調剤報酬の中では比較的算定しやすい加算である計量混合加算は、算定できる点数もそれなりに高く、確実に押さえておきたい報酬の一つです。
どこの薬局でも当たり前に算定しており、条件も難しいものでもありませんが、基礎を固めるのは大切なこと。
今回は、計量混合加算について10つ具体例を交えて解説します。
きよみ
あや
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そもそも計量混合加算とは?
計量混合加算は、2種類以上の医薬品を計量・混合した場合に算定できる点数です。
散剤と散剤、軟膏剤と軟膏剤など、同一剤型のものを混合調剤した時に算定でき、その剤型によって算定できる点数が異なります。
1調剤あたりで算定できるため、処方内容によっては一つの処方箋で複数回算定も可能となります。
液剤 | 35点 |
散剤・顆粒剤 | 45点 |
軟・硬膏剤 | 80点 |
一包化加算や自家製剤加算とは併算定できないことに注意!
計量混合加算は、一包化加算や自家製剤加算、嚥下困難加算との併算定はできませんので注意しましょう。
ただし、これはあくまでも同一の剤における考え方で、剤が異なれば算定できることも忘れてはいけません。
たとえば、一包化加算を算定しているとしても、一包化とはならない頓服薬で計量混合しているのであれば、頓服薬では計量混合加算の算定が可能となります。
計量混合加算の算定ができるパターン例
計量混合加算が算定できる場面はたくさんあります。
そのなかでも、普段の業務で算定できるか悩みやすいものに関して確認していきましょう。
事例1
分包品が販売されている散剤の処方と、バラ品のみ販売の散剤の処方が、同一剤で指示されている。
解説1
分包品を使用した場合には、計量・混合していないために算定は出来ません。
しかし、分包品から散剤を取り出し、バラ品と混合するために計量したのであれば、計量混合加算の算定は可能です。
注意しなければいけないのは、計量混合加算には、薬学的に問題がないと判断される場合にのみ、計量混合調剤を行うと言う注釈があることです。
混合することで力価低下を起こすことを理由に単独分包されている医薬品では、計量混合加算の算定にはそぐわないと言えるでしょう。
事例2
一包化の指示がある処方箋で、液剤の混合指示も出されている。
解説2
一包化加算と計量混合加算は、併算定することはできないため、通常は点数が高い方を選択して算定することになります。
ただし、今回の例では計量混合するものは液剤です。
一包化は錠剤や散剤など、内服用固形剤のみが対象であるため、液剤では計量混合加算を算定しても問題ありません。
同様に、軟膏剤の混合や頓服薬での混合など、一包化にかからない剤の場合には計量混合加算の算定は可能です。
事例3
朝食後で別剤型のない錠剤を割線から半割の指示があり、夕食後で2種類の散剤を混合する指示が出されている。
解説3
別剤型のない錠剤を割線から半割した場合は自家製剤加算の対象となり、2種類の散剤を計量・混合した場合には計量混合加算の対象となります。
これは、朝食後と夕食後で別調剤となるため、双方の加算をそれぞれの調剤で算定して問題ありません。
事例4
乳幼児への処方で、処方量が微量のために服薬の困難が予想された。医師へ了承を取り、賦形剤を加えて混合し、調剤を行った。
解説4
賦形剤であっても計量混合加算の算定要件を満たしていれば、算定可能です。
初めから医師の指示として処方箋に記載があればもちろん、疑義照会で指示を受けた場合でも同様です。
事例5
ドライシロップ剤と液剤を混ぜて、液剤として投薬をした。
解説5
ドライシロップ剤はそのまま分包すると散剤として算定しますが、簡単に水に溶けて液剤とすることもできる剤型です。
液剤に溶かした場合には、液剤として考え、計量混合加算を算定します。
このとき、散剤と液剤を混合しているから自家製剤加算だと勘違いしないように注意しましょう。
計量混合加算の算定ができないパターン例
計量混合加算は比較的簡単に算定できる調剤報酬であるため、算定できない例はとして難しいものはあまりありません。
そのなかでも、比較的悩むかもしれないものをチェックしていきましょう。
事例1
一包化の指示がある処方箋で、一包化とする中に2種類の散剤の混合指示も記載されている。
解説1
混合指示されている散剤が一包化にかかる剤である場合には、計量混合加算か一包化加算、どちらかしか算定できません。
通常は点数の高い方を選択して算定するため、一包化加算を算定し、計量混合加算は算定しないことになるでしょう。
ただし、一包化加算は処方日数によって算定できる点数が変化するものであるため、状況によっては計量混合加算を選択した方が良いこともあることは頭の片隅に置いておきましょう。
事例2
錠剤を粉砕して散剤と混合するように指示を受けた。
解説2
計量混合加算は、あくまでも既存の医薬品(薬価収載されているもの)を混合した場合に算定できるものです。
錠剤を粉砕したものと計量混合したとしても、計量混合加算の算定要件には当てはまりません。
どういった理由で粉砕しているかによりますが、自家製剤加算や嚥下困難加算の対象となる点にも注意しましょう。
事例3
医師の指示を受け、10%散を賦形して20%散として分包した。ただし、20%散も販売されている。
解説3
医師の指示がある賦形は計量混合加算の算定対象となりますが、調剤した医薬品の同一規格が薬価収載されている場合には、対象外となります。
今回は20%散が薬価収載されているため、計量混合加算を算定できません。
事例4
乳幼児への散剤の処方指示だったが、明らかに処方量が微量のために服薬困難が予想される。薬剤師の判断で賦形剤を加えることとし、計量混合して調剤した。
解説4
医師の指示がある賦形では計量混合加算の対象となりますが、薬剤師の判断で賦形した場合には、計量混合加算の算定はできません。
あくまでも、医師の指示に基づいて調剤する必要があります。
事例5
散剤(ドライシロップ剤ではない)と液剤の混合指示があり、混合して液剤として調剤した。
解説5
散剤と液剤を混合する場合、散剤から考えると剤型が変更されているものとなり、自家製剤加算の対象となります。
「保険調剤Q&A」には、ドライシロップのように簡単に溶解できる製剤ではないため、調剤するために技術が必要になることから、自家製剤加算の対象となると解説されています。
もっとも、散剤でも簡単に溶解するものもありますし、ドライシロップ剤でも溶けにくいものもあります。
あくまでも、実際の剤型で判断しましょう。
あや
きよみ
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まとめ:計量混合加算の算定は調剤技術料の基礎!確実に算定を!
計量混合加算は薬剤師であれば誰でも算定したことがあるくらい、ポピュラーな調剤報酬です。
それほど悩むことなく算定できるものであるため、急に難しい処方に出くわすと、面喰ってしまうこともあるでしょう。
今回紹介した事例には、あまり出会うことがないようなものもあえて記載しています。
ここでしっかりと学んでおくことで、不用意な算定ミスを防ぐことができます。
パターン例をチェックして確実な報酬算定を行っていきましょう。