全国各地に薬学部を持つ大学が設立され、現在は70校あまりが薬学教育を行っています。
薬学部は一般的に偏差値が高いと言われていますが、実は大学によって大きな違いがあるのです。
トップ校と底辺校では、偏差値にして20~30の差が開いているのが現状です。
この記事では、薬学生を目指す方に向けて、志望校を決めるためにも大学ごとの偏差値ランキングを見ながら、合格率や学費について解説していきます。
きよみ
モンブラン
あや
モンブラン
偏差値とは、学力検査の得点を比較しやすいようにデータ化した値です。平均は50です。各社予備校が大学ごとの偏差値を出していますが、この記事では河合塾が公表している値を参照しています。
国公立17大学を調査!薬学部の偏差値ランキング
薬学部薬学科のある国公立17大学の偏差値と国家試験合格率を調査し、以下の表にまとめました。
順位 | 大学名 | 偏差値 | 合格率 |
1 | 東京大学(東京) | 67.5 | 78% |
2 | 京都大学(京都) | 65 | 73% |
3 | 名古屋市立大学(愛知) | 65 | 88% |
4 | 北海道大学(北海道) | 65 | 89% |
5 | 大阪大学(大阪) | 62.5 | 83% |
6 | 千葉大学(千葉) | 62.5 | 90% |
7 | 九州大学(福岡) | 62.5 | 90% |
8 | 岡山大学(岡山) | 60 | 92% |
9 | 広島大学(広島) | 60 | 92% |
10 | 東北大学(宮城) | 60 | 70% |
11 | 熊本大学(熊本) | 60 | 74% |
12 | 静岡県立大学(静岡) | 60 | 88% |
13 | 岐阜薬科大学(岐阜) | 60 | 84% |
14 | 徳島大学(徳島) | 57.5 | 83% |
15 | 富山大学(富山) | 57.5 | 80% |
16 | 金沢大学(石川) | 57.5 | 97% |
17 | 長崎大学(長崎) | 57.5 | 84% |
国公立の薬学部は、どこも偏差値が高いことが特徴です。
ただし、この偏差値の高さは、そのまま国家試験の合格率の高さにつながるわけではありません。
国公立大学の場合、国家試験の合格を目指すような授業はされておらず、研究に重きをおいたカリキュラムとなっています。
国家試験も一応受験するけれど、本命は大学院進学という学生も多いため、合格率が低い大学も多々あります。
もっとも、合格率が低くても優秀な学生が集まっていることに違いはありません。
国公立薬学部の学費(授業料)とは?
- 入学金:282,000円
- 学費:535,800円
- 入学金:100,000〜500,000円
- 学費:535,800円
国公立の大学は、入学金・学費ともに、低価格に抑えられています。
これは、国から多額の補助金が出されていることに起因しています。
生徒からの学費は、大学全体で考えた時の収支として、非常に少ない割合となっているのです。
教育機関であるとともに、研究機関でもある国公立大学の特徴だと言えるでしょう。
国家試験合格率はどこも平均超え
もともとが優秀な学生ばかりが集まる国公立大学ですので、もちろん国家試験合格率はどこも平均を超えています。
ただし、この合格率は既卒生も含めての合格率(2018年度:70.58%)となっており、現役生だけの合格率では84.87%となるため、一部の大学では現役生の合格率を下回っています。
その理由は前述していますが、講義が国家試験対策ではなく、研究に重点を置いたものとなっているためです。
薬剤師国家試験の合格のみを目指すのであれば、国公立大学よりも上位私立大学の方が効率が良いかも知れません。
私立53大学を調査!薬学部の偏差値ランキング
薬学部薬学科のある私立53大学の偏差値と国家試験合格率を調査し、以下の表にまとめました。
偏差値60〜65の私立薬学部
順位 | 大学名 | 偏差値 | 合格率 |
1 | 慶應義塾大学(東京) | 65 | 85% |
2 | 東京理科大学(千葉) | 62.5 | 84% |
3 | 北里大学(東京) | 60 | 89% |
4 | 近畿大学(大阪) | 60 | 88% |
偏差値60を超える私立大学は、上位4校です。
偏差値の高さと国家試験合格率の高さを両立させた大学となっており、薬学部としてだけではなく有名な大学が揃っています。
大学が経営する附属病院を持つものもあり、座学だけではない生きた薬学を学ぶことができるでしょう。
偏差値55〜59の私立薬学部
順位 | 大学名 | 偏差値 | 合格率 |
5 | 立命館大学(滋賀) | 57.5 | 83% |
6 | 星薬科大学(東京) | 57.5 | 88% |
7 | 武蔵野大学(東京) | 57.5 | 90% |
8 | 東京薬科大学(東京) | 55 | 84% |
9 | 昭和薬科大学(東京) | 55 | 85% |
10 | 京都薬科大学(京都) | 55 | 86% |
11 | 福岡大学(福岡) | 55 | 83% |
トップ校に比べれば多少偏差値は低くなりますが、それでも十分な偏差値を持つのがこの7校です。
国家試験合格率ももちろん高く維持され、病院経営を行う大学もあり、学習環境は素晴らしいものとなっています。
薬科大学がランクインしていますが、医療系の人でなくても聞いたことがある程度には有名な大学が揃っています。
偏差値50〜54の私立薬学部
順位 | 大学名 | 偏差値 | 合格率 |
12 | 昭和大学(東京) | 52.5 | 79% |
13 | 東邦大学(千葉) | 52.5 | 84% |
14 | 名城大学(愛知) | 52.5 | 89% |
15 | 大阪薬科大学(大阪) | 52.5 | 82% |
16 | 神戸薬科大学(兵庫) | 52.5 | 85% |
17 | 日本大学(千葉) | 50 | 73% |
18 | 同志社女子大学(京都) | 50 | 68% |
19 | 金城学院大学(愛知) | 50 | 65% |
20 | 崇城大学(熊本) | 50 | 75% |
ここにランクインしているのは9校、偏差値でいえば一般的な学生の平均値となる50付近の大学です。
偏差値50を基準に、合格率ががくんと落ちることが分かります。
それでも、大学として薬学研究は実施され、教育機関としても問題のないものとなっています。
偏差値35〜49の私立薬学部
順位 | 大学名 | 偏差値 | 合格率 |
21 | 愛知学院大学(愛知) | 47.5 | 75% |
22 | 摂南大学(大阪) | 47.5 | 79% |
23 | 横浜薬科大学(神奈川) | 47.5 | 47% |
24 | 帝京平成大学(東京) | 45 | 46% |
25 | 城西大学(埼玉) | 45 | 53% |
26 | 武庫川女子大学(東京) | 45 | 67% |
27 | 東北医科薬科大学(宮城) | 42.5 | 78% |
28 | 神戸学院大学(兵庫) | 42.5 | 74% |
29 | 高崎健康福祉大学(群馬) | 42.5 | 60% |
30 | 北海道医療大学(北海道) | 42.5 | 77% |
31 | 広島国際大学(広島) | 42.5 | 62% |
32 | 鈴鹿医療科学大学(三重) | 40 | 54% |
33 | 大阪大谷大学(大阪) | 40 | 53% |
34 | 就実大学(岡山) | 40 | 61% |
35 | 兵庫医療大学(兵庫) | 40 | 49% |
36 | 安田女子大学(広島) | 40 | 55% |
37 | 北海道科学大学(北海道) | 40 | 81% |
38 | 松山大学(愛媛) | 40 | 58% |
39 | 長崎国際大学(愛媛) | 40 | 62% |
40 | 奥羽大学(福島) | 37.5 | 37% |
41 | 千葉科学大学(千葉) | 37.5 | 51% |
42 | 第一薬科大学(福岡) | 37.5 | 35% |
43 | 岩手医科大学(岩手) | 35 | 60% |
44 | 日本薬科大学(埼玉) | 35 | 46% |
45 | 新潟薬科大学(新潟) | 35 | 66% |
46 | 北陸大学(石川) | 35 | 57% |
47 | 福山大学(広島) | 35 | 60% |
48 | 城西国際大学(千葉) | 35 | 59% |
49 | 徳島文理大学(徳島) | 35 | 46% |
50 | 九州保健福祉大学(宮城) | 35 | 74% |
51 | いわき明星大学(福島) | 35 | 92% |
52 | 姫路獨協大学(兵庫) | 35 | 52% |
53 | 青森大学(青森) | 35 | 50% |
ここにランクされる薬学部は、偏差値としてはかなり低い大学です。
年度によっては定員割れしており、受験者全員が合格になることで、偏差値測定不能となることもあります。
集まる学生の質も低いため、国家試験合格率は非常に悪く、薬学研究をしない学生もいます。
大学というよりも、薬剤師国家試験の受験資格をもらうための施設と言っても良いくらいです。
私立薬学部の学費(授業料)とは?
私立大学の薬学部は、学費が非常に高額であることで知られていますが、私立校であるため、その金額は大学によって大きな違いがあります。
安いところでも年間100万円、高額な大学では年間200万円以上の学費が必要になります。
私立大学でも国からの助成金は出されていますが、国公立大学にくらべてその金額は格段に少なく、経営のためには学生から学費を徴収する必要があるためです。
偏差値50以下の大学は国家試験合格率が極端に低い
偏差値が50以上の大学では国家試験合格率は安定していますが、50以下の大学では極端に低くなります。
しかもこの合格率は、卒業試験でふるいにかけ、国家試験を受験できる学生を厳選した結果です。
私立大学にとって国家試験合格率は、自校を広告する重要なポイントであるにもかかわらず、合格率を維持できないというのは恐ろしい状況だとわかります。
偏差値が低いということは、それだけ入学する学生の学力が低く、結果として国家試験合格率を下げる結果につながってしまったのでしょう。
薬学部の偏差値が低い大学は就職活動で困る?
卒業した薬学部の偏差値が低い場合、就職活動に影響がでることもあります。
もっとも、薬剤師国家試験を合格し、薬剤師免許を持っている時点で、会社を選ばなければ就職は可能です。
ドラッグストアや調剤薬局を狙った就職は、なにも資格を持っていない通常の就職活動よりも格段に楽なのは言うまでもありません。
ただし、製薬企業への就職を狙ったりする場合には、学歴フィルターは当たり前になってしまいます。
偏差値が低い大学というだけで、偏見を持たれ、偏差値の良い大学の学生が選ばれることも多々あります。
学歴コンプレックスを持たないためにも、自分が狙える最も高い偏差値の大学への入学を目指していきましょう。
あや
きよみ
モンブラン
まとめ:薬学部の偏差値は千差万別。最低でも偏差値50越えを狙おう!
全国各地に設立されている薬学部は、その偏差値も大きく異なります。
偏差値と国家試験合格率はイコールで結べるものではありませんが、偏差値50を下回っている大学では、格段に合格率も低下します。
あくまでも個人の資質に寄るところはあるものの、環境因子も重要なもの。
また、無事に国家試験に合格できたとしても、偏差値50を切る大学では、就職においても悪影響が出てしまう危険性があります。
自分と無関係なことで評価を下げない為にも、最低限偏差値50を超える大学を狙っていきましょう。