管理者として職務に就いている人には、残業代などの手当は支給されない。一部でまことしやかに噂されていることですが、これは全く事実に反しています。
あるファーストフード店の店長が、残業代も支払われずに長時間労働させられていたとして訴訟が起きましたが、当然店長側が勝訴し、蓄積した残業代などが支払われた事件がありました。
管理薬剤師も同様に、残業代は支給されなければいけないのです。
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自身の処遇に不満を持つ管理薬剤師の相談内容
管理薬剤師になってからの給料に不満があります。
薬剤師としてのスキルをより高める為、私自身がなりたくて管理薬剤師になったのですが、手取り額が管理薬剤師になってからの方が少ないんです。
理由として、管理薬剤師手当は付くものの残業代が支払われなくなったのが原因です。経営者に残業代に関して確認したところ、管理職は残業代は支払われないと言われました。
仕事上の責任が重くなるにも関わらず給料が減るのにはどうしても納得ができません。
管理職だからといって残業代を支払なくてもいいってのは法律違反なのではないでしょうか?
調剤薬局で勤務していれば、キャリアアップのために管理薬剤師を目指すのは当然のことです。
業務量は増えて責任も重くなるのですから、待遇も当然良くなるべきではありますが、相談者様の薬局では、管理薬剤師には残業代が支給されないとのこと。
ご指摘されている通り、これは明らかな労働基準法違反です。
残業代の支払いがないのは、管理監督者に対してであり、管理薬剤師はこれには該当するものではないです。
1週40時間を超える労働には残業代を支払わなければならない(従業員9名以下の店舗は1週44時間の場合も)
日本の労働基準法では、1週間に40時間・1日に8時間を超える労働には、残業代を支払うことが定義されています。
これは法定労働時間と言われるもので、それ以上の勤務時間には賃金の追加支払いが必要となります。
残業代は割増賃金とすることも定められており、その割増率は以下の通りです。
- 22時までの残業(通常残業):25%以上の割増し
- 22時以降の残業(深夜残業):50%以上の割増し
勘違いしやすい部分として、法定労働時間とは異なる所定労働時間があることも、注意しなければいけません。
たとえば9:00~17:00の勤務の場合、1時間の休憩を挟んで7時間労働していることになります。
この7時間が所定労働時間となり、1時間残業したとしても法定労働時間の8時間となるため、残業代は発生しても残業による割増賃金とはなりません。
1週44時間制の職場も!?
さて、ここまでは通常の労働基準法による残業についてお話ししてきましたが、労働基準法には例外というものも存在するのです。
調剤薬局などの従業員9人以下の店舗では、特例措置によって1週44時間までは残業とされない場合があります。
しかもその場合には、1か月変形労働時間制を採用していることが多く、この制度は1日当たりの労働時間に制限をなくすることができ、1か月の総労働時間から残業代を計算するという制度になります。
これらの制度は、会社が地域の労働局に届け出ることで利用することが可能となります。
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管理薬剤師なら知っておくべき管理監督者とは
管理薬剤師には残業代の支払いは不要という考え方は、どこから生まれたのでしょう。
それは、労働基準法41条2号に定められている条文によります。
この所定の管理監督者に当てはまれば残業代を支払う必要はなくなってしまうため、重要なのは管理薬剤師が管理監督者に当てはまるのかどうかという部分となります。
管理監督者とは
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を有していること
- 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること(労働時間が管理されている場合は、管理監督者とはいえない)
- 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
2008年になって管理監督者の範囲が明確化されましたが、この条文を見ていただければわかる通り、勤務時間を定められているという時点で管理監督者には当てはまりません。
この条文から普通に考えれば、経営の一片を担っている企業役員が管理監督者にあたり、雇われている管理薬剤師が管理監督者に当てはまるケースはほぼありません。
管理職=残業代が出ないという会社都合の間違った噂が一人歩きしているのです。
ですが現実問題として、残業代の支給を免れたい企業側の都合でいまだに論争の的となっています。
補足:強制力のある時間外研修への参加には残業代が発生
薬剤師として働いていれば、様々な勉強会への参加が必要になっていきます。
調剤薬局の場合には、年二回の医療安全研修会は義務として行う必要がありますし、それ以外にも企業独自の研修会やワークショップなどへの参加を求められる場合があります。
業務ではないからと、特に手当もなく参加を強いられることがありますが、強制力のある集会であるのなら、それも立派な業務の一つ。残業時間として計算されてしかるべきなのです。
薬剤師の能力研磨の為、薬局側が費用を支払ってお願いした研修であっても、「参加が強制」であって、参加している時間と所定労働時間を合わせて法定労働時間を超えていれば、時間外労働として残業代を支払う必要があります。
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まとめ:残業代は被雇用者の当然の権利!経営者の言いなりになる必要はない!
薬剤師は医療・薬学の知識は十分なものを持っていても、労務のことについては素人です。
普通の企業では、労働者組合を結成して被雇用者を守るための仕組み作りが行われていますが、調剤薬局などの薬剤師が働く会社では一般的ではありません。
自分のことを守ることができるのは自分だけ、しっかりと知識を蓄えて、泣き寝入りするようなことはないようにしていきましょう。