毎日何十人もの患者対応をしなければいけない薬剤師は、考えもしないクレームを受けることが多々あります。
そこから学ぶこともあれば、ただ理不尽な言いがかりに辟易させられることもしばしば。
今回は、薬剤師が実際に遭遇したクレームや苦労した事案について、クレームが起こった原因や対応方法についてお話していきます。
あや
きよみ
あや
きよみ
モンブラン
あや
モンブラン
厳選!転職サイトランキング | ||
---|---|---|
マイナビ薬剤師 |
じっくり重視 サポートが充実 ミスマッチが少ない |
|
薬キャリエージェント |
スピード重視 優良な病院求人 細かなニーズにも対応 |
|
ファルマスタッフ |
派遣重視 研修制度が充実 社会保証完備 |
ジェネリックから先発品へ変更したことによるクレーム
クレーム内容
念のため患者に確認すると、医師とのやりとりで血圧の数値が安定しなくなったため先発品に変更することになったと仰っていたため了承がなされていると思い処方箋通りに投薬をしました。
しかし、お会計になったら「薬代が高くなったのはなぜだと」クレームになりました。
金額が高くなるなら元の薬のままで良いと言い出し作り直すよう言われ、まるで薬剤師が悪者みたいな扱いをされてしまいました。
対応方法と解決策
今回の事案は、患者がジェネリック医薬品についての知識を正確に理解していなかったことから発生したクレームですね。
すでに一般に周知されたように感じるジェネリック医薬品ですが、薬剤師の以外には正確に理解できていないということも多々あります。
患者への聞き取りの結果を見ると、先発品に変更することの理解を得ていると考えたのも当然です。
同じ薬なのに料金が高いのは、薬局が料金を割増したのだと思い込んだのでしょう。
ここでの問題点は複数存在します。
ポイント
- 初めからジェネリック医薬品を使用していた患者なのであれば、急に検査値が安定しなくなった原因は先発品やジェネリック品に関係ないものであるため、使用薬剤の変更を考慮するべき
- 患者の理解不足
- 無料で飲める飲料水のラインナップを増やして欲しい
- 指定した雑誌を増やして欲しい
- トイレに乾燥機を設置して欲しい
- 薬剤情報書の文字が小さいから大きくして欲しい
- 1種類だけだから、私の薬を優先して欲しい
- なぜ毎月保険証を見せなくてはいけないのか
- 女性の薬剤師しか対応できない(男性の薬剤師を嫌がる)
- 間違いなく薬袋の数を入れているのに、必ず薬の数が足らないと連絡がくる
- 全ての薬に期限を書かないと怒鳴る
- 長話をする患者の話を切り上げるとクレームの連絡がくる
- 用もない薬局内に入ってきてお茶を飲んで新聞を読み終えると帰っていく
- 手渡した医薬品に対するもの
- 施設での対応に対するもの
- もとになる原因がないもの
こういった患者すべてに、変更になった価格の違いなどまで含めて説明するのは現実的ではありませんし、医師の判断に逆らって調剤することもあまりオススメできるものではありません。
処方箋では先発品からの変更不可となっているのであれば、ジェネリック医薬品への変更も疑義紹介が必要になる面倒な作業ですよね。
こういった場合では、オーソライズド・ジェネリックを選択しておくことで先発品との製品差をなくしておき、医師が先発品に戻すという選択肢を取らないように対策を打つことがベターでしょう。
できることなら医師のジェネリック医薬品に関する知見も確認しておきたいところですが、調剤薬局と病院の関係性を考えれば難しい部分です。
処方箋の検査値に関してのクレーム
クレーム内容
重篤な状態の患者の場合、自分の状態を相手に知られることは気持ちのいいことではないのはわかります。
しかし、薬剤師も症状を把握しておけば、処方箋内容に不備があった場合、疑義照会ができるのでマイナスなことばかりではないのですが…
肝臓の数値や糖尿病患者から結構クレームが来ます。
対応方法と解決策
一部の病院が始めている検査値や病名の処方箋への印字が、クレームの種になっているという事案です。
処方箋への印字に対するクレームですので、持ち込む先の調剤薬局に話しても仕方のないことですから、発行元である病院に対してのものでしょうか。
こういった患者には、調剤薬局の役割についてしっかりと説明をし、なぜ処方箋に検査値などの印字をする必要があるのかを理解してもらう必要があります。
おそらく、調剤薬局はただ処方箋と薬を交換する場所だと考えているのでしょう。
どうしても理解が得られない場合には、非常に残念ですが印字部分を黒塗りするなどの対応をとるしかありません。
緑内障の禁忌薬で疑義照会したらクレーム
クレーム内容
患者さんが1時間後に取りに来ると言うので、疑義の了承を得ずに医師に連絡したことに対して「医者の言う通りに薬を出してほしい」とクレームをもらいました。
対応方法と解決策
これはとても多いタイプのクレームです。
医師への盲目的な信頼感から、薬剤師の言動を聞く耳がない患者というのは多いもので、問い合わせをすること自体を嫌がる患者は数多くいます。
ですが、薬剤師が疑義がある状態で調剤することは法律が認めていません。
必ず疑義が解消した後でなければ投薬してはいけないのです。
本来であれば疑義照会に患者の了承など不要なものですが、クレームを避けるためには患者に了承を取ってから疑義照会をするのも一つの手段でしょう。
了承を得られない場合には、調剤を断ることも選択肢に入れておくべきです。患者の顔色をうかがってばかりでは、適切な医療の提供はできません。
毅然とした態度で無理なものは無理だということも大切ではないでしょうか。
その結果、その患者が来なくなったとしても、正しい行いをした結果ですので気にすることはありません。
本名で呼んだことへのクレーム
クレーム内容
普段は名字のみ呼ぶのですが、パートで新しく入った薬剤師がその事情を理解しておらず。フルネームで読んでしまいました。
患者さんは躊躇しながらも、その場では何もなく帰られたのですが、数時間後、その患者からクレームの電話がありました。
対応方法と解決策
性同一性障害は非常にデリケートな問題ですので、対応ミスがクレームにつながる例は仕方のないことです。
性同一性障害の方でも、その性格は様々で、自分の名前に嫌悪感を持っている人もいれば、まったく気にしていない人もいます。
性同一性障害だからと言って特別視するのではなく、その患者に合わせた対応をしていくことが大切なのではないでしょうか。
性同一性障害の患者というくくりで考えるのではなく、通常の患者の一人として気持ちよく投薬を受けていただくことを考えればよいのです。
すべての患者には特有の個性やこだわりがありますので、その情報を薬歴を用いて薬局内で共有し、各々の患者に気持ちよく医療を受けていただくことを目指していきましょう。
あや
きよみ
モンブラン
あや
モンブラン
まだまだある!嘘のようで本当にあった患者からの無理な要望やクレーム
患者からの困った要望やクレーム
こういった状況は、ごく普通に発生しています。
法律で規定されていることをしているだけでもクレームとなったり、そもそも調剤薬局に求めることではないようなことまで、なぜか要求されてしまうのです。
こういった状況への対応は、個人レベルで判断していては後々にさらなる問題を生み出す原因となってしまいます。
施設内で対応方法を一律に定めておくことで、理不尽な要求に対応できるようにしておきましょう。
薬剤師のクレーム対応は組織対応が基本
クレームへの対応は、個人レベルで行っていては後々に火種を生み出す原因となることもあります。
組織としてどのように対応をするのかを明確に定めておくことで、誰が対応しても問題がないような状態にしておくことが必要です。
まずは患者からの訴えが、クレームなのか、要望(要求)なのかをきちんと判断していきましょう。
施設に落ち度があり、さらに改善できる点を指摘してくれるのなら、それは有意義な意見として採用するべきものですし、薬局側に落ち度がなく、明らかに理不尽な要求であればクレーム処理をするべきものです。
すべてクレームとして決めつけるのではなく、公平な目で判断できるような体制作りをしていきましょう。
日頃からできる薬剤師のクレーム対策とは?
薬剤師が業務を行う上でもらうクレームには、主に3種類存在します。
3種類のクレーム
医薬品の数や種類が違うというクレームを防ぐためには、手渡す前に患者自身に確認させることで対策していきます。
確認していただいたことを薬歴に記録しておけば、後日の連絡があった時にも対応しやすくなるでしょう。
施設での対応に関するものでは、職員間で普段から患者情報の共有をしておくようにし、患者特有の対応を誰もが均一に行えるようにしておきましょう。
そのためにも薬歴を活用し、申し送り事項がしっかりと確認できる形に整えておくことが重要です。
もとになる原因がないクレームに関しては、対策のしようがないため、割り切ってしまうしかありません。
防ぐことのできないクレーム・ハプニングは割り切る
薬剤師として何の不備もない仕事をしていても、必ずクレームやハプニングは起きてしまいます。
たとえば一人の患者にしか使用していない医薬品で在庫も合っているのに、薬が足りないと言われたり、FAXしたんだから薬を家まで持って来いと言われたり、こういったどうしようもないクレーム・ハプニングは、防ぎようがありません。
どれだけ対策しても起きてしまうのなら、仕方のないことと割り切ってしまうしかないのです。
どうしようもないことで頭を悩ませてしまうのは、時間と労力の無駄でしかありませんよ。
あや
きよみ
モンブラン
あや
きよみ
まとめ:クレームは業務改善のチャンス!どうしようもないものはスルーすることも大切です
人間を相手にしている仕事ですので、クレームやハプニングは必ず発生します。
それは完璧な仕事をしているとしても避けられないものです。
クレームの中には、業務改善につながるヒントが隠されている場合もありますが、明らかに理不尽な要求であるものも存在します。
すべて一律に相手をするのではなく、患者から寄せられた訴えが正しいものであるのか理不尽なものであるのかを判断して、それぞれに適した対応を取っていくことが大切です。