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教育するって難しい!デキる薬剤師を育てるための新人教育のポイント

薬剤師05

薬剤師は専門職であるため、先輩薬剤師による教育が不可欠の職業です。

そうは言っても、大学で新人薬剤師の教育方法なんて講義があるわけでもなく、すべての薬剤師が教育者としては初心者からスタートします。

自分の教え方次第で新人薬剤師の将来は大きく変わり、デキる薬剤師になるのか、逆にダメ薬剤師となってしまうのか、責任重大な役目ですよね。

新人教育を暗中模索で頑張っている薬剤師に向けて、今回はデキる薬剤師を育てるポイントについてお伝えします。

きよみ

はぁ、新人薬剤師の指導は、何回やっても疲れるわね。将来に向けての投資ではあるけど、業務が二倍になったくらい大変に感じちゃうのよね。

あや

きよみ先輩の薬局、新人さんが入ったんですね。私はまだ教育係をしたことないんですけど、新人教育ができる人って尊敬しちゃいますよ。

モンブラン

薬剤師は新人教育に苦手意識を持っている人が多いですからね。きよみさんみたいにベテランでも、やっぱり大変だと感じるんですね。

きよみ

私はそこまで嫌いでもないけど、苦手だっていう人は確かに多いわよね。

あや

私はたぶん、苦手ですよ!

モンブラン

自信満々で言うことではないですよ。せっかくですから、新人教育についてちょっとお話ししましょうか。

新人教育に悩む教育担当者の相談内容

相談内容1

担当していた新人薬剤師が辞めてしまった
 
薬剤師歴15年、今まで何人も新人教育を担当してきましたが、ついこの前、担当していた薬剤師が辞めてしまいました。
 
実は、退職した理由として私の存在が怖いといった事もあったようで、私の教育は間違っているのかなと悩み始めました。
 
基本的に怒ったりすることはないのですが、調剤ミスの可能性があるのに、隠そうとしたりする行為や患者に対する対応がおざなりな状態な時はかなり厳しく指導しています。
 
というのも医療従事者として倫理観はとても大切だと思っているからです。
 
しかし、退職の原因を作ってしまった事も事実で今一度、教育方法に対して考えてみようと思います。

相談内容2

いくら注意してもなおらず、舐められています
 
初めて新人教育を任されました。私自身の性格のせいか、厳しく叱ったりすることができず、また、仕事を任せる(お願いする)ことが苦手で全て自分でやってしまいます。
 
さらに、新人が他の先輩薬剤師と比べ私と年齢が近いこともあり、相手も上司としてみていない気がします。
 
叱る事や注意する事が苦手で新人より私の方が緊張とストレスでいっぱいです。

新人と先輩とはいえ、お互いに個性ある人間ですから、たとえマニュアルがあったとしても、その通りに指導が進行していくことは考えにくいものです。

物覚えの良い悪いもありますし、性格上の不和もあります。

指導する側にも好き嫌いの感情が発生してしまうことも当たり前にありますし、理想通りに指導が進まないのは仕方のないことなのです。

新人教育において難しいところは、指導する上で一貫して守っていかなければいけない部分もありながら、相手を見て臨機応変に対応を変えていく必要がある点です。

自分の考えに固執した指導では、すべての教育で成功することは不可能だと言えるでしょう。

後輩を指導することに苦手意識を持つ薬剤師は多い

薬剤師は自分自身を高めていくことは得意ではあるものの、人間関係の構築は苦手にしていることが多く、特に新人教育に関しては苦手意識を持ってしまっている例が多く見受けられます。

教育を任せられる立場となるのは、薬剤師としても中堅どころでとなった状況ですので、新卒の薬剤師とは年齢的にも世代が離れてしまい、どんな会話をすればいいのか悩んでしまうことが多いようです。

きよみ

この相談者みたいに、私も悩むことがあったわ。最近の若い人って、話しかけても上の空っていうか、暖簾に腕押しっていうか、そんな風に感じるのよね。

あや

あれですよ、ゆとり世代ってやつですよ!

モンブラン

そうやってひとまとめに考えてしまうのは、良くないことですよ。確かにそういった傾向がある人はいるかもしれませんが、すべてに当てはめるのはよくありません。

きよみ

ゆとり世代のなかでも優秀な人はいるし、それ以外の世代でもどうしようもない人はいるものね。

モンブラン

てゆうか、あやさんもゆとり世代ではなかったですか?

あや

う、実は、いつも言われてばかりだったので、言ってみたかったんです…。

「ゆとり世代だから」や「昔はこうだった」は関係ない

薬07

新人教育がうまくいかない理由を「ゆとり世代だから」といった言葉で思考停止し、失敗したとしても「昔はこうだった」と自己完結しているようでは、いつまでたっても有望な薬剤師を育てることはできません。

こういった言葉は、能力のない中間層が自分の立場を守るために使用しているものでしかないのです。

教育を任されたからには、そういった考えを捨て、現代の事情に合わせた対応をしていくことが求められます。

昔の薬剤師はもっと根気があったとか、今の若者はやる気がないとか、よく言われている言い訳ですが、本当にそうなのでしょうか。

実は、入社3年以内の離職率は、30年以上も前から大きな変動はないのです。

むしろ、今現在40代となっている薬剤師の方が、昨今の卒業生よりも離職率が高いというデータも存在しています。

昨今の卒業生が悪いわけではなく、時代が変わったことに対応できていない指導係にも、問題があると言わざるを得ません。

時代は変わり、インターネットが広く整備され、スマホなどのデバイスで気軽にいつでもネット接続が可能となった現代は、手に入る情報量が違います。

就職先の情報収集を入念に行うことは当たり前になり、今いる会社よりも条件が良い会社があれば転職することは、至極当然のこととなっています。

教育失敗がそのまま新人薬剤師を他社に流出させてしまう原因となりうるため、教育を成功させるためには、私たちの文化や考え方は常に変化しているということを理解しなければいけないのです。

褒める・叱るのバランスと感情論ではなく論理的に

薬剤師の国際化と英語力

人を伸ばすために大切なことは、まずは相手を認めて褒めることです。

先輩薬剤師から見た新人薬剤師は、知識は少なくミスは多めで、何を褒めて良いのか悩んでしまうかもしれませんが、できたことを褒めて認めてあげなければ自尊心とやる気が養成されず、結局は受け身ばかりのダメ薬剤師となってしまいます。

だからといって褒めてばかりでは増長することになってしまい、成長どころか仕事ができない薬剤師となってしまうことでしょう。

悪い部分はしっかりと指導することも併せて重要なのですが、教育で最もしてはいけないことは、感情をむき出しにして怒りをぶつけることです。

特に、何らかのミスを新人がしてしまったときに頭ごなしに怒ることは、絶対にしてはいけません。

教育において相手のミスを指導する時には「怒る」ではなく「叱る」ことが重要なのです。

「怒る」とは、不快な感情を我慢できず、そのまま気持ちとして表すことを指し、「叱る」とは、目下の者の言動について、良くない点を指摘して咎めることを指します。

新人薬剤師を指導するポイントは、できた部分をしっかりと認めて褒め、できていない部分は論理的に説明して叱ることだと言えるでしょう。

人格を否定するような叱り方は絶対にNG

新人薬剤師が完璧に仕事をできることはないため、必ずどこかで「叱る」指導が必要となりますが、その際に大切なことは、論理的に指導していくことです。

相手の人格を否定するような叱り方は絶対にしてはいけません。

もしそのようなことをしてしまえば、新人が育たないだけではなく、パワハラ・セクハラとして訴えられてしまう可能性さえあるのです。

人格否定と捉えられてしまう言葉の例として、「仕事がとろい」「ぼーっとしている」「なんでわからないの?」「ご飯を食べすぎる(食べない)から失敗するんだ」など、ミスとは関係のない部分に言及しているものや「美人だから今回は勘弁しよう」「親の顔を見てみたい」などの容姿やプライベートに関係するような言葉は、絶対に避けましょう。

叱った後は必ずフォロー

ただ叱るだけでは、その後の成長は望めません。

叱った後にはしっかりとフォローしてあげることで、より効果的な教育となるのです。

外面上はなんの変化も見られず、何も気にしていないように見える新人でも、叱られたことによって何らかの精神的な変化が生まれています。

ミスした部分を叱ったとしても、褒めるべき点はしっかりと褒めていきましょう。

自分でフォローするのが難しいのなら、同僚にフォロー役をしてもらうなどの対応も可能ですので、叱った後のフォロー体制などまで、しっかりと練っておきましょう。

あや

教育って、こんなにいろいろ気を付けながらしないといけないんですね。

モンブラン

特に最近は、パワハラ・セクハラに関係することは、非常にセンシティブな問題です。指導とパワハラは紙一重とも言われていますので、気を付け過ぎくらいでちょうどいいと思いますよ。

きよみ

確かに、指導係の立場ってのは、それだけで優位に立ってしまうから、間違いがあったらいけないものね。

あや

そう考えると、なんか緊張しちゃいますね。

モンブラン

そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。相手を尊重して、必要なことをしているのなら、おかしなことにはなりませんから。

特別なことは必要ない、自分ができる範囲の教育を!

薬剤師14

新人教育というと、身構えて硬くなってしまう薬剤師が多くいますが、特別身構える必要はありません。

相手も同じ薬剤師で、同じ人間です。言葉が通じるのであれば、意思疎通することはできるはずです。

「新人薬剤師が自分で答えを見つけられるよう、答えまでの道筋を教えてあげる」「患者との関係性で悩みがあれば話を聞く」特別なことは必要なく、結局はこの対応さえできていれば十分な新人指導となるでしょう。

新入社員のなかには、必ず一定数辞める人はいるのですから、例え教育係として教えていた薬剤師が辞めたからといって必要以上に自分を責める必要はありません。

自分が任されたからには、自分が思う最善の教育法を行えば良いのです。

過去に教育係をしていた先輩薬剤師からのアドバイスもあるでしょうが、現在の教育係は自分です。

過去の話を参考にするのは良いですが、すべて真似をする必要はありません。

教育担当として実際に教育しているのはあなたなのですから、必要だと感じるところを抜粋して利用して、あなたが必要だと考える教育を行っていけばよいだけなのです。

まとめ:人を育てるのは大変でも、得られるものはたくさんある!

新人教育を任されると、自分自身のことにだけ集中していればよかった頃とは違い、色々なところに気を配らなければいけなくなります。

中には自分の仕事が手につかなくなってミスが増えてしまったりすることもありますが、新人を育てることによって得られるものもたくさんあります。

人に指導することによって自分自身が成長できるというのを筆頭に、人との関係性の作り方や、患者指導の能力も格段に上昇していきます。

そのため、新人指導の実績がある薬剤師は、どこの会社にいっても重宝される存在となり得るのです。

後輩から尊敬される教育担当を目指していくうえで、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。