は昇給が保証されている点です。
その昇給率が民間の企業よりも大きく、さらに50代60代になっても年収は上がり続けるため、最終的な年収では逆転することになります。
勤続年数に応じて退職金の金額も段階的に増えていくため、同じ期間を民間企業で働いた人と比べれば、大きな差となるのです。
福利厚生も民間企業よりも充実しており、休暇などの待遇も良く、長く働くのなら公務員は最適のものかもしれません。
薬剤師が公的病院へ転職するためには?
国立ハンセン病療養所への転職以外であれば、その多くが準公務員であるため転職エージェント経由で求人を探すことができます。
採用方法は各独立行政法人によって異なり、面接だけで採用の有無が決まる場合と、面接+試験がある場合の2パターンあります。
以下は、国立病院機構(関東信越グループ)の募集例ですが個別面接のみで採用が決まります。
国立病院機構、関東信越グループの募集例
- 募集人員:25名程度
- 選考方法:1人20分程度の個別面接
- 勤務地:1都9県、33の病院
- 通勤手当:55,000円まで
- 住居手当:27,000円まで
- ボーナス:年2回(年間4.2ヶ月)
- 勤務時間:8:30〜17:15(実働7時間45分)
- 完全週休2日制(病院により変則勤務あり)
- 年次休暇:年間20日
- 特別休暇:夏期休暇、結婚休暇、産前産後休暇など
公的病院が実際に募集している求人例
地域医療機能推進機構 横浜中央病院
参照:マイナビ薬剤師
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国立病院機構 仙台医療センター
参照:マイナビ薬剤師
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労働者健康安全機構 浜松労災病院
参照:マイナビ薬剤師
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応募書類と面接では専門分野の経験とスキルをアピール
公的病院では基本、独自フォーマットの応募書類(履歴書・職務経歴書代わりになるもの)を準備しています。
志望動機やアピールポイントを書くスペースが多く占めている場合が多いので、転職理由は自分が何かできるのか明確に書くことができなければ不採用になってしまいます。
なお、専門分野における経験と実績があれば、経験の乏しい薬剤師よりは、格段に採用に近づくことができるでしょう。
もちろん、転職で重要なのは経歴ばかりではなく、仕事に対する情熱ややる気を持っていることも大切な素養です。
病床数600床以上の大規模病院でも薬剤部の人員は30〜40名程度なので実力のある薬剤師、そして働き続けられる人物を求める傾向が強いのです。
自分なりになぜ公的病院で働きたいのか、他の病院との違いなどの理由を明確にし、しっかりとした下準備を行ったうえで転職に臨みましょう。
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公的病院の選び方とは?財務諸表は必ずチェック!
社会情勢の不安や景気の低迷もあり、安心して長く働くことができる公務員への転職に人気が集まるのは当然ことでしょう。
しかし、実のところは公的医療機関の多くが財政難に苦しんでいます。
国立病院・公立病院の7割が赤字経営を強いられており、現状では今の赤字状況を打破する方法もなく、惰性でズルズルと維持されている病院が多いのです。
最近では行政の直轄組織とはせず、独立行政法人などとして財政再建を目指していますが、職員の公務員扱いなど人件費を抑えることができないため大きな成果は上がっていません。
病院によっては賞与の8割をカットしてストライキが実際に行われた病院もあります。
公的病院だからといって情報収集を怠るのは危険なため、各運営組織が発表している財務諸表は必ずチェックしておきましょう。
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参照:医療経済実態調査
まとめ:公務員は高待遇で高年収。でも、病院選びは慎重に!
公務員の求人を見てみれば、その待遇の良さや生涯賃金の高さに驚くことでしょう。
中小企業の薬局などと比べても、その待遇は破格のものです。
現状公務員は解雇される心配もなく、常に昇給が続くというのは大きな魅力ですよね。
ただし、その経営状況を見てみれば、楽観視できるものではないこともわかります。
何年も赤字経営を続けており、有効な打開策も講じられないままの現状では、本当にこのままの待遇で存続できるのか、疑問も残ります。
公務員が安定と呼ばれた時代は、すでに過去のものかもしれません。
病院選びは慎重に、そして、安定を求めるよりも、本当に自分が携わりたい仕事で頑張ることも視野に入れておきましょう。
公的病院を探すなら転職エージェントを活用
先ほども説明した通り公的病院の多くが独立行政法人化しているため、転職エージェント経由での募集が多くなっています。
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有名どころの転職エージェントですと、マイナビ薬剤師・リクナビ薬剤師・薬キャリエージェントがありますが、なかでもマイナビ薬剤師は、サポート力がダントツで、職場の雰囲気や実際に働いている薬剤師の評判など、内部情報も共有してくれるため、失敗のない転職をすることができます。
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ただし、採用人数が少ない公的病院は、基本的に非公開求人のため、募集があったとしても応募者が殺到するため、すぐに締切してしまうケースも少なくありません。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックし、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるようにしておく事が転職を成功させるコツです。
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