薬剤師は転職しやすい資格職ですので、多くの薬剤師が転職を経験しています。
しかしながら、その転職のすべてが成功しているかといえば、そうではありません。
転職することによって、自分の理想としていた働き方から遠くなってしまった例も存在します。
なぜ失敗してしまったのか、どうすれば成功できたのかを、実例を見ながら未然に失敗を防ぐ方法を紹介します。
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きよみ
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薬剤師が転職に失敗した体験談4例
まずは転職に失敗してしまった薬剤師の体験談を見ていきましょう。
転職に失敗してしまう理由はたくさん存在しますが、根本的なことは共通しています。
その点さえ間違わなければ、転職での失敗は避けることができるでしょう。
失敗から学び、自分自身の転職に生かしてください。
失敗した体験談1
薬剤・人事管理ができおらず経営者の性格に難がある職場
真由美さん:大手調剤薬局 小規模調剤薬局
しかし、実際に働き始めて勤怠管理や危機管理がルーズで、一緒に働く薬剤師の一人が経営者なので直接は言えずじまい。他の薬剤師に相談しても今まで大丈夫だったからと・・・。
前の職場では、規則やマニュアルでちゃんと定められていたので、そのギャップに段々と耐えられなくなってきました。
さらに、ミスをすると呼び出され、なぜミスをしたのか、薬局の評判が落ちるかもしれない、責任とれるのかなど・・・。
市販薬も販売している街の薬局なのですが、近くにできたマツモトキヨシにお客が流れ焦っているのをやつあたりされている感じです。
なぜそもそも人員の少ない小規模薬局で人を募集しているのかわかりました。
転職したばっかりですが精神的にしんどいので転職したいし、こんな経営者だから退職するときも揉めるんだろうなと毎日悩んでいます。
真由美さんが転職に失敗した理由
- 転職先のリサーチ不足
- 理想としている働き方を具体的に考えていなかった
この失敗から学べること
自分がどんな働き方をしたいのか、理想とする勤務先はどんな場所なのかを、明確に固めていなかったことが、今回の転職失敗を招いています。
まず、自分自身がどんな働き方をしたいのかが決まっていなければ、転職先に求める条件も曖昧なものとなってしまい、結局は転職してしまってから現実とのギャップに苦しむことになります。
小規模の家族経営薬局はこんな感じだろうと、イメージ先行で詳細なリサーチをしなかったことも、重大なミスと言えるでしょう。
小規模・大規模、法人・個人といった経営状況に関わることなく、良い薬局もあれば悪い薬局も存在します。
決めつけて動くのではなく、きちんとしたリサーチこそ、転職成功のカギとなるのです。
失敗した体験談2
ハローワークの担当者は職場の内部情報は知らない
沙也加さん:子供が大きくなり調剤薬局へ再就職
比較的給料も悪くなくて、自宅から近い調剤薬局で求人募集していたのでラッキーって思っていました。面接後も即内定。
地元で3店舗経営している薬局だったんですが、私と入れ替わりの形で薬剤師が一人やめることになっていました。
管理薬剤師とパート薬剤師、事務員一人の人員ギリギリで回ってるような職場環境で、毎日の残業は当たり前、休みたい日に休みを取れない。
おまけに、管理薬剤師は、年齢が高く腰に持病があるので疲れるとすぐ休み始め、私一人で調剤することも多々あります。
職場の内部情報なんてハローワークの人も知るわけがないから、求人票だけの情報で選んでしまった私が馬鹿でした。
沙也加さんが転職に失敗した理由
- 転職先のリサーチ不足
- 転職手段を一つに限定してしまった
この失敗から学べること
転職先の情報を詳細に調べず、求人票の情報だけで転職先を決定してしまったことが最大のミスと言えます。
本人も理解したようですが、求人票だけの情報では、転職先を決定するために必要な情報が圧倒的に不足しています。
転職先の人間関係はどうなっているか、処方箋枚数に対して薬剤師は充足しているのか、職員の就業状況はどうなっているか、これらは求人票からだけでは得られない情報です。
本来であれば転職先の見学などによって情報を収集することが必要になるのですが、転職に慣れていない薬剤師が一人で転職活動を行っている場合には、あえて企業側から言い出さないこともあり、まんまと騙されてしまうのです。
もし転職サイトなども含めて複数の転職手段を講じていたのなら、転職コンサルタントのサポートを受けることもできたため、避けることができた失敗と言えるでしょう。
ハローワークでも企業の調査は行っていますが、それは企業として健全なものであるかを調べるものであり、薬剤師の働きやすさを調べるものではないのです。
転職コンサルタントが持っている情報とは、天と地ほども違いがあったことでしょう。
失敗した体験談3
未経験OK表記の名ばかり求人には注意
郁弥さん:ドラッグストア 調剤薬局
条件が合致する職場が複数あり、その中でも年収が高めな職場に決めたんですがそれが大失敗でした。
未経験OKなんていっても研修は名ばかりで、誰かが教えてくれるという訳でもなく、日々自主学習です。
職場の雰囲気は悪い訳ではないので聞いたら教えてくれるのですが、忙しい時間帯だと聞くに聞けなくて何をすればいいかわからない事が多々あるんです。
ミスも他の薬剤師と比べると圧倒的に多いし毎朝職場に行くのが憂鬱です。
郁弥さんが転職に失敗した理由
- 転職先のリサーチ不足
- 未経験者が転職するうえでの重要なポイントを理解していなかった
この失敗から学べること
調剤未経験でも採用してくれる求人は一定数存在しています。その中からどうやって選んでいくかが問題となる部分です。
未経験で転職する場合、自身の経験を補うためには、しっかりとした研修や教育の制度が不可欠となります。
当然、転職先に求める条件は、未経験者でも業務に参加できるだけの状態に成長させてくれる研修・教育制度なのです。
ですが、小規模調剤薬局のなかでは、教育制度が組織立っていない場合もあり、それぞれの経験まかせといった職場も存在しています。
転職先を判断する際、年収や休日などの待遇だけで判断してしまうと、職務に従事するにあたって手痛い問題に直面してしまうでしょう。
こういった問題のある転職先を選ばないためにも、きちんと転職先をリサーチする必要があります。
自分自身で確認しても良いでしょうし、転職サイトを活用しているのなら転職コンサルタントに調べてもらってもよいでしょう。
未経験OKなら、きちんと教育してくれるだろうという思い込みが、一番の問題なのです。
失敗した体験談4
調剤併設のドラッグストアが激務過ぎる
由理さん:調剤薬局 ドラッグストア
月の処方箋が200枚程度で薬剤師が2〜3人、事務員1人の配置ですが、薬剤師が3人で仕事をすることはなく大体誰かは別店舗へヘルプへ行っています。
結構来るのが小児科の処方箋で粉が多く、大分バタバタしてしまいます。一包化のお客さんが立て続けて来た時なんかはもう発狂しそうです。
落ち着く間も無く納品コンテナの品出しとOTCの発注、一息つけると思いきや処方箋…もう忙しすぎてイライラします。
給料が高いのは嬉しいけど、仕事終わりはぐったりでプライベートを充実できません。
由理さんが転職に失敗した理由
- 転職先のリサーチ不足
- 転職を年収などの良い面だけで判断し、決めてしまった
この失敗から学べること
従業員は労働に対する対価として給料をもらっているということを忘れてはいけません。
忙しかったとしても暇だったとしても、同じ1時間あたりの給料なのです。
高いと考えた年収は、時間当たりのコストで考えたとき、適正な金額だと言えるでしょうか?
高い年収である場合、高い年収にせざるを得ない何かしらの問題点があるのかもしれません。
業務として求められているものはなんなのか、実際に拘束される時間や業務量はどうなのか、転職先のリサーチを行っていなかった点も、今回の失敗を引き起こした原因と言えるでしょう。
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薬剤師の転職に成功した体験談3例
次に見ていただくのが、転職に成功した薬剤師の実例です。
成功と失敗を分けた差は、ほんのわずかな労力の差であった例がほとんどです。
転職を成功させるための秘訣は、思い込みを捨てて、転職先の姿をありのままでリサーチすることにあります。
成功体験談から、その成功は何によってもたらされたのかを確認していきましょう。
成功した体験談1
やりがいとスキルアップを求めて転職
恵子さん:調剤薬局 調剤薬局
しかし、変化が乏しく、自分のスキルアップとやりがいを求めて成長できる職場で働きたいと思い転職を決意しました。
転職先は、大手調剤グループの開設されて間もない薬局で、薬剤師皆でフォローし合い、頑張ろうという雰囲気があり、意欲的に仕事に取りくめています。
幅広い科の処方箋を扱うのでやりがいを感じますし、月に1回以上研修が行われているので、新薬や最新医療に関して学べるので毎日仕事が楽しいです。
転職に成功した理由
- 転職する理由を明確にしている
- 転職先に求めている制度や体制があることをきちんとリサーチしている
この成功から学べること
転職を成功したかどうかの判断をするのは、結局は自分次第です。
職場がどんな状況だとしても、年収がアップできたのなら成功したと考える人もいるでしょうし、年収などに縛られず、自分にとってのやりがいを得られたなら成功したと考える人もいるでしょう。
大切なのは、自分が転職によって何を手に入れたいのかを明確にしておくことです。
その目標に向かって転職活動をすることで、自然と自分が求める薬局の条件に合致しているかどうかをリサーチするようになり、結果として成功できるのです。
成功した体験談2
プライベートな時間を優先するために転職
美恵さん:調剤薬局 調剤薬局
人員が足りないため、持ち帰りの仕事も多く他店舗にヘルプにいくこともありかなりストレスを溜めていました。
新しい職場では、年収は下がりましたが、職場までは自宅から20分で完全週休2日制、残業はほぼない環境なので、平日はゆっくりと夕食の準備ができますし、趣味だったヨガ教室を復活して週に2回通っています。
年収にこだわらずライフスタイルを優先したからこそ、今では毎日充実しています。
転職に成功した理由
- 実務状況のリサーチを徹底していた
- 自分が最優先するべき項目と妥協できる項目を明確にしている
この成功から学べること
転職先に求めることはなんなのか、それをはっきりとさせておいたことが転職の成功につながった事例です。
最優先する項目・妥協するべき項目を分類できていたことで、年収に縛られず、自分が求めているのはライフスタイルを充実させることなのだと明確にできていました。
その結果、他の条件で誘惑されることなく、求めている生活にたどり着くことができたのです。
実務状況のリサーチをした際にも、求めることの明確化が、いち早く理想の職場と判断させる要因となった事でしょう。
成功した体験談3
昔ながらの古い体質を持った病院からの転職
直紀さん:病院 調剤薬局
そこでは、医師が絶対的な存在で対応も高圧的、チーム医療のチの字もないような職場で、もっと職場全体で仕事をしていきたいと思い転職しました。
転職先は、総合病院の門前で給料が手取りで1.5倍になった上、在宅医療にも力を入れている職場のためキャリアの幅も広がりモチベーションを維持して働き続ける事ができています。
職場では皆平等の雰囲気があり管理薬剤師の人格が優れていて、目指したい人物像ができました
転職に成功した理由
- 理想の働き方を明確にしていた
- 自分のキャリア形成まで考えた上で転職した
この成功から学べること
自分がどんなことを求めているのかを明確にしていることで、希望通りの職場に転職成功した事例です。
薬剤師としてのキャリア形成をどのようにしていくのか、働く上でのモチベーションをどのように維持していくのか、実際に働き始めた後のことまで考慮して転職先を選んでいることで成功を掴んでいます。
病院勤務であった場合、調剤薬局への転職で年収が上がることが一般的ですので、成功の付加価値として年収アップとなっていますね。
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失敗から学ぶ!薬剤師が転職に成功するための3つのポイント
3つのポイント
- 転職先を徹底的にリサーチ
- 転職理由をはっきり明確にしておく
- 一つの項目だけで判断しない
1、転職先を徹底的にリサーチ
転職しようとしている企業のリサーチは徹底的にしましょう。
処方箋枚数や応需している病院の診療科、薬剤師の人数と実際に従事している人数、残業や休日の状況、働いている人間の関係性など、求人票からだけでは得られない情報がたくさんあります。
最低限度、職場見学などを行ってリサーチを進めておかなければ、就職してしまってから後悔することになってしまいます。
その後悔も、転職してしまってからでは、遅いのです。
個人での調査に限界を感じたのなら、転職サイトを活用しても良いでしょう。一つの手段に固執せず、複数のルートを確保しておくのも大切なことですよ。
2、転職理由をはっきり明確にしておく
自分は何を求めて転職するのか、本当に求めているものは何なのかをはっきりと明確にしておきましょう。
たとえば、「今までの職場がなんとなく嫌」ではなく「どんなところが嫌だったのか」を洗い出ししておくことで、転職先に求めるものが明らかになってきます。
なんとなくで決めた職場では、なにか嫌なことがあったときにまた転職する羽目になってしまうでしょう。
しっかりと信念をもって決めた職場であったなら、きちんと立ち向かっていくこともできます。
まずは、自分自身と対話し、企業に求めることはなんなのか、自分が得たいものはなんなのかを明確にすることです。
3、一つの項目で判断しない
年収が高かったから。職場が近かったから。このように一つの項目でのみ判断しては、失敗してしまう危険性が高くなります。
高い年収にはその理由があり、結局は嫌気がさしてしまうかもしれません。
一つの職場が近くても、転勤やヘルプによって、希望通りの店舗で働けないかもしれません。
転職先を判断するためには、様々な情報を総合的に判断することが大切なのです。
特に重要になるのが、求人票からだけでは把握できない部分。パッと見のイメージで決定してしまうことがないようにしていきましょう。
転職エージェントを利用して失敗しない転職活動を行う
転職先を徹底的にリサーチするには転職エージェントのサポートが必要不可欠です。
また、コンサルタントに相談することで自身の転職理由を客観的に分析することができるので、転職に失敗する可能性をできる限りゼロにすることができます。
有名どころの転職エージェントですと「マイナビ薬剤師・リクナビ薬剤師・薬キャリエージェント」がありますでが、特に「マイナビ薬剤師」は、手厚い転職サポートに定評のある転職エージェントです。
マイナビ薬剤師は全国14カ所に支社があり、求人先の企業や店舗に直接訪問してリアルな内部情報を把握しているので、求人の質にはどの転職エージェントよりも信頼できるものがあります。
ただし、条件の良い求人(非公開求人)は応募者が殺到するため、募集してから数日以内に締切してしまうケースも少なくありません。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックし、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるようにしておく事が転職を成功させるコツです。
名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話で連絡がきますのでご自身の希望条件や職場の悩み、情報収集したい事を伝えてみましょう。心強いサポートをしてくれますよ。