正社員で働いている人からすると、派遣薬剤師という働き方には金銭面やキャリアなど、将来への不安があるように感じてしまい、興味はあっても一歩踏み出せない人が多いのではないでしょうか。
確かに派遣薬剤師にはデメリットも存在していますが、それ以上にメリットもたくさんあります。
実際30万人いる薬剤師全体の5〜8%である約2万3000人程度は、派遣薬剤師として働いているのです。
この記事では、派遣薬剤師として働き始めようか悩んでいる方に、正社員と比べた場合の時給の差や派遣のメリット、デメリット、どんな人が派遣薬剤師に向いているのかを解説していきます。
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そもそも派遣とは?派遣の仕組みと雇用関係
派遣薬剤師というのは、派遣先企業の職員ではなく、派遣会社の職員として派遣先で勤務することになります。
派遣先企業において指示命令を受けて業務に従事はしますが、あくまでも所属は派遣会社です。
派遣会社は、薬剤師を派遣することにより派遣先企業から報酬をもらって運営を行っています。
派遣薬剤師への給料は派遣会社が支払っており、派遣先企業からおよそ時給の1.4〜1.6倍程の報酬をもらい、60〜65%の割合を派遣社員に報酬として還元します。
当然もらえる報酬が多い方が派遣会社としては助かりますので、給料が高くなるように交渉を頑張ってくれるんです。
そもそも派遣会社というのは、人材不足の企業と仕事を探している人をマッチングさせる業務を行っているものです。
本来であれば派遣された職員は、派遣先で正規雇用のチャンスを与えられなければいけませんが、実際には派遣切りという言葉もあるように、都合のいい使い捨ての駒のように考えている企業もあるため、派遣に対して悪いイメージを持たれている方がいるのが現状です。派遣先の選定にも注意が必要です。
派遣薬剤師は高時給?時給相場はいくら?
派遣薬剤師の時給は、地域によって大きく変動します。
地域別|派遣薬剤師の時給相場
主要エリア | 2500〜3000円 |
地方エリア | 2800〜3500円 |
僻地 | 3000〜4000円 |
ここで言う主要エリアとは、都道府県ごとに分けられるものではなく、生活する上で不便がなくショッピングやレジャーなどを楽しめるエリアかどうかです。
東京都内でも渋谷区や新宿区、中央区などは2700円前後ですが、奥多摩周辺では3500円の求人が多くあります。
エリアに関しては、人員不足の緊急度によって大きく左右されるので、主要エリアまで車で15分程度の場所なのに5000円の求人もあるので、あくまでの参考時給になります。
また、管理薬剤師の経験があるか、週5日のフルタイム勤務ができるかどうかで時給に大きく差が出ます。
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業種別|派遣薬剤師の時給相場
調剤薬局 | 2800〜3500円 |
ドラッグストア(調剤併設) | 2700〜3300円 |
病院 | 2200〜2700円 |
意外と思われるかもしれませんが、ドラッグストア(調剤併設)の時給は調剤薬局よりも低いんです。
調剤併設だとしても患者が持ってくる処方箋枚数は調剤薬局と比べてあまり多くないのが現状です。
そのため、在籍する薬剤師数が少なくても問題がないですし、薬剤師の急な欠勤があってもヘルプ要員がいるため時給はやや低い傾向になります。
実際ドラッグストアは派遣を募集する必要性がそこまでないので、求人数は調剤薬局の10分の1程度しかありません。
正社員の年収と比較した場合のシミュレーション
正社員である薬剤師の平均給与は533万5千円です。これは一日8時間、週5日勤務に換算した場合、時給が約2610円となります。
この金額を時給として超えることができるかで、派遣薬剤師の金銭的なメリット・デメリットが生まれてきます。
正社員薬剤師の生涯賃金をシミュレーション
年齢 | 平均年収×期間 | 総給与 |
25〜29歳 | 403万円×5年間 | 2015万円 |
30〜39歳 | 552万円×10年間 | 5520万円 |
40〜49歳 | 651万円×10年間 | 6510万円 |
50〜59歳 | 633万円×10年間 | 6330万円 |
2億375万円+退職金 |
派遣薬剤師の生涯賃金をシミュレーション
年齢 | 時給×勤務時間×日数×期間 | 総給与 |
25〜29歳 | 2500円×8時間×241日×5年間 | 2410万円 |
30〜39歳 | 3000円×8時間×241日×10年間 | 5780万円 |
40〜49歳 | 3500円×8時間×241日×10年間 | 6740万円 |
50〜59歳 | 4000円×8時間×241日×10年間 | 7710万円 |
2億2640万円 |
あくまでもシミュレーションであるため正社員で役職に就いたり、派遣薬剤師の時給次第でも給与の差は大きく変わりますが、ともあれ正社員の生涯賃金2億375万円+退職金、派遣の生涯賃金2億2640万円、この結果には驚かれるのではないでしょうか。
つまり調剤経験のある薬剤師であれば、早い段階から正社員より派遣薬剤師の方が稼ぐことができますし、生涯賃金でも劣ることはないのです。むしろ、多くもらえる可能性の方が高いです。
ただし、現段階では派遣薬剤師の時給は高く、待遇も良く、いいことづくめのように感じますが、今後は薬剤師数も増加を続けていますし人口も毎年40万人程減少しているので、時給相場が下がる可能性はあります。
それでも仮に、派遣薬剤師の時給が30歳から3000円のままだとしても派遣薬剤師の生涯年収は1億9750万円になります。
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派遣薬剤師の時給が他職種より高い理由とは?
派遣薬剤師の時給が他職種より高い理由は、とってもシンプルです。
調剤薬局やドラッグストアが高い時給を余裕で回収できるくらい利益をあげられる業態だからに他なりません。
処方箋1枚の利益額は約3500円程度と言われています。調剤薬局の場合、1日に対応できる処方箋枚数は20枚ですので、3500円の20枚で1人の薬剤師は1日に7万円の利益をあげることができるのです。
時間に換算すると1時間で8750円(8時間勤務)の利益をあげる計算になります。
派遣先である調剤薬局は、派遣元である派遣会社におよそ1.5倍の金額を払うことになりますが、時給3500円の場合だと1時間あたり5250円。高い時給を払ったとしても利益は確保できるのです。
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派遣薬剤師として働く6つのメリット
派遣薬剤師として働くかどうかの判断をするにしても、そのメリットとデメリット両方を理解する必要があります。まずはメリットから紹介します。
派遣薬剤師6つのメリット
- 時給が高く、職場への交渉は派遣会社がしてくれる
- サービス残業をする必要がない
- 職場が合わなかったら勤務先を変更できる
- 社会保険や厚生年金などの待遇が完備されている
- 多様な処方箋を扱うことでスキルアップに繋がる
- 副業が禁止されていない
1、時給が正社員より高く、勤務日や時間の希望も通りやすい
調剤経験が数年あれば薬剤師の平均年収を超える金額をすぐに稼ぐことができます。
エリアを気にせず短期間の案件であれば年収800万円以上の求人すらあるため、1年で300万円以上貯金することもできます。
また、条件の交渉は派遣会社が行ってくれるので、やりとりのストレスや手続きの煩わしさもないので、希望通りの職場を見つけることができます。
2、サービス残業の心配がない
派遣薬剤師は時給制で働くことになりますので、働けば働いた分だけ給料が発生します。
多くの調剤薬局やドラッグストアでは、みなし残業と言って勤務時間に残業を含めている企業が多くあります。
派遣薬剤師の雇用元はあくまでも派遣会社ですので、残業が発生することは稀ですが、仮に残業になったとしてもサービス残業になる心配はありません。
3、職場が合わなかったら勤務先を変更できる
派遣薬剤師は期間に定めのある契約となり、通常であれば3カ月毎の契約になります。
実際に働いてみたら、想像と違っていたなんて場合には、勤務先を変更しやすいというのもメリットと言えます。
4、社会保険や厚生年金などの社会保障が完備
派遣会社の社員として働いているので、社会保険や厚生年金、労災保険などの保障が充実しているのも魅力のひとつです。
薬剤師賠償責任保険にも加入しているので、パート勤務と比べれば、何かトラブルがあった時の不安は格段に抑えることができます。
5、多様な処方箋を扱うことでスキルアップに繋がる
調剤薬局の立地によって患者が持ってくる処方箋の特色は異なります。当たり前ですが、耳鼻科クリニックの門前なら耳・鼻に関する調剤スキルが身につきます。
勤務する店舗がずっと同じで扱う処方箋も変わりばえしない薬剤師の中には、スキルの成長度に不安を覚える人もいるかもしれませんね。
契約期間次第ですが派遣勤務であれば、扱う処方箋の特色が異なる様々な店舗で働くことができるのでスキルアップや柔軟性アップに繋がります。
6、副業が禁止されていない
副業を解禁する企業が増えてきたと言っても、医薬品業界ではほとんど企業が未だに副業を禁止しています。
ただし、派遣会社に限っては、副業を禁止している企業はありません。
本格的に副業を行わなくても開業届けを税務署に提出し、青色申告を行える状態にすれば事業に関わるあらゆるものを経費にできるます。
例えば、ライターを業を請け負えば、書籍やパソコン代、インターネット代を経費として算出することができますので、正社員と比べてかなり多くのお金を手元に残すことができます。
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派遣薬剤師として働く5つのデメリット
派遣薬剤師5つのデメリット
- 3年以上同じ派遣先で働くことができない
- 希望条件を全て満たしてくれる勤務先とは限らな
- 経験や実績が重要で、調剤経験が乏しいと厳しい
- キャリア形成ができないので一生プレイヤー
- ベテラン薬剤師でも給料は頭打ち
1、3年以上同じ派遣先で働くことができない
メリットともいえる期間の定めですが、気に入った職場であっても長期間働くことができません。
3カ月更新が一般的で、労働派遣法の特例を使用したとしても、派遣先が正社員雇用をしなければ最長で3年間しか同じ職場にいることができません。
当たり前ですが、調剤薬局としては割高な派遣薬剤師よりも常勤の正社員を雇いたいものです。
常勤で働いてくれる薬剤師を確保できれば、いかに気に入った職場でも契約を更新されることはないのです。
2、希望条件を全て満たしてくれる勤務先とは限らない
「自宅から近いけど時給が低い」「時給は申し分ないけどフルタイムで勤務しなければならない」「基本一人薬剤師でフォローしてくれる人がいない」など、勤務先が自身の希望条件を全て満たしてくれるとは限りません。
また、数ヶ月や数年おきに勤務先が変わるのも、生活スタイルのパターンが作れないので結構疲れます。
3、経験や実績が重要で、調剤経験が乏しいと厳しい
短期間でさまざまな企業を渡り歩くイメージになりますので、経験が浅い薬剤師では対応が難しい例が出てきます。
大手薬剤師派遣会社では、その点のサポートも行っていますが、調剤経験が乏しい派遣薬剤師には厳しい世界です。
4、キャリア形成ができないので一生プレイヤー
将来的に商品開発やマーケティング部門、人材教育など本部的な仕事を行っていきたいと考えている人には向いていません。
派遣会社は、派遣社員に実働してもらうことで利益を得る仕組みなので、派遣社員のキャリア形成まで支援することはありませんし、そもそも薬剤師の経験を活かせるポストもありません。
5、ベテラン薬剤師でも給料は頭打ち
派遣薬剤師がいくら高時給とはいえ、一つの企業で長年働いている役職持ちの薬剤師に比べれば給料は見劣りしてしまいます。
派遣薬剤師に昇給はなく、決められた時給で働くのみですので、いくら経験豊富でなんでもできる薬剤師とはいえ、給料の上限が出てきます。
パート薬剤師?派遣薬剤師?どっちがいいの?
子育てや家事に時間が必要な薬剤師にとって、働き方の選択は非常に重要です。
当然正社員で働いて、家庭のための時間も作れるというのが理想的ですが、それほど融通の利く企業というのも稀有なものです。
そこで選択肢に上るのが派遣薬剤師とパート薬剤師ですね。
一長一短ある選択ですが、勤務地を移動することを気にせず、待遇・給与を優先するなら派遣薬剤師、勤務地の変更が嫌で、扶養内での勤務を考えているならパート薬剤師がオススメです。
派遣薬剤師として働く場合
- 派遣会社の職員として勤務することになるため、社会保険や厚生年金への加入となり、パートよりも手厚い待遇を受けることができる。
- 時給もパートよりも高めに設定されていることが多く、時間設定も自分の希望で行うことが可能で、派遣薬剤師には残業をさせない方針の企業が多い。
- 派遣は期間が定められているため、3カ月で更新されなければ勤務地が変更になる。
パート薬剤師として働く場合
- 収入によって扶養に関する判断が必要になり、扶養外の場合には税制などが煩雑となる。
- 短時間労働にはなるが、残業をお願いされてしまうこともある。場合によってはサービス残業になることも…。
- 金額が派遣に比べて低い傾向にある。
- 基本的に期間の定めがない労働になるので、双方に問題がなければ同じ勤務地で働き続けることができる。
派遣会社と派遣先の選び方とは?
いざ派遣薬剤師として働こうと決めた時、どこの派遣会社を選び、どこに派遣してもらえばいいのか決めかねる事態がやってくると思われます。
そんな時のため、派遣会社と派遣先の選び方を確認しておきましょう。
失敗しない派遣会社の選び方
派遣会社の選び方
- 求人数は十分に確保できているか
- 社会保険・厚生年金への加入は行っているか
- 派遣社員に対する教育制度・サポート体制を整えているか
1、求人数は十分に確保できているか
まずは一番大切なことです。求人数が多くなければ、いくら働きたくても働くことはできません。
派遣薬剤師に対する求人数がきちんと確保できていることが最低条件です。
2、社会保険・厚生年金への加入は行っているか、交通費の支給や有給休暇・雇用保険などの待遇を整えているか
派遣薬剤師とはいえ、派遣会社の社員です。
社会保険・厚生年金などの完備は当然行われているべきもの。出来ていない企業は信用に値しません。
有給休暇についても、法律で定められた権利ともいえるモノですので、ない方がおかしいと言えます。
派遣だから有給休暇は取れないなんてことはありませんから、騙されないように!
3、派遣社員に対する教育制度・サポート体制を整えているか
社員教育は必須の項目ですね。
初めて勤務する企業に出向く社員に対して、最低限度の知識やスキルを伝えるのは当然の役割ですし、派遣先でのトラブルに関する解決サポートも併せてしてくれるなら、安心して働くことができます。
失敗しない派遣先(職場)の選び方
派遣先の選び方
- 営業時間と処方箋枚数に対して、薬剤師数は足りているか
- 店舗のスタイルは調剤・ドラッグ・併設のどれか
1、営業時間と処方箋枚数に対して、薬剤師数は足りているか
派遣薬剤師を雇用しようとする企業は、基本的に人材不足に嘆いている企業です。
当然、薬剤師数も不足していることが多いため、ブラックぎりぎりの勤務で正社員が頑張っているという可能性があります。
営業時間・処方箋枚数・薬剤師数をきちんと確認し、安易に高時給に飛びつかないようにしましょう。
2、店舗のスタイルは調剤・ドラッグ・併設のどれか
店舗の形態によっては、想定していたことと異なる業務に就業しなければいけなくなります。
どんな仕事をしたいのか、何がしたくないのかをきちんと把握した上で、求人を判断するようにしましょう。
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薬剤師の派遣会社ならファルマスタッフがオススメ
派遣薬剤師になるには、派遣会社に登録することが必要になります。
ですが、マイナビ薬剤師やリクナビ薬剤師のような転職エージェントでは、派遣求人を扱っていないため登録したところで全く意味はありません。
有名どころの薬剤師の派遣会社ですと、ファルマスタッフ 、薬キャリエージェント、ヤクジョブなどがありますが、特にファルマスタッフは、求人の内部情報に詳しくサポート力にも定評があるので、初めて派遣薬剤師として働く方には安心して働ける会社です。
ファルマスタッフ は薬剤師派遣業をメインに行っているため、他の転職サイトよりも格段に求人数が多く、派遣薬剤師向けの教育制度も充実しています。
派遣先が変更になる場合には研修を受けることができ、毎月最新のオリジナルDI情報を届けてくれます。
ファルマスタッフ自体もDI室を用意しているため、業務中の疑問点などをすぐに解決することができます。
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名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話で連絡がきますのでご自身の希望条件や職場の悩み、情報収集したい事を伝えてみましょう。心強いサポートをしてくれますよ。
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