病院に勤務している薬剤師では、交代制で夜勤・当直の順番がやってきます。
調剤報酬の改定により、24時間対応を求められる調剤薬局もできたこともあり、薬剤師が夜に働くというのも当たり前のことになってきました。
こんな時代背景の中、薬剤師の中には、夜間専任で働く変わり種の仕事も生まれているんです。
今回は薬剤師の夜勤・当直の業務について解説し、夜間専任薬剤師という働き方も併せて紹介していきます。
あや
きよみ
モンブラン
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薬剤師の夜勤・当直での業務内容
日中しか働いていない薬剤師にとって、夜勤・当直の薬剤師がどんな業務をおこなっているのかは、あまり想像できない部分ですよね。
夜も働くのは大変そう、と感じているかもしれませんが、知らないということで、不要に嫌厭してしまっているのかもしれません。
そこで、業務の実態についてお伝えします。
そもそも夜勤と当直の違いとは?
夜勤とは、日勤と同じ内容の業務を夜間にも継続して行うことをいい、当直とは、夜間の時間帯に仕事があれば対応することをいいます。
いわゆる医師のオンコールのようなものが当直となるわけです。
どちらにせよ、通常の日勤とは異なる時間帯での勤務となり、拘束される勤務時間に変わりはありません。
薬剤師は当番制で夜勤・当直を行うため、少人数で対応することが求められます。
たとえ当直だとしても、ゆっくり時間が過ぎるのを待つということは稀な例だといえるでしょう。
調剤薬局での夜勤業務
調剤薬局における夜勤業務は、日中行っている業務の延長として考えて問題ありません。
やってくる処方箋に対応し、電話での質問などに答えることが求められます。
ただし、病院側の外来は終了していますので、対応する処方箋はいつも見ているものではありません。
他の薬局が営業終了しているため、OTCの飲み合わせなど、電話での相談や質問は多くなる傾向にあります。
かかりつけ薬剤師による24時間の電話対応はすでに浸透しましたが24時間営業する調剤薬局はまだまだ一般的ではありません。
ドラッグストアの調剤併設店舗では、少しずつ増えていますが、調剤薬局では都心を中心に遅くとも22〜23時閉店になります。
ドラッグストアの夜勤業務
調剤併設のドラッグストアだとしても行う業務は、日中の業務の延長です。
調剤を24時間受け付けるドラッグストアは調剤薬局と比べて少しずつ増えている状況ですが、ウエルシアでは8店舗程度とまだまだ浸透していません。
病院内での当直業務
病院での当直業務は、非常に多忙です。
日勤用の業務と夜勤用の業務で分けられていることもあり、在庫の管理や翌日の院内製剤の準備などは夜間に回されていることもある業務です。
入院患者の容体が急変した場合、医師が発行した緊急の処方箋について対応しなければいけませんし、緊急外来を行っている病院であれば、院内調剤での対応を求められることもあります。
薬剤師の場合、月に4~5回の割合で当直の当番がやってきます。病院によっては7回程度もあります。
仮眠を取ろうとしているタイミングで、オンコールの電話がなることもあるので、休憩があろうとも身体的な緊張感はほぐれません。
しかも、当直では緊急を要する相談が多いので常に頭をアクティブにしておく必要があります。
夜間の業務は少人数で対応しなければいけないため、個人当たりの業務量と求められるスキルは多大なものとなるでしょう。
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病院当直なら一人薬剤師対応ができるスキルが必要
病院当直は、基本的にすべてのことに対応できるスキルが必要です。
業務を整理し、優先順位を持って働くマルチタスクの能力も必須となりますし、医療的な知識から法律的な知識まで、薬剤師の業務に関わることは一通り一人でこなせることが求められます。
そういった性質上、経験不足の薬剤師やブランクがある薬剤師の場合には、一人で対応できるまでは常に先輩薬剤師と一緒に業務を行うことになります。
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夜勤・当直手当の金額相場
夜勤・当直の金額相場
- 手当:1時間あたりの給与金額×25%(0.25)×深夜勤務時間
- 手当:金額に換算すると約5,000〜8,000円
- 日給:30,000〜35,000円(単発勤務の場合)
薬剤師が夜勤をする場合の賃金についてですが、当然通常の日勤よりも割増しで支払いを受けることができるようになります。
労働基準法により定められている支払いの基準は、深夜割増賃金として25%の割増しです。
正社員として夜勤に従事する場合、月給を一時間あたりに換算し、それを1.25倍したものが夜勤の時給となるのが一般的な相場です。
契約社員やパート薬剤師としての勤務であれば、時給3,000円~4,000円が通常で、日給にすれば30,000円以上の給与支払いを受けることも可能となります。
当直に関しては金額計算が異なっており、その事業所で働いているすべての労働者のうち、当直をする労働者に支払われている給料の平均額を算出し、その1日分の3分の1が最低限度支払われなければいけない当直手当とされています。
この制度は労働基準法によって許可申請を受けている企業であれば採用できるもので、深夜割増賃金ではないため、一回の当直でおおよそ5,000円程度が支払われるのが一般的です。
夜勤となるのか当直となるのかによって、受け取ることができる賃金は大きく変わります。
あらかじめ手当として支給している企業もあれば、基本給に含んで支給するという企業もあるため、就労前に計算方法や支払い形態などを確認しておくことが大切です。
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薬剤師が夜勤・当直業務をすることの3つのデメリット
夜勤・当直業務により金銭的なメリットは受けることができますが、心身的なデメリットももちろんあります。
3つのデメリットを確認していきましょう。
1、健康管理をしていても体調を崩しやすい
夜勤・当直業務を行うことで1日のライフサイクルが狂ってしまいます。
ライフサイクルが狂ってしまうと、免疫力が下がり吹き出物や風邪を引きやすくなってしまうことも。
夜間でも忙しい職場の場合、勤務中の緊迫したストレスもあるので、慢性的な疲労を感じやすくなります。
2、病院によってシフト組みが異なる
当直明けのその日と翌日が休みになるようなシフト組みがされていれば、じっくりと自分の時間も確保できますが、夜勤明けの翌日は通常業務があることもあります。
病院の薬剤師数によって余裕のあるシフト組みができるか否かは決まるので、土日に夜勤が入る場合は連勤が続いてしまうこともあります。
3、調剤過誤やミスに繋がる可能性が大いにある
当直業務は基本的に1人で作業を行わなければならないので、分からないことやチェックする同僚がいないので少しのミスが起きな問題に繋がってしまう可能性もありえます。
患者や看護師が薬を紛失してしまうことや、精神科病棟の患者が脱走してしまったりすることもあるので危険と隣合わせです。
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薬剤師の夜間専任の働き方とは?
夜間専任の薬剤師という働き方についてご存知でしょうか?
薬剤師の仕事の中には、夜間のみ働くという求人も存在しているんです。
基本的に夜勤・当直は嫌厭される傾向にあり、子供や家族がいる薬剤師にとってはあまり好ましくないものです。
ただでさえ薬剤師数が不足している企業が、夜勤・当直も行うとなれば薬剤師の負担は多大なものとなり、金銭的な補填では賄いきれなくなってしまいます。
そこで、マンパワーを補うため、夜間専任での職員募集が行われるようになっています。
夜間専任薬剤師は正社員というよりも、期間限定の契約社員としていることがほとんどですが、その収入は通常の契約社員よりも高く設定されており、短期間で稼ぎたい薬剤師に向いているものなのです。
勤務する日は毎日というわけではなく、週に1~2日からでも働くことができるため、副業として選択する薬剤師も増加傾向にあります。
夜間専任薬剤師の求人例
日給35,000円、夜勤夜間専任のパート薬剤師求人(埼玉県上尾市)
参照:薬キャリエージェント
日給32,000円、夜勤夜間専任のパート薬剤師求人(神奈川県横浜市)
参照:薬キャリエージェント
まとめ:夜勤は大変だけど、得られる収入も大きい!でも、当直は…。
人間は暗くなったら睡眠をとり、明るくなったら体を動かすようにプログラミングされた生物ですので、夜勤は体力的にもつらく、業務内容も多忙なので大変です。
求められる仕事量と必要とされるスキルは高いものであるため、経験不足の薬剤師では従事できない働き方であり、通常の給与よりも25%増しで収入を得られるという魅力もあります。
ただし、当直と表現されている場合には、深夜割増賃金として計算されない場合もあるため注意が必要です。
就労契約をする前に、賃金計算はどうなっているのか、きちんと把握しておくように努めましょう。
夜間専任の求人を多く扱う転職サイトとは?
夜間専任の求人は数も限られており、薬剤師としての能力も高いものを必要とされるため、非公開求人とされていることが多くなっています。
個人では探し出すのも難しい求人ですので、転職サイトを活用する方が効率的だといえるでしょう。
転職サイトでは、専任の転職コンサルタントが求人情報を詳しく調査しており、求人票からでは得られない情報まで網羅しています。
有名どころの転職エージェントですと、薬キャリエージェント・マイナビ薬剤師・リクナビ薬剤師がありますが、なかでも薬キャリエージェントは、求人量がダントツで多く、職場の雰囲気や実際に働いている薬剤師の評判など、内部情報も共有してくれるため、失敗のない転職をすることができます。
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