MRとして働くことを望んでいる薬剤師は、意外と多いものです。
でも、実際にMRという仕事、どんなことをしているかご存知ですか?
薬剤師とは異なるスキルを求められる仕事ですので、夢や希望だけで転職しては、痛い目を見てしまうかもしれません。
今回は、MRという職業について、薬剤師から転職する時の注意点も含めて紹介していきます。
あや
きよみ
モンブラン
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薬剤師からMRへ転職した方の体験談
まずは、実際に薬剤師からMRに転職した体験談を紹介します。
ここで、どんな人が薬剤師からMRへの転職を行い、どんな考えを持って行動に移したのかを確認してください。
郁弥さん 男性 病院→製薬企業(MR)
元々、就職活動時点でMRへの就職も検討していたのですが、結局就学中に臨床現場でお世話になった病院に就職しました。
病院での勤務が1年半になる頃に、未経験でもMRへ転職できること、薬剤師として就業経験があれば強みになること知ってMRへ転職することを決意しました。
MRとして勤務を始め、薬剤師としての業務内容とは180度違うなか毎日せわしく働いていますが、私にはMRとしての仕事の方が合っているようで仕事に満足しています。
月に40時間程度は残業してますが、残業代もしっかり支給されるのでお財布も暖かいです。
薬剤師としての就業期間は短いですが、臨床経験を持つ薬剤師だからの提案をしていければと思っています。
MRという仕事はとても忙しく、求められるスキルも薬剤師とは全く異なるものです。
大変な仕事ではありますが、やりがいもあり、それに見合った収入も得られる、夢のある仕事だとも言えるでしょう。
特に収入面では、病院薬剤師どころか薬局薬剤師よりもはるかに高収入を得られる可能性があり、福利厚生などの待遇も大企業の充実したものを受けることができます。
ただし、MRという職業で大成するのは並大抵のことではありません。
元からの才能があり、その上で努力を重ねることができる人が、MRとして成功を掴んでいけるのです。
まずは自分の性格がMRに向いているのか、そこから見つめなおしていくことが求められます。
薬剤師からMRになるための難易度と必要なスキルとは?
薬剤師からMRになることは、実は難易度の高い選択肢なんです。
まず、MRは薬剤師免許が必要のない仕事なのはご存知ですよね?
薬剤師ではない人材、たとえば、一般営業職の経験者もMRの中途採用へ応募をすることが可能です。
そういった人たちに比べて薬剤師が有利となることは、MR試験を受ける際に免除事項があることと、臨床の知識を持って医療関係者と会話ができるという点です。
一方、営業職の経験者は、コミュニケーション能力の高さや情報収集力など、MRとして重要視される能力をすでに保持していることが有利となります。
薬剤師はコミュニケーション下手というイメージが業界全体に根付いているため、それをどうやって払拭し、薬剤師としての有利な点をアピールしていくのかが課題になります。
MRに必要なスキルは情報収集力と問題解決力
バブル時代などのMRが重要視していたのは、いかに医師に気に入られるかという点でした。
接待で毎晩のように食事に出かけ、趣味に付き合い、仲良くなることが第一目標だったのです。
ですがそれも昔の話、現代では公正競争規約のルール改定に伴い、医師と深く接点を持つことが希薄になっています。
医薬品情報など、必要な時にインターネットなどで直接得ることができる時代になったことも加わり、医師とMRの距離は以前ほどの近さにありません。
そんな中で、MRとして医師に認めてもらうためには、医師が求める情報ニーズを的確に察知し、速やかに答えを返すことが必要になります。
つまり、現代のMRが最も必要としているスキルは、情報収集力と問題解決力です。
たとえば、2年ごとの診療報酬改定において経営方針が変わり、置ける在庫数が限られてくることもあるでしょう。
後発品比率のパーセンテージをアップするため、先発医薬品の購入を減らすこともあるでしょう。
そういった営業先の状況を常に把握し、その希望に沿った営業展開を行わなければいけないのです。
また、競合他社が同種同効品を出した時に、ドクターにどうすれば選んでもらえるかは、MRとしての能力に直結する部分です。
薬剤師であれば、双方の医薬品を説明し、あとは医師に任せれば良いだけですが、MRとなればはなしが変わります。
自社の利益を守るための行動が必要となるのです。薬剤の知識はもちろん、医師との関係性も含めた営業センスも必要になることでしょう。
きよみ
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MRの年収・給料相場とキャリアパスとは?
MRの年収・給料は、その実力によって上下します。
大きな年収を稼ぐ人がいる一方で、それなりにしか稼げていない人もいるのです。
高収入・好待遇のイメージを先行させ、転職してからイメージとのギャップに苦しんでしまわないように、ここで、一般的なMRの年収・給料の相場平均を掲載しておきます。
イメージと現実とのすり合わせにご活用ください。
MRの年収・給料相場
- 平均年収:703万円
- 平均月収:42万円
- 平均賞与:157万円
平均年収ではこのようになりましたが、この中には1000万円を超えた収入を得ている人もいれば、500万円程度の収入となっている人もいるのです。
企業によっては、ノルマの達成状況によって賞与がゼロなったり倍になったりという例もあるため、MRという職業では平均年収というのはあまりあてにはできないものと言えるでしょう。
それでも、だいたいのイメージを持つためには有用な情報ですので、活用していただければ幸いです。
上場している製薬会社の平均年収
社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
武田薬品工業 | 959万円 | 40.0歳 |
エーザイ | 1093万円 | 43.8歳 |
第一三共 | 1092万円 | 43.0歳 |
アステラス製薬 | 1068万円 | 42.3歳 |
大塚ホールディングス | 1080万円 | 44.3歳 |
中外製薬 | 937万円 | 41.5歳 |
データ元:2018年会社四季報
大手企業で40代となれば、おそらく役職付きとなっているでしょう。
MRからのキャリアパスは、目指す方向性によって異なります。
本社勤務を目指して働くこともできますし、MRとして専門性を高めていき、現場で指揮をするマネージャーになることや、地方の営業所の所長を目指すことも可能です。
こういった役職を持つことにより、1000万円程度が平均となってきます。
MRでの転職を目指す際には、平均年収の高さばかりを見ていくのではなく、どんな医薬品を取り扱い、どんな分野に強みを持っているのか、自分はMRとして医療にどんなかかわり方をしていきたいのかで判断するようにしましょう。
MRの営業ノルマとは?
MRは営業職ですので、基本的にどこの製薬会社に所属したとしてもノルマ(営業目標)が設定されます。
「前年度比○○%アップ」というようなノルマ設定がされている場合が多く、それを月当たりに換算して営業活動をしていくことになるわけです。
決算時期にノルマを達成していなければ、それが評価を下げる原因となってしまうため、薬局や病院にお願いして、在庫を増やしてもらう活動をしなければいけなくなります。
決算後に返品されてはしまいますが、ノルマ達成までの期限を延長するためには有用なことなのです。
製薬企業には、その企業が販売実績を伸ばしたい製品と、すでに積極的に営業をする品目から外されている製品が存在します。
前者に入るのは新薬や発売後あまり時間が経過していない医薬品が当てはまり、後者には発売後かなりの期間が経過しており、薬価も低くなってしまった医薬品が分類されます。
ノルマとして設定されている売り上げは、基本的に前者の医薬品のみなのです。
MRという職業はは医薬品を取り扱うものであるため、生命に関わる製品に対して売上目標を設定するということにマイナスイメージを持たれる方もいるのは確かです。
ですが、製薬会社も利益が上がらなければ新薬の開発ができませんし、せっかく開発した薬がどれだけ良い薬だとしても、患者の手に届かなければなんの意味もないのです。
考え方は人それぞれですが、ノルマを課して売り上げを増やしていくことは、多大な時間とお金・労力をかけて開発された医薬品が、しっかりと患者の手に渡り、治療の役に立つための努力をしていると考えていただければ、マイナスイメージを払拭できるのではないでしょうか?
国内資系製薬会社と外資系製薬会社のノルマ
国内に本社のある国内資系製薬会社と、外国に本社のある外資系製薬会社では、ノルマに対する計算方法に多少の違いがあります。
国内資系製薬会社では、対前年数字や販売する医薬品の取り巻く状況で売上ノルマが決まりますが、外資系製薬会社の場合には、前述した項目の他にも為替差損の影響を受けるため、円高であればノルマは甘く、円安であればノルマがきつくなります。
通常よりも高い売り上げを出したとしても、円安の影響でノルマが達成できないなんてこともあるのです。
単純な売り上げの問題であれば社員それぞれの努力によって改善は出来ますが、国同士の関係性から変動してしまう為替相場ではどうしようもありません。
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きよみ
モンブラン
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転勤はできる限りしたくないけど…MRに転勤はつきもの?
MRにとって転勤は避けることはできません。転勤が嫌なのでしたら、MRにはならない方が良いでしょう。これは結婚していようが独身だろうが変わりはありません。
その理由はさまざまありますが、一つは癒着を避けるためと言われています。生命倫理性のある製品を扱う職業であるため、長期間同じ担当先を持つことを避けるようにしているのです。
また、キャリアプランを考慮して転勤が行われていることも。さまざまな場所で人生経験を積むことにより、個人の視野を広げて成長してもらうという名目も存在しています。
若手のMRだと3〜5年、ベテランだと5〜10年のペースで転勤になる場合が多いです。
ただし、転勤させてしまうと売り上げの維持ができない場合などでは、転勤の頻度が低くなるということもあるため、すべての人に当てはまるというものではありません。
企業の規模によっても転勤の頻度は変わってきますし、個人の能力によっても変化してきます。
転勤人事の際には、もちろん勤務地の希望を出すことはできます。ですが、特別な事情がない限り簡単に通るものではありません。
一部の企業では、賃金を減らすことで地元に専任させてもらったり、50歳以上になれば転勤を免除するといった制度を設けている例もありますので、これも企業ごとの特色と言える部分となります。
CSOのコントラクトMRなら転勤をせずに働けるって本当?
コントラクトMRについて説明する前に、まずはCSOについて解説していきます。
CSOとは「医薬品販売業務委託機関」の略であり、製薬会社から医薬品販売業務を請け負う企業を指します。
この企業では、MRの派遣や営業活動などを通して、製薬会社の販売業務をサポートするサービスを提供しているのです。
このCSOから派遣されていくMRをコントラクトMRと呼びます。
コントラクトMRはCSOの正社員として、さまざまな製薬会社でMRの仕事を行うことができる職業なのです。
さて、コントラクトMRのことを理解してもらったところで、コントラクトMRと転勤についてお話ししていきましょう。
結論から言えば、コントラクトMRだからと言って転勤がなくなるわけではありません。
ただし、通常のMRに比べれば希望通りの勤務地に配属される可能性は高くなります。
ただし、一つのごく狭い地域に限定というのは、まず不可能だといえるでしょう。
現実的に考えて、同じ地域で継続して需要があるのなら、コントラクトMRではなく自社MRを活用すると思いませんか?
特に首都圏や都市部などの人気がある地域では競争率も高く、継続して同じ地域でというのはありえません。
コントラクトMRの転勤実情を聞いてみた
コントラクトMRでは、希望通りになる確率は高い傾向にありますが、それも人によってまちまちです。
希望した勤務地の競争率が低い場合、つまり地方でも田舎に分類されるようなところでは希望通りに行きやすくなりますが、札幌や仙台、名古屋など、有名な地域では競争率が高いために難しいでしょう。
コントラクトMRとはいえ、転勤は避けることはできません。
何度も繰り返しますが、転勤が嫌なのでしたら、MRでもコントラクトMRでも、転職することは避けるべきなのです。
薬剤師からMRに転職するなら転職サイトを上手に活用しよう
基本的に薬剤師の転職は、あまり苦労することなく進みます。ですので、応募書類や面接など、そこまで頑張らなくてもどこかには就職できてしまいます。ですが、MRへの転職ではそうはいきません。
MRへの転職は、薬剤師以外からの応募も多く、高年収の職場である為、ライバルがとても多くなります。
当然、難易度は非常に高い狭き門となるのです。
これは、薬剤師資格や臨床経験があるといった有利になる点があったとしても、容易に突破できるものではありません。
書類選考や面接など、一人で悩んでいても解決できない問題が高い壁として立ちはだかります。
そこで、MRへの転職を考えるのならば、少しでも確立をアップさせるため、転職サイトの利用をオススメします。
転職サイトでは、応募書類の添削や面接対策など、さまざまな転職サポートをうけることができます。
転職活動をする際に大切なのは、数多くいる応募者の中から、どうやって自分に注目してもらうかです。テンプレートな内容の書類、面接内容では、転職を成功させることは非常に難しいでしょう。
MRへの応募では、まず書類審査を突破できるのかどうかも大切な要素です。
相手に対して失礼のない内容でありながら、相手の心に突き刺さる文章を書かなければいけませんが、ライバルには文系出身者の強豪がひしめいています。
自身の文章力に自信があったとしても、テンプレートを基にした面白みのない内容では、まったく気に留めてもらうことはできません。
転職サポートで応募書類の添削を行ってもらい、緩急の付いた読ませる応募書類を作成することが、成功のカギとなっていきます。
面接対策でも、転職コンサルタントと直接会話しながら対策の相談ができるため、周囲との差別化を図ることができます。
自身の経験をMRとしてどう生かしていきたいのか、どんな働き方を求めているのか、転職コンサルタントと相談しながら見つけ出していくことができるのです。
一人で戦っていては、MRに転職することは非常に困難です。是非とも転職サイトを活用して、成功をつかみ取ってください。
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まとめ:MRは実力世界!努力と才能で高待遇をつかみ取れ!
MRの世界は、完全に実力社会です。実力があれば年収は高くなり、実力がなければ低くなります。
これは、薬剤師では味わうことができない緊張感のある働き方ですよね。
転職するのも難関ですし、無事に入職できてからも日々の勉強や転勤など、大変なことは山のようにあります。
ですが、それに見合った待遇を得ることも可能なのがMRです。
薬剤師とは一風変わった世界で、自分の能力を試してみてはいかかでしょうか。