薬学の専門知識を持った薬剤師といえども、業種が違えば必要な知識や技術は異なります。
未経験での転職は、新たな知識と経験を必要とする新世界に飛び込むことであり、それはとても勇気がいることですよね。
それでも、きちんと情報収集して臨めば恐ろしいものではありません。
今回は調剤未経験の薬剤師が転職を成功させるためのポイントと注意点についてお話します。
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調剤未経験から転職した薬剤師の体験談
調剤未経験でも転職に成功した薬剤師は数多くいます。努力は必要ですが決して珍しいことでも難しいことでもありません。
まずは、調剤未経験からの転職を成功させた体験談を見ていきましょう。
あおいさん(29歳)
大学卒業と同時に製薬企業の品質管理者として働いていましたが、大学の友人から調剤薬局での仕事ぶりを聞いているうちに私にもやりたい気持ちが出てきて調剤未経験でしたが転職しました。
上司にも恵まれ「ミスしても自己嫌悪に陥らないようにね」など、声をかけて頂き今では医師ごとの投薬パターンがわかるようになってきました。
調剤薬局での勤務では、知識はもちろんですが調剤技術も併せて必要になります。
未経験であるため、調剤技術は未熟なのは仕方ありません。
仕事に対する熱意があれば、技術の有る無しはまったく問題になるものではないのです。
あおいさんは、周囲の環境にも恵まれており、しっかりと調剤薬局の薬剤師としてキャリアを積まれていますね。
さくらさん(35歳)
薬剤師の資格取得後、製薬会社のMRとして働いていましたが、母が体調を崩したこともあり実家周辺の調剤薬局で働きたいと思ったのがきっかけです。
35歳の調剤未経験で、雇ってくれる調剤薬局があるかのか心配でしたけど転職サイトを活用して、教育がしっかりしている大手調剤薬局グループを紹介してもらい転職ができました。
最初は自分より一回り若い子と研修を受けるのが恥ずかしかったのですが、今ではうまくやっていけてます。
未経験での転職で大切なのは、知識と経験を学ぶことができる研修制度がきちんと用意されているかどうかです。
この方が転職された調剤薬局では研修制度がしっかりと用意されており、非常に良い企業だと言えます。
MRから調剤薬局への転職は非常にポピュラーなものですので、きちんと段階を踏んで準備していれば、まったく問題にはならないでしょう。
美咲さん(38歳)
大学を卒業して病院に勤務する薬剤師として働き始めましたが、働き始めて半年後に妊娠していることがわかったため、夫の転勤も重なり退職しました。
子供が高校を進学したタイミングでパートとして働き始めたいと思いました。調剤経験がほぼなく就業経験も半年程度でしたので、転職エージェントを利用して転職活動を始めました。
年齢的な面とパート勤務だと、私の条件でOKな職場は正直なかなか見つかりませんでしたが、1社面接し就職が決まりました。
採用担当者から「未経験だったけど明るくて素直な人柄そうだな」「意欲があるから仕事も早く覚えてもらえる」と仰っていただきました。
覚えることが多く毎日慌ただしくしていますが、今では楽しく仕事をしています。
調剤未経験での転職では、何よりもまずは熱意を伝えることです。
経験者に比べれば、アピールできるポイントは見劣りしてしまうのは仕方ありませんが、熱意と人柄に関しては決して引けを取るものではありません。
薬剤師としての資格を持ち、調剤薬局で働きたいという熱意があれば、それに目をかけてくれる企業は必ず出てくるのです。
調剤未経験者が初めての薬局勤務で苦労すること
未経験で調剤薬局に勤務する場合に、苦労すると予想されることを業務別に解説していきます。
今までの業界では触れることがなかったものがたくさんでてきますので、その時になって慌てないように、ここでばっちり予習しておきましょう!
調剤・ピッキング作業
調剤は医師が記載した処方箋をもとに、間違いなく速やかに医薬品を用意する作業です。
通常の錠剤であれば、錠数を間違えないように用意するだけの簡単な作業ですが、様々な技術や知識が必要になる作業も存在しています。
散剤・水剤・外用軟膏の混合
基本は間違いなく数をそろえることですが、配合禁忌や配合不適の医薬品も存在しているため、散剤やシロップ、外用軟膏などの混合には注意しなければいけません。
外用軟膏では混合する際、軟膏板・軟膏ベラを使用する場合と、自動軟膏練り機を使用する場合がありますので、その薬局での業務手順をしっかりと確認しましょう。
分包機
散剤の調剤や一包化を行う場合には、分包機の性能によってその作業がまったく違ったものになってしまうことがあるため、就職した先の調剤薬局のやり方をきちんと確認しておく必要があります。
例えば分包機の最大分包数の違いや、円盤式の自動分包機と手巻き式分包機の違いもあります。これらの違いにより、作業内容は全く異なってくることに注意してください。
初めて調剤薬局に勤務するのであれば、円盤式自動分包機を用意している薬局がオススメです。
錠剤の粉砕
錠剤の粉砕は、乳鉢・乳棒を使用する場合と粉砕機を使用する場合があります。
粉砕に適さない医薬品も存在しており、例えばバイアスピリンなどの副作用軽減のためのコーティングがされている医薬品や、テオドール錠などの徐放性製剤として加工されているものがそれに当たります。
医薬品ごとの特性を考慮して、粉砕ができないものに関しては散剤への変更を提案するなど、注意して行う必要があります。
患者ごとの特別注文
調剤に関して、患者ごとにこだわりのある注文を受けることも頻繁にあります。
例えば、軟膏の容器を三つに分けてほしいとか、一包化の分包を一つずつばらばらにしてほしいとか、なんの目的があるのか意味不明な要望を受けることもあります。
調剤前に薬歴を確認し、患者の情報を把握してから作業を行う場面も出てくるでしょう。薬局のルールにのっとって、円滑な作業を心がけてください。
投薬(患者とのコミュニケーション)
調剤薬局で一番難しい業務と言われるのが投薬です。
患者とコミュニケーションをとることは非常に難しく、まずは話を聞いてもらうことが課題になります。
どれだけ薬剤師に知識があってもそれが患者に伝わることは少なく、患者たちは友達から聞いたというデマの健康情報に踊らされ、病院で説明を受けたから薬局は薬だけ寄こせと言われるのは日常茶飯事です。
最近では以前と違ってそういった患者は減ってはきましたが、それでも一定数は存在しています。
話を聞く気がない患者に、いかに話を聞かせるか、薬局で会話する気がない患者に、いかに話させるかが重要な課題となります。
患者とコミュニケーションが取れるようになってからも、投薬中の薬はもちろん、それとは関係のない健康相談なども発生してきますので、それらも含めて突発的な事態に対応するための応用力が必要になります。
わからないことはわからないと答えても問題はありませんので、そのあとのフォローをしっかりと行って、きめ細かいサービスを提供していきましょう。
医薬品の検品、入庫
調剤薬局にとっての医薬品は、法律によって管理方法が定められている重要なものです。
まずは基本の流れですが、納入の際に伝票と実際の物品に相違がないことを確認(検品)し、その後に入庫することになります。
入庫の際には期限の古いものが先に使用できるように注意しながら配置することを忘れてはいけません。
普通薬
普通薬とは、向精神薬や麻薬などの特別な規制を受けていないものの総称です。
法的規制の緩いものに関しては、通常の検品・入庫で良いのですが、調剤薬局においては伝票の管理などの独自のルールが設けられていることがありますので、注意してください。
向精神薬・毒薬
向精神薬や毒薬などの厳重な管理が求められるものには、入庫の際に備え付けられた帳簿に、定められた事項を間違いなく記入しなければいけません。
保管場所もカギのかかる棚にしなければいけないため、まずは扱う予定のある向精神薬・毒薬の種類を覚えておくことが大切です。
麻薬
麻薬ではさらに管理が厳重になり、入庫の際に譲受証・譲渡証の交換が必要になりますし、入庫する前に物品を開封し、不備がないことをお互いに確認した上で納入しなければいけません。
保管場所はカギのかかる、動かすことができない場所ですので、ほとんどの薬局では麻薬金庫を備えています。
入庫や調剤において、麻薬の動きがわかるように詳細な帳簿の記載が求められています。
覚せい剤原料
覚せい剤原料でも入庫の際に譲受証・譲渡証の交換が必要になりますし、入庫する前に物品を開封し、不備がないことをお互いに確認した上で納入しなければいけません。
保管場所はカギのかかる厳重な場所とされていますが、麻薬金庫にしまうことは認められていません。
帳簿の記載義務はありませんが、ほとんどの薬局で帳簿がつけられています。
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調剤未経験の薬剤師が転職時に押さえておきたい5つのポイント
調剤未経験の薬剤師が転職する時に、必ず押さえておきたいポイントを5つにピックアップしました。
5つのチェックポイント
- 年収ダウンを受け入れる
- 研修制度、教育プログラムが整いマニュアル化されている職場を選ぶ
- パートではなく正社員での就業がベター
- 転職サイトを活用し内部環境を確認
- 面接対策をしっかり行う
1、年収ダウンを受け入れる
いままで無収入だった場合は除きますが、他職種で数年間働いていた場合には、転職をすることで年収はダウンしてしまうでしょう。
一般的に薬剤師は高収入ではありますが、数年分の昇給もふいになってしまいますし、たとえばMRと調剤薬局の給与では、明らかに調剤薬局での給料が見劣りしてしまいます。
調剤薬局でも経験を積んで、年数を経ていくことで年収はアップしていきますので、それまでの間は年収ダウンを受け入れる必要があります。
2、研修制度、教育プログラムが整いマニュアル化されている職場を選ぶ
未経験での就職では、教科書で調剤薬局の仕事についてみたことはあるけれど、実際には触れたことがないという状態です。
いくら知識を持っていて、予習した上での勤務とはいえ、頭の中の知識と、実際に触れる経験の間には大きな隔たりが存在しています。
まずはこの隔たりを解消する必要があるのですが、それを後押ししてくれるのが研修制度や教育プログラムです。
経営母体が小規模の調剤薬局では、こういった研修・教育に関わるマニュアルがなく、各々の経験に任せている部分がありますので注意してください。
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3、パートではなく、正社員での就業がベター
職場によっては未経験者を雇用する場合、正社員では雇えないがパートなら雇えると言われるところがありますが、ズバリおすすめしません。
まずは経験を積んでから、と安易に考えてパートタイム契約をしてしまわないように注意しましょう。
未経験でも調剤薬局で働きたいと考えているということは、今後も継続して働き続けたいと考えているはずです。
そんな時は、やはり調剤経験を多く積めるような雇用形態としてもらうことが大切で、調剤経験を多く積めるのは、当然正社員で雇われた方なのです。
正社員であれば、教育プログラムがしっかりマニュアル化されているケースが多く、初めてのスタートも安定した状態で切ることができますが、パートタイムでは現場で必要なことだけをその都度伝えられることになってしまい、知識が虫食い状態となってしまう危険性があります。
パートタイムと正社員では、社会保険などの待遇にも雲泥の差がありますし、できる限り正社員としての雇用を目指していきましょう。
4、転職エージェントを活用して職場の内部環境を確認
転職する際に注意しなければいけないことは、転職先の職場の雰囲気や残業時間などの状況を把握することです。
もし就職してから、その職場内でギスギスした人間関係があったり、一般的とは言えない残業を強いられてしまったりしては大変です。
ですが内部状況を確認すると言われても、普通は自分で調べることはほぼ不可能で、簡単なことではありませんよね。
そんな時に活用するべきなのが、転職エージェントです。転職エージェントでは求人が出されている企業に直接訪れて内部状況の聴取・確認を行っています。
転職する際には転職エージェントに登録し、転職エージェントの持っている情報を十分に活用していきましょう。
5、面接対策をしっかり行う
調剤未経験の薬剤師を採用するというのは、その薬剤師が調剤薬局でどのような働きを見せてくれるのか、まだわからない状況ですから、採用する企業側にとっても一種の冒険なのです。
そこで企業側は、面接時に受ける人柄や今までの人生経験についてを確認し、その人についてできる限り把握しようとしてきます。
未経験で中途採用されるのは、ここで不信感を持たれては非常に難しくなるでしょう。
面接での質問には、一定のパターンが存在していますので、そのパターンをもとに自分のアピールポイントを明確にし、しっかりと回答できるように準備しておきましょう。
間違っても「素の自分を見せるのが一番!」なんて考えて、ぶっつけ本番はしないように!
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求人サイトに掲載されている未経験歓迎は本当なの?未経験でも働ける職場とは?
ズバリ、未経験者歓迎と付けられている求人は、その言葉通りに未経験でも採用される見込みが非常に高い求人です。
歓迎と言う言葉も嘘ではありません。ですが、未経験者でも歓迎しているということは、その企業は明らかな人材不足に悩まされているという意味でもあります。
離職率が高いと言うことは何かしらの問題を抱えている可能性が高く、たとえば業務が多忙であるとか、職場の雰囲気が悪いとか、あまり好ましくない状況が予見されます。
もちろん、すべての求人がそうであるというわけではありません。
大手調剤薬局は大手ドラッグストアは、毎年数十店舗のペースで店舗展開しています。特に問題がなくても店舗数が多くなればそれだけ多くの薬剤師が必要になります。
慢性的に求人をしなければ業務が維持できなくなってしまうのです。
さらに、都市部から外れた調剤薬局なども、立地の問題のみで薬剤師の確保に苦労している例が多く、未経験者でも喜んで採用してくれる場合は多々あります。
大切なのは、その求人が出されている理由を把握して対応していくことです。
調剤未経験者でも採用の見込みが高い職場とは?
地方に展開している調剤薬局・ドラッグストア
慢性的で深刻な人材不足に陥りやすいため、常に求人を行っています。
都市部から外れた調剤薬局・ドラッグストア
地方よりは人が集まりやすいが、それでも人材不足は深刻です。
ドラッグストアチェーン
問題はなくても薬剤師の離職率が高く、新たな店舗展開をしていくために常に薬剤師を求めています。
調剤未経験での転職が難しい職場
急性期病院
新卒採用がメインで中途採用がほぼなく、あっても経験者が優遇されるので転職のハードルはかなり高めです。
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調剤未経験者が転職するには何歳まで?年齢制限はあるの?
今まで働いてきた経歴と人柄次第で調剤未経験であろうが、40代でも50代も転職に成功している事例は多くあります。
しかし、多くの薬剤師にインタビューした結果から推測すると調剤薬局は40代、ドラッグストア併設の調剤薬局は40代後半までが限度だと思われます。
調剤薬局もドラッグストアもいずれ新規出店が鈍化していきますので、そうなると薬剤師の需要は徐々に減ってきてしまいます。
転職するならあと3年後、5年後と先延ばしにしていると転職が難しくなってしまいますので、行動するなら未経験でも雇ってくれる求人が多い今のうちに転職活動を始めた方が年収や待遇などの条件面も有利に働くことができるでしょう。
調剤未経験でも働ける求人を探すならマイナビ薬剤師
未経験でも働くことができる求人を探すのは、自分一人の力では非常に難しいでしょう。
基本的に企業が求めているのは新卒者か、経験を生かして働くことができる中途採用者となっています。
未経験での転職先を探すのなら、求人サイトのなかでも求人数が多い大手を選ばなければいけません。
特にマイナビ薬剤師は、調剤未経験の求人紹介実績が豊富で、応募書類の添削や面接同行など、転職サポートも手厚いので安心して利用できる転職サイトです。
未経験者でも採用してくれる求人は数が限られており、そのほとんどが非公開求人とされているので、出来るだけ条件のよい求人を得るために他の薬剤師が応募してしまう前に登録しておく必要があります。
たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックし、調剤未経験でも働ける条件の良い求人が出たらすぐに対応できるようにしておく事が転職を成功させるコツです。
名前や連絡先などの必要事項を記入したら登録完了です。登録後は、担当コンサルタントから電話で連絡がきますのでご自身の希望条件や職場の悩み、情報収集したい事を伝えてみましょう。心強いサポートをしてくれますよ。
調剤未経験での就業は、継続的な勉強が不可欠で働き始めはプライベートな時間が取れないこともありますが、ご自身のやりがいを持って働けるよう応援してます。