薬剤師として就業する時に、口うるさく身だしなみについて指導された経験はありませんか?
一般常識なんだから言わなくてもわかるだろうと感じた人もいたでしょうが、この一般常識というものが曲者です。
人によって認識が異なり、身だしなみを整えるという意味に違いが生じてしまう危険性が高いのが一般常識というモノ。
特に薬剤師は、社会人としてのマナーに乏しいというイメージを持たれているため、一層注意していかなければいけません。
今回は、薬剤師として求められる身だしなみマナーについて、基準をわかりやすくまとめました。
あや
きよみ
あや
モンブラン
きよみ
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身だしなみの大前提は「清潔感」を第一に!
身だしなみの心得
- 清潔感がある
- 万人に不快感を与えない
社会人としての身だしなみは、とりあえず清潔感を出していれば問題はありません。
ただし、この清潔感というのも、曖昧な表現でどんな服装を指すのかがはっきりしませんよね。
薬剤師は医療従事者ですので、万人に不快感を与えない服装を目指す必要がありますが、本人に問題意識がなければ身だしなみを整えることができません。
そこで、清潔感があって万人受けする身だしなみチェックポイントを、ここに列挙しておきます。
最低限押さえるべきポイントですので、しっかりとチェックしてください。
Check!
- 髪色を明るくし過ぎない
- 奇抜な髪形にしない
- アクセサリーは着用しない
- 淡い色合いの服装を心掛ける
- 強い匂いのする香水は使わない
- 洗顔、歯ブラシを必ず行う
- フケなどのゴミが付着していない
- 服がしわだらけになっていない
- ズボンに穴が開いていない
職場によって基準が変わる身だしなみ
身だしなみといっても、TPOをわきまえていなければ意味がありません。
例えば、病院で勤務中に白衣を着ているのは当たり前ですが、普通の路上で白衣を着ているのは変質者と勘違いされても仕方のない行為です。
そこまで極端な例はありませんが、たとえば病院と調剤薬局では、求められる身だしなみのレベルが異なる場合が多々あります。
そこで、職場ごとに求められる身だしなみを確認していきましょう。
病院での身だしなみ
病院では、薬剤師以外の医療従事者が大多数を占めているため、それぞれの服装が明確に規定されていることが大半です。
白衣のデザインはもちろん、その下に着るものも派手なものは控えるなど、細部まで服装規定があることもザラなのです。
医療従事者が白衣を身に着ける理由は、何らかの汚れが付着した際に、すぐに気が付けるようにするためです。
病院では、採血などで感染源となりえるものを多く取り扱っていますし、調剤室内では毒性の高い医薬品を取り扱っています。
万が一それらのものに患者が接触すれば、大問題になりかねません。
そのため、病院での白衣は特にその重要性が高まります。
勤務先で規定している白衣を使用するのは、しっかりとした理由があるものですから、ルールに従って服装を順守することが求められるのです。
調剤薬局での身だしなみ
調剤薬局でも白衣を着用しますが、その下に着るものはある程度自由に選択することができます。
白衣のデザインも自分好みのものを選択させてくれる薬局が多く、比較的自由な雰囲気があります。
調剤薬局における白衣は、薬剤師という存在をアピールするための意味が強く、病院のような感染源を把握するためなどの理由は比較的薄くなることが、その理由となります。
ただし、催奇形性のある医薬品などを取り扱うことが多い薬局や全国展開している薬局グループなどでは、病院と同じように明確な基準を設けている場合があるため、服装については社内規則に従うようにしましょう。
ドラッグストアでの身だしなみ
医療機関というイメージからは多少遠くなるドラッグストアでは、病院や調剤薬局よりも、さらに自由な服装が認められやすい職場となります。
白衣を着用する場合もあれば、職員は一律同じ制服としている場合もありますが、それ以外に細かな取り決めがないことがほとんどです。
毒性の強い薬品など、危険な物質を取り扱うことはほぼないため、最低限度の身だしなみができていれば問題となることはありません。
出勤時の服装などは、普段着のままでも認められている職場も存在しているくらいですので、身だしなみに関しては最も束縛が少ない職種だと言えるでしょう。
あや
きよみ
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清潔感があり血色が良く見えるナチュラルメイクが基本
心がけたいメイク
- ナチュラルメイクで柔らかなイメージに
- 血色感のあるベースメイクで顔色をよく見せる
メイクの濃さ薄さは個々の良識に基づくものとなってしまうため、厳密なルールを定めにくいという理由もあり。メイクに関する規則は明確にされていない職場が多いものです。
メイクの身だしなみマナーでも、清潔感と万人受けがポイントとなることに違いはありません。
たとえば、真っ赤なルージュがカッコいいと感じる人もいるでしょうし、色を白く見せることを大切に考えている人もいるでしょう。
ですが、照明で明るい部屋の中で仕事をする職業の場合、強い色合いのメイクは逆に汚らしく感じられてしまうものです。
夜のお仕事であるのなら、明かりが少ないために濃いメイクの方が受けがいいのですが、医療機関で暗い部屋ばかりというのはありえませんよね。
医療機関においては、ナチュラルメイクがもっとも美しく見えるメイクだと言えるでしょう。
出来るのであれば、健康的な肌色をベースメイクで作っていくこともできれば、なお良いです。
スタッフが健康的ではない医療機関では、どんなに優秀な人材がそろっていたとしても健康になれる気はしないものです。
メイクの清潔感と万人受けのポイントは、健康的な顔色に見せ、厚く塗りすぎずに柔らかな印象を与えるものなのです。
髪色はレベル7以下の落ち着いたトーンが理想
昔の医療現場では黒髪ストレートが当たり前で、その基準から外れた人はすべて不真面目のレッテルを張られていました。
ですが、現代では一般の意識も変わり、黒髪ストレートに限定している職場は見当たりません。
髪色は職場によって基準はバラバラですが、基本的に明るすぎなければ茶色でも大丈夫なことが多くなっています。
明確な基準が設けられている所ではありませんので、職場の先輩たちの雰囲気を確認して、どの程度なら許されているのかを見ておくことが大切です。
業務中に髪を触らなくていいヘアスタイル
人間の髪の毛は、たくさんの雑菌にまみれています。
試しに寒天培地で培養してみてください。うじゃうじゃと細菌のコロニーが誕生して、驚くことになるでしょう。
職務中は髪の毛に触れなくても済むような髪形にしておくのが、最低限の身だしなみなのです。
目にかかるほどの前髪などは、周りから見ても不衛生に感じてしまい、医療機関には似合いません。
男性の場合には額が出る程度の長さで、ワックスもウェットタイプは避けてナチュラルなスタイルとしましょう。
女性の場合、長い髪は束ねておく必要があります。
単純なポニーテールが嫌ならバレッタを用いてみたり、お団子巻きにしてみたり、工夫次第で不快感を与えないおしゃれをすることもできます。
どちらにせよ、勤務中に髪を触らずに済むヘアスタイルでいることが大切なポイントなのです。
まつエク・香水・ネイルは絶対ダメ
医療機関の服装はみんな似たような格好となってしまい、個性を出したいと感じてしまうこともあるでしょう。
ですが、そう感じたとしても絶対に香水やネイル、まつエクはしてはいけません。
医療機関を受診している患者は、体調不良を訴えているのです。
不快感を与えないためにも、細かな装飾は控えるようにしてください。
まつエクが禁止の理由
見た目もそこまで不衛生には思えないまつエクが、なぜダメだと言われるのでしょうか。
その理由は、まつ毛の生え代わりに由来しているのです。
まつ毛の毛周期(毛が生え変わるまでのサイクル)は、30日〜90日程度、まつげの本数は片目200本とすると毎日2〜6本抜けている計算になります。
そこにまつエクをつけることによって、まつげの毛根に負担がかかるため、通常よりも抜け落ちる本数が多くなってしまいます。
医薬品を調剤している時、気づかないうちにまつ毛が混入してしまえば、当然不衛生に感じられてしまうでしょう。
得体のしれない毛が混入した一包化など、誰も服用する気になれません。
コンプライアンス不良やクレームの原因となってしまうこともあるため、まつエクの使用はしないようにしてください。
香水が禁止の理由
体調不良時には、普段は気にならない程度の臭いにでも、敏感になってしまうことが多々あります。
軽い気持ちでつけた香水が、患者の悪心・嘔吐を誘発してしまう危険性だってあるのです。
薬剤師としての嗅覚による判断が鈍ってしまうことだってあるでしょう。
医薬品の臭いに香水の臭いが混ざってしまえば、正確な判断の妨げになってしまう危険性が高まります。
自分自身ではオシャレのつもりで使用していても、周囲の薬剤師にとっては不快感と業務の妨げにしかなりません。
無駄な香水の使用は止めておくことが無難です。
ネイルが禁止の理由
ネイルがついた手で触った医薬品は、衛生面に不安を感じてしまう患者も多くいるでしょう。
マニュキュアは薬剤師会の接遇マニュアルでつけないことになっていますが、ジェルネイルだとしても患者目線でどう感じるかを考える必要があります。
病気を治療するための医薬品に、何らかの化学塗料が付着している可能性を考えれば、不快に感じる患者も少なからず存在することになるでしょう。
患者のことを思えば、爪に何らかの装飾を施すことは、控えておくべきことなのです。
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身だしなみとおしゃれの違い!通勤時の服装も実は注意が必要
極端な例ですが、休みの日にかかりつけの医師がボロボロのジーンズにだらっとしたラフなTシャツを着ているのを見たら、患者はどう思うでしょうか?
身だしなみひとつで、医師としての信頼感が揺らいでしまうかもしれません。
医師でなくとも医療従事者はみんな同様です。
神経質になる必要はありませんが、服装によってマイナスイメージを持つ患者も中にはいることを頭の隅に入れておきましょう。
通院している患者は、いつどこで見ているかわかりません。
年相応の恥ずかしくない格好を普段から心掛けていくことが大切なのです。
休日やプライベートの時間、職場にいる時ほどの服装を常に求めるわけではありませんが、周囲から見て汚く思われない服装にすることは、必須事項だと言えるでしょう。
まとめ:薬剤師の身だしなみは清潔感が命!
薬剤師は医療従事者として、患者が口にする医薬品を取り扱う立場です。
汚いと感じられてしまう人からもらった薬は、どれだけ体調が悪くても遠慮したいものですし、むしろ体調不良が悪化してしまう気さえしてしまいます。
オシャレを追及したい気持ちはわかりますが、無駄ないさかいを避けるためにも地味でも清潔感のある服装で我慢しておくことが必要です。
不快感を与えないオシャレは、患者のみならず異性にも魅力的に映るもの。是非とも身だしなみマナーを守ったオシャレを目指してください。