入社前に聞いていたこと、イメージしていたことと現実が異なるなどで、入社後すぐに転職を考える新人薬剤師は意外と多いものです。
ですが、石の上にも三年ということわざの影響か、日本は入社してすぐに退職した人の転職には厳しい目が向けられます。
薬剤師という業務独占職でも例外ではありませんが、昨今は第二新卒という考えも生まれているのも事実。
この記事では、入社1〜2年目の新人薬剤師の転職事情や離職率、第二新卒で転職するためのポイントを紹介します。
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1年目で辞める新人薬剤師の離職率とは?
新人薬剤師の離職率は、意外にも高いことに驚かれるかもしれません。
ネグジット総研の保険薬局を対象にしたアンケートによると、就職後1年以内で退職する新人薬剤師は約9%。おおよそ10人に1人は1年以内に転職していることがわかります。
就職後3年まで範囲を広げれば、実に35%にまで離職率は上昇します。
薬剤師は業務独占資格であるため、比較的容易に転職できるという点も、離職率の上昇に貢献してしまっているのです。
新人薬剤師が辞めたいと思う理由と原因
辞めたいと思う理由と原因
- 思っていた仕事とは違った
- 職場の指導といじめが紙一重
- 忙しいわりに給料が安いため他の職場が気になった(特に病院薬剤師の場合)
- 実際に働き始めて薬剤師は向いていないと思った
- 研修や教育制度が整備されておらず放置される
- 製薬会社などの企業で働きたい
新人薬剤師が辞めたいと考える理由は様々ありますが、大きく分ければ3パターンに分類できます。
「待遇や教育制度などに関して会社に不満があるパターン」「想像していた業務と現実にギャップがありすぎたパターン」「本当にやりたい仕事に気が付いてしまったパターン」の三種です。
薬剤師業界はまだ閉鎖的な部分が多く、実際に働いてみるまでは本当のところがわからないこともあるため、入社後すぐに不満が出てしまうのは避けられないのです。
経験不足の新人薬剤師が辞めた場合のリスク
新人薬剤師が経験不足のまま退職した場合、そのあとの転職活動で不利になる可能性があります。
1年未満で退職したという事実が今後の履歴書に延々と記載されていくため、転職する際には必ずその説明から始めなければならず、採用担当者からも不必要な注目を浴びてしまう可能性があります。
きちんとした経験を積んで、キャリアップのために転職していると判断できる状況であれば問題はありませんが、職歴が1年未満での退職であればキャリアアップのための下地ができていませんので、ただの逃避行為と考えられてしまうこともあるのです。
転職活動を行う際にも不利な点は存在します。
実際の職場を数カ月しか経験していないため、転職先を選ぶ際にも必要なチェック項目にまで考えが至らず、経験のある薬剤師なら怪しく思うような求人でも年収の高さに引かれて応募してしまい、現状よりも条件の悪いブラックな職場に捕まってしまうかもしれません。
そうなってしまっては短期間で何度も転職するわけにもいかず、泣く泣く勤め上げるしかなくなってしまいます。
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薬剤師の転職市場でも第二新卒は存在するの?
第二新卒という言葉を知っていますか?
薬剤師業界ではあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、最近の業界では転職するうえでのキーワードの一つになっています。
具体的な定義はあいまいなものですが、一度就職してから1~3年以内に転職活動をしている新人を指す言葉です。
転職市場では第二新卒というワードが一般的になっており、様々な職種で第二新卒を対象にした採用募集がおこなわれていますが、薬剤師や看護師などの専門的な医療従事者の場合、第二新卒を対象にした転職市場が明確にあるわけではありません。
薬剤師は専門知識や特殊な技能が必要とされる職種ですので、明らかな経験不足では採用を躊躇されてしまうことも考えられます。
ただし、経験がなければ中途採用されることが難しいかといえば、そうとも言い切れません。
人材不足で困っているような企業であれば、経験不足の第二新卒であったとしても採用される可能性は非常に高くなります。
第二新卒を募集している薬剤師の職場とは?
入社してすぐに辞めた薬剤師は、はっきりと言って採用担当者から見れば不安な案件です。
採用したとしてもまたすぐに辞めていくのではないか?どんなに素晴らしい転職理由を話していても、その疑念はどこかに残っているものです。
通常であれば、もっと条件の良い薬剤師を採用するものですが、第二新卒薬剤師でも積極的に採用する職場があるのです。
いえ、厳密には「採用せざるを得ない職場がある」が正しい言い方でしょうか。
いくら求人を出していても薬剤師からの応募が一向にない。
現場の職員は疲弊していて、今すぐにでも薬剤師を補充しなければいけない。
退職する予定の薬剤師の穴を、できるだけ速やかに埋めたい。
そういったやむを得ない事情がある企業では、入社してすぐに辞めた薬剤師といえども、受け入れられる可能性は非常に高いでしょう。
常に薬剤師が不足しているということから考えると、ブラックな職場である危険性もありますので注意が必要ですが、立地の問題などで会社自体には問題がないのに薬剤師が集まらないという企業や新規出店戦略で常に新たな薬剤師を確保したい大手調剤薬局・大手ドラッグストアもありますので、まずはリサーチを綿密に行うことが大切です。
受け入れてくれる可能性が高い企業を見つけたとしても、あまりにも粗雑な転職理由では転職活動で不利になることは否めません。
ポジティブで正当な理由を持っていることが、転職を有利に進めるためには重要となってきます。
特に入社してすぐに辞めた薬剤師というレッテルを払しょくするためには、転職理由は重要な役割をもっているんです。
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第二新卒で転職するための3つのポイント
第二新卒で失敗を繰り返さないためにも、下記で紹介する3つのポイントを意識して転職活動を行いましょう。
3つのポイント
- 情報収集は徹底し、候補を複数あげておく
- 小規模薬局、病床数の少ない病院は選ばない
- 転職理由を明確に答えられるように準備する
1、情報収集は徹底し、候補を複数あげておく
同じ失敗を繰り返すと後がなくなってしまいます。薬剤師として1年以内に2回も転職しているとなると、採用側も何か問題があるのではないかと、採用される可能性が極めて少なくなってしまいます。
転職で失敗する最大の要因は、リサーチ不足です。
さらに、薬剤師1年目での転職となると調剤経験豊富な中途採用者と比べて不採用にあることはよくあるので、事前に5〜6社をピックアップし、優先順位をつけてから求人応募しましょう。
2、小規模薬局、病床数の少ない病院は選ばない
一概に一括りには言えませんが、小規模薬局、病床数の少ない病院の多くは教育するだけの人員とマニュアルが整備されていません。
特に薬剤師として調剤経験が1年に満たないのであれば、まずは研修・教育制度が整った企業で薬剤師としてのスキルを磨いていかなければなりません。
「採用してくれる企業があるならどこでもいい」といった卑屈な考えで入社してしまうと、また同じ目にあう可能性があるので、中規模から大手調剤薬局(病院)を選ぶようにしましょう。
3、転職理由を明確に答えられるように準備する
第二新卒の薬剤師が最も悩むことが、どのように転職理由を説明するかでしょう。
嘘を言うことは後々バレるのでNGですが、働いている時に起こったエピソードを盛り込むこで信ぴょう性のある好印象を与える転職理由になります。
入社から1年未満の転職では、転職理由をポジティブに変換することは難しいのが現状です。
ネガティブな理由だとしても、最終的に自身の「やる気や人柄」を伝えるようにしましょう。
第二新卒の転職理由で良い印象を与える例文
良い例文
私が勤めている調剤薬局で調剤過誤が起こった時、情報共有と今後同じ状況が起こらないための会議がありました。
このとき私は、調剤過誤防止マニュアルのリニューアルと調剤過誤システムの導入の検討を提案をしたのですが、私が若いということもそうですが、私と働いている薬剤師にかなり温度差があり、ただの情報共有で終わりました。
工夫と努力次第でもっと効率よく働けるようになると思っていたのですが、私以外は面倒くさそうに思っているなと感じたんです。
入社からまだは8ヶ月ですが、これ以上はこの調剤薬局で頑張るのは無理だと感じました。
そこで、年齢やポジションに関係なく、建設的な意見交換ができる社風を持つ御社で、今後の薬剤師人生を成長させていきたいなと思い応募しました。
第二新卒の転職理由で悪い印象を与える例文
悪い例文1
前職場では、調剤ミスをしてしまい、それ以降簡単な仕事ばかりあてがわれ、自分の居場所がないと思い退職しました。しかし、本当は先輩もチェックをしなかったのが問題で・・・。
悪い例文2
前職場は教育や研修制度が整っておらず、放置気味でこのままでは成長できないと感じました。そこで、研修制度が整う御社に転職したいと思い応募しました。
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第二新卒での転職を成功させた薬剤師の体験談
楓さん 調剤薬局勤務
退職後、転職エージェントに登録してコンサルタントに悩みを相談している中で「第二新卒だからといって悲観になる事はなく、基本的に企業は入社意欲の高さと人柄を重視しているから転職自体難しいわけではないですよ」と声をかけてもらい勇気が出ました。
結果的に調剤薬局に転職することができ、職場が違うだけでこんなに仕事の楽しさが違うんだと日々実感しています。
小百合さん 調剤薬局勤務
そんなある日、小耳に先輩(管理薬剤師)の給料の話を聞き「えっ」と声が出てしまうほど低くて驚きました。その先輩は入社8年目でめちゃめちゃ働いているのに新人同様の私と5万円しか月給が違わなかったんです。
私の働いていた薬局は、サービス残業は当たり前で休日出勤もある上、子供がいる人もいない、ましてや結婚している人がいないと…、ようやくこの職場はブラックだと気付きました。
このまま働いていてはダメだと思い、転職エージェントに登録して助けを求めました。
私は薬剤師としての仕事が嫌いになったわけではなく、将来働き続ける事を考えたポジティブな転職理由だったため、転職活動は不安だったもののコンサルタントのサポートもあり無事に転職ができました。
職場でのキャリアパスや昇給頻度、子供ができた時の産休・育休まで福利厚生を事前に擦り合わせしたので、働き続けることに安心感があります。
入社してすぐの転職であっても、自分のやりたい仕事や方向性がはっきりとわかり、今までの職場では実現できない夢ができたなどであれば、採用担当者にもその情熱は伝わることでしょう。
ただし、転職理由が明確に説明できなければ、ただその場しのぎに取り繕って話しているだけという印象を与えてしまう危険性があるために注意が必要です。
大切なのは、ポジティブで正当な理由に上手に言い換え、明確に理論立てて説明できることなのです。
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まとめ:就職してすぐの転職は不利になりやすいけれど、精神的に耐えられないのなら転職すべき!
就職してすぐに転職することは、その後の転職活動にマイナスの影響を及ぼしかねません。
できるのなら、せめて2年目に差し掛かってからの転職の方が、採用担当者の受ける印象も変わってきます。
ですが、仕事上の苦痛に耐えられず、精神的にも疲弊して体を壊してしまうのなら、転職という選択肢を選ぶべきでしょう。
会社のためにあなたがいるのではなく、あなたの人生のために会社があるのです。
体を壊してまでしがみつく必要はこれっぽっちもありません。
転職エージェントに相談することから始めてみる
自分一人でどうしようかと悩んでいても、考えが煮詰まってしまい適切な答えが見つからないがことがよくあります。
そんな時は、先ほど紹介した楓さんと小百合さんのように転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントでは、毎年100人前後の第二新卒の薬剤師をサポートしています。
有名な転職エージェントですと、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師、薬キャリエージェントがありますが、特にマイナビ薬剤師は、職場の内部情報を熟知している上、応募書類の添削や面接同行までしっかりサポートしてくれるため第二新卒特有の不安を解消してくれます。
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名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話で連絡がきますのでご自身の状況や職場の悩みをまず相談しましょう。心強いサポートをしてくれますよ。
状況を今一度考え直し、どうするのかが自分にとって最善の選択肢なのかを吟味してみてください。